■NYダウの反発により、クロス円も大きく値を戻す
次に注目すべきなのがNYダウの動向。
2月のSQショック時はNYダウも急落しましたが、当コラムでも注目していた200週移動平均線を終値ベースでは下抜けず……。その後、NYダウは急回復しました。
【参考記事】
●NYダウ崩れずリスクオフは徐々に沈静化。英ポンド下落の背景には中東と中国あり(3月3日、西原宏一)
(出所:CQG)
NYダウの反発とともに、英ポンド/円を筆頭に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は値を戻しています。
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そして、このNYダウの反発は続き、一時、1万7700ドル台まで回復しました。
(出所:CQG)
原油の反発とともに、NYダウが1万8000ドルを回復するようだと、リスク許容度はさらに回復し、クロス円全般の続騰に結びつくので、NYダウの動向にも注目。
■安倍内閣はなりふり構わず、株高を演出する公算
原油とNYダウの動向によるクロス円への影響は前述したとおりですが、次に米ドル/円への影響です。
まず、米ドル/円は今年(2016年)の目標値である110円台には到達しています。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?(2月18日、西原宏一)
次に米ドル/円にとって重要な国内要因に目を向けると、円安材料が満載。
5月の伊勢志摩サミットへ向けて消費増税の延期や、最低5兆円、あるいは10兆円規模ともされる補正予算を組んでの緊急経済対策などで株価をテコ入れしてくる可能性が高いこと。
また、新年度入りすることで、マイナス金利による株式市場への資金流入も期待できます。
こうした株価対策はすべて7月の参院選のため。衆参同日選挙となる可能性も取り沙汰される7月選挙での圧勝へ向けて、安倍内閣はなりふり構わず、株高を演出する公算が高い。
【参考記事】
●安倍内閣はなりふり構わず、株高を演出!? 米国4月利上げ期待が高まったワケとは?(3月29日、西原宏一&松崎美子)
(出所:株マップ.com)
このシナリオのもとでは、米ドル/円は日本株とともに中間反騰し、116円レベルまで反発することになります
(出所:CQG)
このシナリオにおける最大のリスクは、外部環境、つまり、前述した原油、NYダウという2大プロダクツの動向となります。
3月は原油が反発し、NYダウが大きく値を上げても、米ドル/円の戻しは限定的でした。結果、円高の影響があり、米国株やドイツ株と比較して、日本株は出遅れています。
(出所:株マップ.com)
4月以降、本邦当局の対策で、この出遅れを取り戻そうとする動きが出るはずです。
しかし、外部環境の悪化、つまり、原油やNYダウが反落に転じれば、当局のシナリオが大きく崩れ、日本株は反落、米ドル/円は110円を割り込み、105円へと向かう展開となります。
(出所:CQG)
国内要因としては4月以降は「日本株高・円安」の流れ。そのシナリオが実現するかどうかのカギを握る原油とNYダウの動向に注目です。
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