米ドル/円は150円割れまで下落!この変化はなぜ起こったのか?
スコット・ベッセント氏が次期米財務長官に決定後、マーケットは大きく変化しています。
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もっとも顕著なのは米長期金利。トランプトレードと称して4.50%水準まで米長期金利を上昇させましたが、次期米財務長官にベッセント氏が決まると、米長期金利は現状4.25%前後まで下落しました。
(出所:TradingView)
米長期金利低下に合わせて、米ドル/円も150円割れまで円高が進んでいます。
(出所:TradingView)
この変化は、なぜ起こったのか?
トランプトレードの利食いなのか、それとも次期米財務長官がベッセント氏に決まったことで、大きな変化が起こっているのか?
まず、トランプトレードとは何か。
1.関税、
2.減税、
3.(将来の)米ドル安政策
この3つが焦点となりますが、まずは関税と減税です。
関税をかけると、貿易相手国の輸出が減少するため、相手国通貨には売り圧力がかかります。また、関税の分だけ物価が上昇するため、米国側も物価上昇圧力がかかることから金利は上昇、米ドルにも上昇圧力がかかります。
また、減税を行うと、景気が刺激されるので金利は上昇します。つまり、米ドルに上昇圧力がかかることになります。
つまり、関税も減税も米ドル高要因ですし、金利上昇要因。これがトランプトレードです。
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スコット・ベッセント氏(次期財務長官指名)の考えとは?
一方、スコット・ベッセント氏はどのような考え方なのでしょうか。
トランプ次期大統領にアドバイスする立場なので、最終的にはトランプ次期大統領の政策実現をサポートすることになります。よって、ベッセント氏の考えではなく、トランプ氏の考えが優先されます。
しかし、アドバイザーとして彼はトランプ次期大統領に何を助言したのでしょうか。
そのことが上手くまとまっているのが、以下のWSJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙の記事ではないでしょうか。
Scott Bessent Sees a Coming ‘Global Economic Reordering.’ He Wants to Be Part of It.
(出所:WSJ)
ベッセント氏は指名後の最初のインタビューにおいて、優先事項はトランプ次期大統領のさまざまな減税公約(トランプ減税の恒久化等々)を実行することと発言しています。
加えて「世界の準備通貨としての米ドルの地位を維持すること」も焦点としています。
しかし、有名なのは「3-3-3」と呼ぶ政策です。安倍晋三元首相の「三本の矢」に触発されたものですが、
(1)2028年までに財政赤字をGDP3%以内に
(2)規制緩和を通じてGDP成長率を3%に
(3)日量300万バレルの原油増産
この提言で、彼はトランプ次期米大統領のアドバイザーとなりました。
(1)の財政赤字3%以内とは、ユーロ加盟国に課している条件と同じで、非常に厳しい制限。現バイデン政権はGDP対比7%の財政赤字を出しています。トランプ次期米大統領は財政拡張派と考えている多くの市場参加者のイメージとは逆です。そのため、米長期金利が低下し始めたのでしょう。
そして(3)の原油増産。これが実現すると、原油価格は1バレル50ドルを割り込んでくるかもしれません。そうなると、日本の貿易収支はかなり改善します。
ウクライナにおける戦争も、トランプ次期米大統領は終結させると言っています。資源価格の低下は日本経済を助けるでしょう。
(出所:TradingView)
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トランプ次期大統領は関税導入ではなく米ドル安政策を追求する?
トランプ次期大統領と言うと、どうしても関税でガンガン攻めてくるイメージがあります。先日も、中国に追加で10%、カナダとメキシコに25%と発言しています。
しかし、その翌日、トランプ次期大統領は自ら所有するSNS「Truth Social」に次のように投稿しています。
次期メキシコ大統領と素晴らしい会話をしたそうで、おそらく関税をかけるとふっかけて、次のタイミングでは何もなかったかのように振る舞う、こういうシーンがこれからも続くのでしょう。
関税は武器であって、本当にトリガーされることは少ないということは、次期財務長官であるベッセント氏も書いています。
ベッセント氏が、彼のファンドであるキー・スクエア・キャピタル・マネージメントの投資家へのレターがインターネット上に出回っており、そこで「関税の銃は常に充填され、テーブルの上に置かれているが、発射されることはめったにないだろう」、「トランプ次期大統領は関税を導入するのではなく、米ドル安政策を追求するだろうというのが、我々の見方だ」と書いています。
同じレポート内で、ベッセント氏は日本の利上げについても言及しています。
「日本はこれまで金融緩和を続けてきましたが、欧米では考え難いのですが、預金がリスクマネーに流れるのではなく、ますます預金に固執しました。
そうであるならば、金利が上昇すれば、ポジティブな所得ショックを与え成長を刺激するという意図せざる結果をもたらす。これは、ベン・バーナンキのヘリコプターマネーのときに示唆したものと同じで、日本の家計に金利収入が舞い降りてくる」
驚くべき考察ですが、「日本の金利上昇は日本経済を刺激する」こう考える人が次期米財務長官です。このレポートは業界内では読まれています。
そうであるなら、ベッセント氏が米財務長官に決まった瞬間から、なぜ米ドル/円が下落し始めたのか理解できると思います。
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アベノミクスは完全に終わった…浜田宏一氏が投稿したレポートの中身とは?
もう一つ驚かされたのは、浜田宏一氏がProject Syndicateに投稿した以下のレポートです。
Japan Needs Tighter Monetary Policy
(出所:Project Syndicate)
日本は金融政策の引き締めが必要と書いてあって、これには驚かされます。浜田宏一氏がそのようなことを言うとは時代も変わりました。アベノミクスは完全に終わったと思います。
レポート内で浜田宏一氏は米ドル/円=120円と言う数字を出しています。米ドル強気派ばかりですが、相場は変わる可能性があると思います。
(出所:TradingView)
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