■ムニューチン氏を財務長官に指名することを発表
昨日11月30日(水)は、トランプ次期米政権でムニューチン氏を財務長官に指名することが正式に発表されました。
トランプ次期米政権で財務長官に指名することが発表されたムニューチン氏。大手米系証券出身ととあって、市場の期待感は強いそう (C)Bloomberg/Getty Images
ムニューチン氏は、大手米系証券出身とあって、市場の期待感は強いです。インタビューでは、「大規模な所得税減税」や「法人税15%への引き下げ」をはじめ、「HIA法(※)で、1回限りではあるが米国への還流資金には10%だけの課税に留める」ことなどを表明しました。
(※編集部注:「HIA(Homeland Investment Act)法」は、元々は米国ブッシュ政権下で2004年に成立した時限立法。本国投資法などと呼ばれる。この法律下で、米国内での投資や雇用の創出を目的に、米多国籍企業による米国送金時の税負担優遇などが行われた)
これまで予想されていた政策とはいえ、シンガポール(17%)や香港(16.5%)といった国々よりも低い税率になることで、資金が米国へ大量に還流する可能性が高くなってきた、とも言えます。
そういった期待感が続くことで、米ドル/円の11月の月足は、1995年以来の大陽線となって終わっています。
(出所:CQG)
■センチメント逆転の「その時」を警戒!
市場では、買わなければならないにもかかわらず、買えていない実需勢ばかりが目立ってしまっており、需給関係のタイト感が非常に高まったままです。
ただ、IMM(国際通貨先物市場)通貨先物の投機筋の円ロングポジションが直近では1万枚程度に減少しており、そろそろポジション調整も終わりに近づいています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
また、昨日11月30日(水)に公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、「強い米ドルがいくつかの地域で、向かい風になっている」との懸念が出始めていることもたしかです。
トランプ政権への期待感は当初、予想していた以上に続いており、少なくとも、実際に2017年になって、新政権が誕生するまで続いてしまうのかもしれません。
ただ、いずれかの時点で、トランプ次期米大統領本人から、または重要なポストを担う次期政権関係者から、「米ドル高への弊害」について少しでも言及があれば、その時は、一気にセンチメントが逆転することになると思っています。
「その時」を常に警戒する必要があるでしょう。
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