■米国株の高値更新につれ、「支援材料」が続出するだろう
いずれにせよ、利下げによる株高効果があっても、あくまで材料面の支えにすぎないから、米株高の可能性は、やはり内部構造にあると思う。
相場の真実とは、材料の出現や解釈が、往々にして後追いする形で内部構造を証明するものである。ゆえに、米国株の高値再更新につれ、これから「支援材料」の続出が想定される。
「支援材料」自体は、好材料とは限らない。もともと非常に悪い材料でも、何らかの改善の兆しがあれば好材料と解釈され、また、その解釈によって逆に株高の構造を再証明する、といった前例もよくあった。
最近の好例は、トランプ氏による米中首脳会談の示唆であろう。米株高を解釈する理由のうち、これが大きく挙げられるからだ。
前回の本コラムで指摘したように、トランプ氏の「脅し」は本来、逆効果で、習近平氏は大阪G20に来づらいはずだった。
【参考記事】
●2011年から2015年の強気相場が再び!? 米ドル/円は長期で考えれば逆張りの好機!(2019年6月14日、陳満咲杜)
しかし、習氏はG20に参加、また、米中首脳会談があるようで、米中閣僚会談も早ければ来週火曜日(6月25日)から再開すると伝えられており、事態は急転してきた。
このような展開は、前回コラムの最後にて予測ずみなので、筆者にとってまったくサプライズではなかったが、株式市場にとっては明らかに支援材料に違いない。
■中国中央テレビの映画で米中首脳会談の有無がわかる!?
米中首脳会談ありと予測した最も重要な理由は、米中ともに「内部事情」を抱え、協議を再開せざるを得ない、ということに尽きる。
中国にとって景気後退があれば、習氏の責任が問われ、米国にとっては何よりもトランプ氏の再任が優先事項なので、双方ともこじれた関係を何らかの形で修復せざるを得ないからだ。
だから、今回、米中首脳会談があると思っていた上に、トランプ氏のつぶやき(首脳会談あり)が嘘ではないことがすぐわかったわけだ。
ちなみに、トランプ氏の「作法」に散々惑わされたせいか、いまだに会談の可能性を疑心暗鬼する向きも多いようだか、ある「些細な出来事」を見て、筆者はより確信を持った。その出来事を6月19日(水)の筆者のツイッターにてつぶやいたから、画像をご参照いただきたい。
ちなみに、本稿執筆中に新たな報道があり、「イランによる無人機撃墜は『誤射』、意図的でない」とトランプ米大統領が言っているようだ。このように、米国株のブルトレンドがホンモノであるからこそ、諸材料が次から次へ好転、あるいは一時の緩和をもってトレンドを支えるから、米株高の可能性が逆に証明されるわけだ。
■足元の円高は、すでにピークに近いのではないか
米株高がホンモノであることがわかれば、円に関する見通しも明らかではないかと思う。
米株高が続く一方で、円高がガンガン進むわけがないから、足元の円高は、すでにピークに近いのではないかとみる。
確かにFOMC後、米ドル/円は大きく下げ、また安値更新しているが、2019年年初来の全上昇幅に対する調整自体は深くなったものの、調整波という位置づけは不変であり、近々底打ちを果たす公算が高い。
この視点において、本コラムがたびたび強調してきた2つのポイントを改めて強調しておきたい。
1.主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、2019年年初来安値の更新はないだろう
2.長期スパンにおいて、目下は逆張り(円売り)の好機である
もちろん、日本株についても見方は同様で、買い時だと思う。ちなみに、「リスクご本家」の上海総合指数はただいま3000ポイントの大台を回復、「打たれ弱い」日本株の持ち直しも間近だと思う。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
市況はいかに。
(11:30執筆)
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