DeepSeek-R1がOpenAIのo1に匹敵する「考える力」を持った人工知能で、桁違いに安かったことが、マーケットを大きく動かした
みなさん、こんにちは。
今週(1月27日~)に入り、マーケットはいきなりDeepSeekショックと称される報道に翻弄されました。
まず、DeepSeekとはなにか?
DeepSeekに関しては、メルマガや月曜のコラムでも何度かご紹介していますが、今週話題になったのがDeepSeek-R1。
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⇒米ドル/円は154.50~157.50円のレンジで押し目待ち! トランプ政権の関税報道での下落をうまく利用して、クロス円も押し目買い。中国発のAI、DeepSeekをどう見る?(1月27日、西原宏一&叶内文子)
DeepSeekとDeepSeek-R1の違いですが、DeepSeekは、DeepSeek社が開発したAI推論エンジンです。
人間のように考え、推論し、問題を解決するための基盤となる技術ということになります。
一方、DeepSeek-R1は、DeepSeekエンジンを搭載した具体的なAIモデルです。
マーケットでよく例えられるのが、DeepSeekは高性能な自動車エンジン、DeepSeek-R1はそのエンジンを搭載したスポーツカーということになります。
そして、中国発のDeepSeek-R1がOpenAIのo1に匹敵する「考える力」を持った人工知能だったことが、マーケットを大きく動かしたようです。
DeepSeek-R1は各種のベンチマークで、o1と同等かそれ以上のスコアを上げるにも関わらず、APIのコストはOpenAIのo1、o1-mini と比べて桁違いに安いのが特徴。
中華のものなので、導きだされる答えに偏りがあるのは確かなのですが、僕がフォローしているAIの専門家も「APIのコストがとても安く、OpenAIと匹敵するレベルのものがオープンソースでリリースされてしまったことは、素晴らしいとしか言いようがない」とコメントしています。
DeepSeek-R1は、生成AIが「ChatGPT、Gemini、Claude」だけのものではないということを、マーケットに知らしめたともいえます。
これで、米株式市場ではテクノロジー株が大幅安。AI銘柄代表格のNVIDIAは一時18%安。
(出所:TradingView)
米ドル/円も一時153.72円まで急落。ただその後、テクノロジー株も米ドル/円も反発しています。
(出所:TradingView)
DeepSeekショックはAIバブルを暗示しているのか? 為替市場ではリスク資産の豪ドルの下落が顕著
それでは、このDeepSeekショックは株安を誘引し、AIバブルの崩壊を暗示しているのでしょうか?
報道を見てみると、DeepSeekショックに関しては意見が分かれています。
ベストセラー「ブラック・スワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏は、AI主導の株価上昇に盲目的に飛びついた投資家が、これから直面する事態の「ほんの序章に過ぎない」と警告しているようです。
DeepSeekショックで、NVIDIAの時価総額は1日当たりの減少額として米企業史上最大を記録!!
Bloombergのインタビューで同氏は、今後の下落はNVIDIAが記録した2、3倍の規模になる可能性があると語ったとしています。
DeepSeekショックがAIバブルを暗示しているかどうかに関しては、マーケットでも意見が別れており、個人的にも決めつけないようにしていますが、トランプさん勝利から上げ続けたナスダック市場が調整しても不思議ではありません。
クラッシュするかどうかはわからない。
では、為替はどうか?
先週末から本稿執筆時点までの、主要通貨の対米ドル騰落率を見てみましょう。
DeepSeekショックから対米ドルで下げ続けているのが、豪ドルと、ニュージーランドドル。
そして、上げているのが円、下げ渋っているのがスイスフランとなっています。
つまり、豪ドル/円や豪ドル/スイスフランが急落しており、リスク資産である豪ドルの下落が顕著。
繰り返しますが、昨年(2024年)のトランプ勝利以降、続伸してきたナスダック市場がDeepSeekショックで調整してもおかしくない。
そのため、いったんリスクオフで豪ドルを対円や対スイスフランでショートにしました。
一方、米ドルを買い遅れている本邦事業法人は、このリスクオフで米ドル買いをする機会を待っている展開。
彼らは150円以下での米ドル買いのチャンスを待っている展開ですが、そこまで下落するかどうか? 中期では米ドル/円の買い場探しです。
(出所:TradingView)
今週初、いきなりマーケットを震撼とさせたDeepSeek-R1。
マーケットがこのDeepSeekショックを消化できるかを見極めたいところです。
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