本記事でご紹介している後藤達也さんは2022年4月からフリーランスとなり、新たなツイッターアカウント(@goto_finance)やYouTubeにて、投資・経済情報を発信しています。
(「フォロワー爆増、有名トレーダーも注目! 日経の記者・後藤達也氏のツイッターとは?」からつづく
メディアが騒ぎ始めたら、相場はいったん終わり。
そんなふうにトレーダーたちは言うことがある。ザイFX!もFXという特定分野の専門サイトではあるものの、一応、メディアの片隅にいる立場なので、これはちょっと気になる言葉だ。
この観点から、日本経済新聞・ニューヨーク駐在の後藤達也記者(@goto_nikkei)がとても印象深いツイートをしていたので、次に紹介してみたい。
メディアが騒ぎ始めたら、相場が終わる現象はなぜ起きる?
発端は専業投資家・山田さんのこんなツイートだ。
もたざるリスクって新聞に出るとだいたい天井来るね
— 山田 (@u2yamada) June 25, 2020
6月上旬、「日本株に持たざるリスクがある」といった内容の新聞記事が出たことがあった。これに対し、山田さんが6月25日(木)に「もたざるリスクって新聞に出るとだいたい天井来るね」とツイートしたのだった。
日経平均はコロナショックで大暴落、3月中旬に1万6358円の安値をつけた。そこから最初は急激に、途中からジワジワと、最後はもうちょっと勢いをつけて反発していき、2万3185円といういったんの高値をつけたのが6月上旬のことだった。ちょうどそのころ、「日本株に持たざるリスクがある」という新聞記事が出ていたことを指して、専業投資家の山田さんは「メディアが騒いだところで天井が来た」といった意味のツイートをしたわけである。
(出所:TradingView)
この山田さんのつぶやきを受け、後藤記者は「一般論ですが…」と前置きしたうえで、こんなツイートをしていた。筆者がとても印象に残ったツイートだ。
後藤記者は、相場反転初期は説得力のある材料が揃いづらい一方、構図をきれいに整理して記事化できるときには、もうその材料はかなり消化されてしまっていることがよくあると書いている。
以下、自分も一応メディアの片隅にいることは脇に置いて書いてみる。
四六時中、チャートを監視してトレードしているわけでもないメディアの人たちが、入ってくる情報から記事を作成していくと、情報の盛り上がり方は相場の盛り上がり方に自然と一致してくるため、往々にして相場の天井付近で記事を書こうと思い立ち、そこで「まだまだ上がる」的な記事が公開される──そんなふうな筋書きを筆者は何となく考えていた。
しかし、後藤記者はそのような現象に決して無自覚なわけではなく、「相場記者が抱えるジレンマ」を十分に意識しつつ、いつも記事を書いているというのである。
「記者になって16~17年、いろいろな局面の相場記事を書いてきました。そして、局面を整理して記事を書いたら、やっぱりそのあと、相場が変わってしまったという経験が結構あるんです。
それはそれで反省する面もあるんですが、材料が揃って構図ができあがると、そろそろ相場が反転するかもしれないから記事にしない、というのも良くないと思います。
新聞の読者は個人投資家だけでなく、一般のサラリーマン、主婦、学生といった人たちもいます。そういう人たちに対して、次の相場がどうなりそうかということだけでなく、マーケットでは今こういうことが起こっていると記事で伝える役割もあるので、そこはやっていかないといけないですよね。
どのタイミングで、どうやって伝えていくかということは本当に相場記者としての悩みどころ。たぶん、投資家の方が『いつ売ろうか』と悩むのと重なるところもあるんじゃないでしょうか」
後藤記者は、相場の反転初期に「単に売られすぎだから上がった」だけでは記事が書きづらいという。では、どこまで材料が揃ったら書くかということについては、以上見てきたように、いつも悩んでいるということなのだ。
新聞の相場記事は、そんな悩みがあった末にできあがってきたものなのかも…ということを頭の片隅に置きながら、読んでみるのもいいのかもしれない。
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後藤記者にはどんな投資経験があるのか?
これはまったくの架空の話だが…。
出来高が少なく、板がスカスカの小型株があったとする。その銘柄がいいと思って、ある新聞記者がたくさん買っていたとしよう。別に自分で煽ろうと思ったわけでなくても、上司から書くように言われたとか、何らかの理由によって「この銘柄はいいでっせ~」みたいな記事を書かなくてはいけなくなったとしよう。記事を公開したら、小型株は爆上げ。そこで、この記者はその小型株を売り抜けた。「吹き値売り」はトレードの基本だから…。
以上のようなことは違法行為になるのだろうか。ここでは詳しい法律議論には踏み込まないが、違法・合法といった議論の前に、このようなことが明らかになったら、世間で問題視されることは間違いないだろう。だから、新聞社では小型株に限らず、投資に関して厳しい社内ルールがあると伝え聞く。
とはいえ、実際に自分でポジションを持ってみて、相場なんて自分の思ったとおりになかなか動かないものだといった経験を少しでもしたことがないと、投資家心理を反映した、真の意味で気持ちのこもった相場記事は書けないのではないだろうか──そんなふうにも筆者は思うのだ。
では、後藤記者にはどんな投資経験があるのだろう? あるいはまったくないのだろうか?
後藤記者のツイッターのプロフィール欄にもちょっと書いてあるが、後藤記者は、学生だった2000年から2003年にかけて、日本株を取引していたという。
2000年といえば、ITバブルの絶頂期。そして、2003年は平成バブル崩壊後、リーマンショックが起こるまでの日経平均最安値を記録した年だ。2000年4月に2万833円の高値をつけた日経平均はそこから崩落を開始し、2003年4月には7603円の安値をつけるまで売り込まれたのである。
(出所:TradingView)
後藤記者はそんな期間に日本株を取引していたというのだから、かなり苦労したのではないだろうか?
「高らかに語るほど儲けた実績はないんですが、損したわけでもないんです。日本には不良債権問題があったり、世界的にも景気が悪かったり、何となくトレンドとして株価は下がっていくんじゃないかというビューを持っていたんですね。だから、株を買うだけじゃなくて、空売りも組み合わせて取引していたんです」
学生時代にやっていた株取引で空売りも組み合わせて取引した結果、あのような下げ相場で損しなかったということだけでも大したものだと感じる。
「学生時代に株をやっていたのは、儲かった金額は大したことがなくても、貴重な経験となりました。
たとえば、自分が有望だと思って買った銘柄が下がってしまったときに損切りできない気持ちなんて、実際に取引してみないとわかりません。そういうことをわかっているのと、わかっていないのとでは、たぶん、取材で投資家の人と話すときにも気持ちが違ってくると思うんですね。
記事を書くときに、そのへんのにじみ方に違うところが出てくるかもしれないと思っています」
このように、学生時代に株取引していたことが、記事を書くうえでいい経験になっているという後藤記者だが、新聞記者になってからは一切投資をしていないという。
「2004年に入社してから株や為替など、投資的なことは一切やっていません。今はアメリカに住んでいるので、もちろん、米ドルの現金は持っていますが…」
日本経済新聞社では投資に関して社内ルールで規制しているという。そのルールを守るのは当然のことだが、そもそも記者が投資をすることには「筆が歪む」問題があると後藤記者は話す。
「もしもポジションを持ってしまうと、筆が歪んでしまうと思うんです。
たとえば、仮に私がテスラ株を持っていたとします。そうすると、冷静な目でテスラ株を見られなくなり、客観的な記事を書けなくなってしまう可能性がある。学生時代に株取引をやっていたのは自分にとって大きな資産になっていると思いますが、記者になった今はやらない方がいいと思っています。
マーケットを追いかける相場記者ということに、私はすごくやりがいを感じているので、投資はやらなくていいと思っているんです」
(出所:TradingView)
戦後最悪の景気と歴史的株高の併存は気味が悪い
相場記者としての仕事にすごくやりがいを感じているという後藤記者だが、「無責任にここが天井だとか、ここが底だとか言わないようにしている」という。前回の記事で紹介した、後藤記者のツイートに関するポリシーの1つには「主張は控えめに」ということもあった。
【前回の記事】
●フォロワー爆増、有名トレーダーも注目! 日経の記者・後藤達也氏のツイッターとは?
そんな後藤記者だが、7月22日(水)には「戦後最悪の景気と歴史的株高の併存はやはり気味が悪い」とツイートしていた。これが筆者の目を引いたのだった。
しかも、目をこらして、そのツイートをよくよく見てみると、それはなんと、あのイケハヤ(イケダハヤト)さんのツイートを受けて、ツイートされたものだったのだ。
7月下旬、金も銀も原油も株も上がっているといった状況になったことがあったが、このとき、後藤記者はマネーストック(M2)(※)の前年同月比をグラフ化して「日米欧でマネーが膨張している」とツイートしたのだった。
(※「マネーストック」についてはこのあと説明するが、「M2」とはいくつかある「マネーストック」の指標のうちの1つ)
そして、「お金じゃぶじゃぶ。コロナバブルですねぇ。さすがにどっかで弾けるんじゃないかね……。」と言いながら、後藤記者のツイートを引用ツイートしていたのがイケハヤさんだったのである。さらに、そのイケハヤツイートを受けて、「戦後最悪の景気と歴史的株高の併存はやはり気味が悪い」と後藤記者はツイートしていたのだ。
イケハヤさんはネット上の有名人であり、イケハヤさんとは何者かという説明は意外と複雑な感じもするので、ここでは説明を略させてもらうが、かつて筆者はビットコイン相場について、イケハヤさんにしばし相手をしてもらったことがあった。
筆者が「急上昇していたビットコインが大暴落! イケダハヤト氏が買ったところがド天井!?」という記事を書いたら、数ヵ月経ってから、「イケハヤを『靴磨きの少年』呼ばわりした『ザイFX!』の井口稔編集長、息してる~?」(※)という記事をイケハヤさんが書き、それに対して、「熱狂のビットコイン相場。イケダハヤト氏は再び『靴磨きの少年』となるのか?」という記事を筆者が再び書いたということがあったのだ。
(※どうもこの記事は現在、削除されているようだ)
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株高・高失業率、異例の併存
イケハヤネタでちょっと横道に逸れてしまったが、後藤記者のツイートに戻ると、後藤記者は先に紹介したとおり、「戦後最悪の景気と歴史的株高の併存はやはり気味が悪い」と書いていた。
また、以下の後藤記者のツイートには「株高・高失業率、異例の併存」というグラフが挟み込まれており、一目見て、何か異様なことが起こっているぞという雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
こう見てくると、「戦後最悪の景気と歴史的株高の併存はやはり気味が悪い」と書いていた後藤記者は内心、もう株が下がると思っていたのではないかと思えてくるのだが…。
「これは7月下旬にツイートしたものですが、気味が悪いとは思うものの、相場がこれで終わるかどうかはその時点でも、現時点(※)でもわからないという気持ちは変わらないですね。これはここから株は下がるというメッセージでツイートしたものではないんです。
2008年にリーマンショックがあって、それからときどき、多少の調整はあっても、株価はずっと右肩上がりで来たじゃないですか。その過程では、正直、いくらなんでも相場が行き過ぎなんじゃないかと思ったこともあったんですが、実際にはさらにどんどん株価は上がっていきました。
理屈を前面に押し出して、ここが相場の天井なんじゃないか、ここが相場の底なんじゃないかというのはどうせ当たらないとすごく感じているところがあるんです」
(※後藤記者への取材は日本時間の9月3日(木)に行っている)
(出所:TradingView)
先ほど書いたとおり、結局、「無責任にここが天井だとか、ここが底だとか言わないようにしている」というのが後藤記者のポリシーであり、それは言わないようにしているだけでなく、心のうちでもわからないと思っているということなのだ。
相場の先行きがわからないということは筆者も基本的には同感するところだが、しかし、それでも「これは上がるんじゃないか」「こうなったら下がるんじゃないか」とつい思ってしまうことが筆者にはある。後藤記者はそんな邪念もなく、客観的立場に徹しているというのである。
マネーストック急増! 米ドルがジャブジャブになっている
もう1つ、いろいろな資産の価格が上がっていた7月下旬、後藤記者のツイートに紹介しておきたい言葉があった。「ドルの過剰流動性に焦点が当たった金融相場」という説明である。
要するに米ドルがジャブジャブになっており、米ドルの反対側にあるものが軒並み上がっている状況というのだ。
その“ジャブジャブ感”は後藤記者がツイートした以下のグラフを見れば一目瞭然。先ほどは後藤記者のツイートから日米欧のマネーストック(M2)を合算したグラフを紹介したが、今度は日米欧が分けられたグラフだ。米国の突出ぶりが明らかである。
この後藤記者のツイートに出てきた用語の1つ、マネタリーベースとはざっくり言うと、中央銀行が供給している通貨の総量のこと。「世の中に出回っている現金」+「民間銀行が中央銀行に持つ預金残高」のことになる。マネタリーベースはハイパワードマネーとか、ベースマネーとも呼ばれたりする……などと言ってもわかりにくいかもしれないが、2013年4月、就任したばかりだった日銀の黒田総裁が異次元緩和をぶちあげたとき、「2年で2倍」と言った、あれがマネタリーベースである。
一方、もう1つ出てきた用語、マネーストックはざっくり言うと、金融機関が経済全体に供給している通貨の総量のこと。M1、M2、M3など定義の異なるいくつかの指標がある。マネーストックは以前はマネーサプライと呼ばれていた。
経済全体に対して供給されている通貨の総量であるマネーストックは、通常、中央銀行が供給している通貨の総量であるマネタリーベースの数倍にもなる。そして、中央銀行が直接的に影響を及ぼせるのはマネタリーベースなので、これまではマネタリーベースの方が注目されやすかった。
そして、日本の話になるが、黒田日銀は異次元緩和でマネタリーベースをグイグイ増やしたが、そのとき、マネーストックは増えたことは増えたものの、マネタリーベースほどの勢いでは増えなかった。
それが今のアメリカでは…
「マネーストックは企業や家計がどれぐらいお金を必要としているかというところに左右される面が大きいです。
今回はコロナ禍でアメリカでは失業者が大量に出たため、家計もお金をたくさん必要としていますし、企業も資金繰りが大変になっています。そんなことがリーマンショック以上の状況になっているという結果がマネーストックという統計に表れているのです。
そして、米政府もFRBも企業や家計を見捨てることなく、サポートしようとしています」
さらに、このようなコロナ禍の状況へ、“サポートのダメ押し”を行ったのが本シリーズ記事の冒頭で取り上げたジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の講演だったと後藤記者は話す。
「目標とするインフレ率を単純な2%ではなく、平均2%にしたということは、インフレ率が2%を超えていっても当面、金融緩和を続けますよということです。失業率が数字の面で下がりすぎただけでは金融緩和はやめません、まだまだ金融緩和は続けていきますので安心してください、というメッセージなんです。
だから、新型コロナが早期に終息して、経済状況が改善したりしない限りは、金融緩和を続けるということだと思います」
ジャクソンホール会議での講演が注目を集めたパウエルFRB議長。米国の金融緩和は当面続くのか… (C)Bloomberg/Getty Images News
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米ドルの量が非常に増えているという大きな構図
そして、金融緩和が続き、経済全体に莫大な資金が供給されている状態が続いていけば…
「お金の総量であるマネーストックがこれだけ増えれば、そのお金はどこかへ向かうはずなので、3月のような危機的な相場にならなければ、自然といろいろな資産に染み出ていくんでしょう。
そしてもしも、米ドル全体の量に市場が着目すれば、米ドルが弱くなりやすいという現象になるんでしょうね。
ただ、資金が染み出ていくとしても、それがどこかで行き過ぎれば調整するかもしれないと思います。
大きな構図として、ここ数ヵ月、米ドルの量が大きく増えているということがあって、それはこの先、数ヵ月も続く大きな構図なのだろうと思います。
とはいえ、それを受けて、株はまだまだ上がると思うとか、こんなことをやってたらヤバいんじゃないか、といったことまでは私がしゃしゃり出て言うことではないと思っています。
私としては今起こっていることを整理するヒントになるような材料をお見せして、あとの判断はフォロワーの方に委ねるのがいいと思っているんです」
米ドルの量が大きく増えている、米ドルがジャブジャブになっているという大きな構図。これはFXトレーダーとしても大いに気になる話だろう。
トランプか、バイデンか。米大統領選、どうなる?
米大統領選がいよいよ、あと1ヵ月半というところまで迫ってきた。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
米大統領選について、後藤記者は賭けサイトのデータを継続的にツイートしている。
たとえば、6月30日(火)の段階ではこんな具合になっており、ワニの口が大きく開いたようになって、バイデンかなり優勢か、と見えるデータになっていた。
けれど、8月の途中ぐらいから両者の差は次第に縮小し始め、9月2日(水)にはついにバイデンとトランプがほぼ並んだ状態となった。
そして、9月8日(火)にはバイデンが再び優勢になっていた。このように後藤記者が適度な間隔でツイートしてくれるので、後藤記者のツイッターをフォローしておけば、米大統領選の手に汗握る展開も自然に把握することができるのだ。
ということで、本記事シリーズの最後に、4年に一度の一大イベント、米大統領選について、米国駐在の後藤記者に聞いてみよう。
「どちらが勝つかということは、本当にほぼ均衡していて、まったくわかりません。
そして、何となく『トランプが勝てば株高、バイデンが勝てば株安』みたいな声が多いですが、本当にそうなるか、ちょっとわからないところがあると思っています。
トランプだって、ここまで株が上がってきたなか、再選したとしても、追加でさらにサプライズの経済対策を出して、それでさらに株が上がるかわからないと言えそうですし…」
2016年の米大統領選の前は当選したら株が暴落するなどと言われていたトランプ氏。2020年の今回は当選したら株高の期待が高いようだが… (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
「バイデンについては、富裕層増税とか、法人税増税とか、株に逆風っぽいことを言ってはいるものの、民主党は共和党より大きな政府ということが大きな軸として基本にはあります。バイデンが大統領になったら、新型コロナ対策をはじめとして、財政はバンバン出してくるでしょうから、それは株高に作用するかもしれないですよね」
バイデン氏が当選したら株に逆風? それとも株高? どっちなのか? (C)Scott Olson/Getty Images News
前回、2016年の米大統領選では、トランプが勝つとはあまり思われていなかったし、トランプが勝ったら株が暴落するなどと言われていた。しかし、2016年の米大統領選が行われたあの日、実際にはトランプが優勢になると株は下がり始め、米ドル/円は下落し始めたものの、その局面は割と短時間で終わって一気に反転し、すぐに株が上がって米ドル/円も上がる、いわゆる“トランプラリー”が年末にかけて展開された。
後藤記者はこの2016年のときの状況も振り返ったうえで、「シナリオをたてるというより、そのときどきの発言だったり、そのときどきのマーケットの反応をなるべくバイアスを持たずに見ていくのが大事なんだろうと思います」と話す。
「私のツイッターではわからない相場の先行きを語るよりも、明確に変わった事実があればそれを伝えるとか、この発言でマーケットはこう反応したといったことを伝えるとか、ファクトベースで伝えていければ…と思っています。それもスピード重視で!」
トランプか、バイデンか。
リスクオンか、リスクオフか。
二転三転、四転五転、情勢はくるくる変わり、これからさらに丁々発止のやりとりがあることだろう。米大統領選、その投票日は11月3日(火)だ。投票日に向けて、9月29日(火)、10月15日(木)、10月22日(木)と3回のテレビ討論会も予定されている。後藤記者のツイッター、通称“後藤電子版”も参考にしながら、トランプvsバイデンの攻防をウォッチしてみてはどうだろうか。
(取材・文/ザイFX!編集長・井口稔 編集協力/ザイFX!編集部・堀之内智)
本記事でご紹介している後藤達也さんは2022年4月からフリーランスとなり、新たなツイッターアカウント(@goto_finance)やYouTubeにて、投資・経済情報を発信しています。
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