■利上げ予測で上昇し、利上げ予測後退で下落した英ポンド
前述のように、市場参加者の視点がクロス円取引に移行する中、注目が集まってきているのが英ポンド/円。
今年(2015年)前半の英ポンドは、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の利上げ予測の高まりを背景に上昇しました。
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6月24日(水)の英ポンド/円は一時、195.89円と200円に迫る勢いで急騰しました。
しかし、カーニーBOE総裁への「頼りにならない彼氏(unreliable boyfriend)」と揶揄された発言などもあり、BOEの利上げ予測は急速に低下。結果、英ポンドは対ユーロ、対米ドルともに反落しました。
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そして、英ポンド/円も急落し、サポートであった週足・一目均衡表の雲の下限(182.00円)と突破すると下落に拍車がかかり、12月22日(火)には、一時、179.04円まで急反落しています。
(出所:CQG)
■英ポンド下落の背景に、英国のEU離脱懸念あり
この英ポンドの下落に拍車がかかった要因の1つが「Brexit(英国のEU離脱)」懸念。
2015年5月のイギリス総選挙では、混戦との事前予想を覆して、与党保守党が大勝し、単独過半数を獲得しました。
そしてキャメロン政権は、公約として掲げてきたBrexitを問う国民投票を2017年に実施せざるを得なくなります。
このBrexit懸念が2016年の英ポンドの下落を誘引するため、2016年は英ポンドの下落予測が拡大しています。
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前述のように、英ポンド/円は、週足・一目均衡表の雲の下限である182.00円を突破。
さらに、75週移動平均線(182.87円)を割り込んでいることから、英ポンド/円の下落余地が拡大。170円をめざす動きとなっています。
(出所:CQG)
2015年後半はBrexit懸念を背景に下落に転じた英ポンド/円。
米国の大手金融機関のモルガンスタンレーは、2016年の推奨トレードの1つとして、英ポンド/円のショートを取り上げているようです。
2015年はGrexit(ギリシャのユーロ圏離脱)が注目され、ユーロが脚光を浴びましたが、2016年はBrexitを背景に英ポンド/円の行方に注目です。
次回のコラムは2016年1月7日(木)の予定です。
来年もよろしくお願いいたします。
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