■FOMC声明文に大きな変化!
6月18日(火)~19日(水)に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、大方の予測どおり、今後の利下げを示唆する形となりました。
【参考記事】
●米中交渉決裂なら米ドル/円は105円割れ!? トランプ大統領の円安誘導批判にも警戒!(6月13日、今井雅人)
大きな変更点を紹介します。まず、声明文についての、前回(5月)からの大きな変更点は2つです。
1カ所目は、5月の「経済活動がしっかりした速度(solid rate)で拡大している」という表現が、今回は「経済活動がゆっくりとした速度(moderate rate)で拡大している」に変わりました。
2カ所目は、5月は「委員会は引き続き、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場、および対照的な2%目標付近でのインフレ率推移が、今後、もっとも可能性の高い結果だと判断している。
グローバル経済と金融の動向、落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会はFF(フェデラル・ファンド)レートの目標値の将来の調整が必要かどうかを決めることに、辛抱強くなるだろう」という表現でした。
それが今回は、「委員会は引き続き、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場、および対称的な2%目標付近でのインフレ率推移が、今後、もっとも可能性の高い結果だと判断しているが、こうした見通しへの不確実性は強まった。
これらの不確実性と落ち着いたインフレ圧力を考慮し、委員会は経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、景気拡大や力強い労働市場、対称的な2%目標近くのインフレの維持に向けて適切に行動する」という表現でした。
「辛抱強く」という文言を削除して、利下げの可能性を示唆しました。
(出所:FRB)
■金利見通しは下方修正。パウエル議長も利下げ示唆!?
次に、「経済見通し」の中の、FOMCメンバーの将来の金利予測水準を示した「ドットチャート」についでです。2019年末時点の中央値は、3月FOMCのときから変わっていませんが、2020年末時点と2021年末時点については、中央値がかなり下方修正されました。
(出所:FRB)
また、FOMC終了後の定例記者会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「見通しのリスクをかなり留意しており、景気拡大の持続に向けて必要に応じて行動し、当局のツールを活用する準備が整っている」と発言しています。
【参考記事】
●ハト派FOMCとリスク回避で米ドル/円は買われる状況にない! 上がったら売りで(6月18日、バカラ村)
FOMC後の記者会見で必要に応じて行動する準備があると述べたパウエルFRB議長 (C)Bloomberg/Getty Images News
■米長期金利が急低下。米ドル/円は108円割れへ!
こうした決定を受けて、米長期金利は急低下。20日(木)のアジア市場では、とうとう2%を割り込みました。
(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル安が進行し、米ドル/円も108円を割り込んでいます。
【参考記事】
●7月FOMCの利下げ織り込み度は100%。米国債利回り低下でドル/円は下落継続!(6月20日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 30分足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
■107円割れはないか。焦点は米中首脳会談へ
さて、今後ですが、このFOMCの決定の影響による米ドル安は、一時的に終わると思っています。
米ドル/円も、この材料だけで107円を割り込んでいくような展開にはならないでしょう。
(出所:TradingView)
そして注目は、6月28日(金)~29日(土)のG20(20か国・地域首脳会合)の場での米中首脳会談に移っていきます。
トランプ米大統領は、米中首脳会談が実施される見通しであることをツイッターで発表していますが、まだ流動的です。
大阪で開催されるG20の場において、米中首脳会談を実施するとツイッターで発表したトランプ大統領。しかし、まだ流動的で、開催された場合もその結果がどうなるのか、来週は市場の動向がその一点に集中するだろうと今井氏は指摘する。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
実際に開催されるのかどうか。もし、開催された場合の結果はどうなるのか。来週(6月24日~)は、その動向に一点集中となります。
【参考記事】
●米中交渉決裂なら米ドル/円は105円割れ!? トランプ大統領の円安誘導批判にも警戒!(6月13日、今井雅人)
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