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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

NZドルは1200pips急落! NZ中銀が
さらに利下げする公算が濃厚な理由とは?

2015年07月23日(木)19:00公開 (2015年07月23日(木)19:00更新)
西原宏一

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■キー首相がNZドルの下落スピードについてコメント

 みなさん、こんにちは。

当コラムで連続して取り上げているNZドルですが、7月20日(月)に特記すべきコメントがありました。

【参考記事】
ハト派的な米FOMCで米ドル/円急反落!NZドル/円が80円割れ濃厚な理由とは?(6月18日、西原宏一)
フランスがユーロ圏・EU離脱(Frexit)!? ユーロ/ドルが1000pips下落するとの予想も(6月25日、西原宏一)

 それは、ニュージーランドのキー首相のコメント。

「NZドルは予想しているより早く下落した」

 このコメントが発せられたのが、NZドル/米ドルの0.6500ドルレベル。

NZドル/米ドル 4時間足

(出所:米国FXCM

 以前、このコラムでご紹介したとおり、NZドル/米ドルの0.6500ドルというレベルは、2014年9月に、キー首相自らがターゲットとしたレベルです。

「ニュージーランドドル(NZドル)にとって、いわゆるゴルディロックス(景気が過熱しすぎず不況でもない、ほどよい状態)な水準は1NZドル=0.65米ドル前後だ」

【参考記事】
ドル/円は110円到達でスピード調整入り。首相の口先介入で急落のNZドル、今後は?(2014年10月2日、西原宏一)

■NZドル/米ドルは2カ月半で1200pips急落

 キー首相のコメントにより、今週(7月20日~)のNZドル/米ドルは調整局面入り。

NZドル/米ドル 4時間足
NZドル/米ドル 4時間足

(出所:米国FXCM

 もっとも、NZドル/米ドルは、2015年4月下旬の0.77ドル台ミドルから、7月16日(木)の0.6497ドルまですでに急落しています。

 つまり、わずか2カ月半で1200pips、米ドル/円で考えれば12円急落しているわけですので、キー首相がコメントしているように、下落のスピードが速すぎることは否めません。

NZドル/米ドル 日足
NZドル/米ドル 日足

(出所:米国FXCM

 自分が使用しているデマーク(※)のオシレーターも、7月16日(木)に「売られすぎ(over sold)」が点灯していたため、先週末(7月17日(金))には自分も含め、多くのトレーダーはNZドル/米ドル、NZドル/円をスクエアにしていました(これについては、7月16日(木)配信のメルマガ「ザイFX!×西原宏一 FXトレード戦略指令」を参照してください)。

(※編集部注:「デマーク」とはTDシーケンシャルなどのテクニカル指標を開発したトーマス・R・デマーク氏のこと)

【参考コンテンツ】
「ザイFX!×西原宏一 FXトレード戦略指令」

 マーケットがかなり、NZドルショートに傾いていたこともあり、NZドル/米ドルはいったん0.66ドル台ミドルまで反発。同様にNZドル/円も82円台ミドルまで上昇しました。

NZドル/米ドル 4時間足

(出所:米国FXCM

NZドル/円 4時間足

(出所:米国FXCM

 そして、キー首相のコメントを受け、さらに注目度が上がったのが本日(7月23日)早朝のRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])からの金融政策発表でした。

■NZ中銀は利下げに追加緩和示唆もNZドルは上昇

 7月23日(木)早朝のRBNZでは、政策金利を0.25%引き下げて、ついに3.00%に

NZ政策金利
NZ政策金利

 注目の声明では、成長率が予想比下振れしているとの見方を示し、追加緩和の可能性を示唆。ただ、キー首相同様に、最近のNZドルの急落を受けて、NZドル高けん制のトーンは大きく後退しました。

 結果、追加緩和を示唆したにもかかわらず、マーケットではNZドルのショートが残存していたこともあって、NZドル/米ドルは買い戻しが優勢で、一時、0.6654ドルまで反発しました。

NZドル/米ドル 30分足

(出所:米国FXCM

■さらなる利下げ濃厚のNZドルは下落トレンド継続

 キー首相に続いて、ニュージーランドの中央銀行であるRBNZもNZドルの下落スピードに対してコメント。

 しかし、RBNZのコメントに、

「at this point some further easing seems likely(現段階では、いくぶんさらなる利下げの可能性があるかもしれない)」

 とあるように、追加利下げのトーンが後退していますが、ミルクプライス(乳製品に対する支払い価格)の下落を筆頭に、コモディティ市場が低迷している環境下では、さらなる利下げが行われる公算が濃厚です。

【参考記事】
ミルクプライス続落でNZドルは売り継続(「ユーロ/円は126円台までの下落も視野に! 日本株が好調だと、なぜユーロ安になる?」(西原宏一、2015年7月16日)より)

 今回の声明を受けても、多くのエコノミストは、2015年9月と12月にRBNZによる、さらなる利下げがあることを予測しています。

 つまり、NZドルは2015年年末には2.50%という低金利に落ち込むことになります。

 7月23日(木)のRBNZの利下げは広範に予測されていたため、「バイ・ザ・ファクト(buy the facts)」による買い戻し優勢でNZドルは反発していますが、連続利下げが予測されているNZドルの下落トレンドは変わらず

NZドル/米ドル 4時間足
NZドル/米ドル 4時間足

(出所:米国FXCM

 NZドル/米ドルやNZドル/円の調整局面では、戻り売りの好機となるのではないかと考えています。

値幅というより、1~2週間程度の調整局面を経て、反落する可能性が高いNZドル/米ドル、NZドル/円に注目です。


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