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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ユーロの値ごろ感での買いはかなり危険。
世界経済腰折れで円高のリスクもあるが…

2010年05月06日(木)14:44公開 (2010年05月06日(木)14:44更新)
今井雅人

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■ユーロ/米ドルがどこまで下げるか、まったくわからない

 為替相場は少し荒れた値動きとなっていますが、基本的には方向感があまりなく、乱高下を繰り返す相場となっています。

 これは先週のコラムに書かせていただいた内容と、イメージはだいぶ近いと思っています「世界的に好ムードなのに南欧だけが問題。『ソブリン版リーマン・ショック』には要注意!」を参照)

 そのような中で、ユーロの弱さがかなり目立つようになってきました。

 ユーロ/米ドルは節目の1.3000ドルを割り込み、1.28ドル台まで落ち込んでいます。昨年末からの下落を第1波と考えるなら、第2波がいよいよ迫ってきたということでしょう。
ユーロ/米ドル 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 第1波のあと、かなり大きく下げたことでショートポジション(売り持ち)がたまってしまい、下げ渋る動きも見られました。しかし、それからしばらく時間も経って、ショートポジションもこなれてきたと言えそうです。

 そこに、ギリシャ問題のみならず、ポルトガルやスペインの格付けの引き下げが伝えられ、欧州各国の格付け引き下げの話題が出てきたことが、ユーロの売りを誘ってしまったということでしょう。

 この問題は、並大抵のことでは解決しません。

 ユーロ/米ドルは年初来安値を更新していますが、現在のとても深刻な状況を考えれば、これで下落が一服すると容易に考えないほうがよいでしょう

どこまで下げてしまうのか、まったくわからなくなってきました
■ユーロの売り圧力はかなり強く、値ごろ感の買いはダメ

 ただ、今回の問題の最大の焦点は、財政破綻ではありません。

 確かに、どこかの国が財政破綻すれば、それは大きな問題なのですが、それ以上に重要な点があります。

 ユーロという通貨は、マーストリヒト条約という決まりごとによって国の財政赤字などに限度を設けるなど、独自の通貨統合に関するルールを作ってきました。

 そういった中で、今回、「ユーロという通貨が本当に存続できるのか?」「通貨統合したユーロを今後も維持できるのか?」といった根本的なところに市場の関心が向かってしまっているのです。

 そのため、ユーロの売り圧力はかなり強いものにならざるを得ません

ユーロは相当弱い状態ですから、値ごろ感で買うことはかなり危険だと思います。

■ユーロ問題で世界経済腰折れなら、円高のリスクも

 その他の通貨を見ると、もみあいとなっています。

 ただ、ユーロの影響で世界経済が腰折れし、株価が下げていくようなことになれば、円高のリスクはあると思います
世界の通貨 vs 円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 vs 円 日足

 これはまだ、現状ではこのような動きが確認できないため、もう少し様子を見てから判断したいと思います。

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