■トルコ2月雇用統計は、失業率が13.4%に悪化
TUIK(トルコ統計局)は、2月の雇用統計を公表しました。2月の失業率は13.4%となり、上昇傾向が継続しました。24歳以下の若者の失業率は特に悪く、26.9%に上昇しています。
雇用統計が伝えているのは、景気の悪化が続いているという悲報です。その原因は、やはりパンデミックが収束せず、経済の正常化が遅れていることにあります。
トルコは中国シノバック社製のワクチンを大量に確保し、積極的なワクチン接種キャンペーンを進めています。
トルコ保健省のウェブサイトは、日々ワクチン接種の進行状況を伝えていますが、4月13日(火)時点で、1回目の接種を終えた人の数は約1150万人で、全人口の約15%に相当します。
ペースとしては悪くないものの、ワクチンの効果に関しては、トルコ国民の疑問と不満が高まっています。
【参考記事】
●コモディティ価格上昇がトルコ経済の重しに。ワクチン相場は息切れ。リラ上昇も一服か(2月24日、エミン・ユルマズ)
●トルコリラは対米ドル・対円で安定推移。トルコ中銀会合とFOMC控え、動きにくい(3月17日、エミン・ユルマズ)
(出所:トルコ保健省)
■トルコの新型コロナ感染者数が再び増加した2つの理由
トルコ政府がワクチン接種を開始したのは3月上旬からですが、3月に入ってから新型コロナ感染者数は減るどころか爆発的に伸びてしまっています。
2月に1万人を下回っていた新規感染者数は、足元で5万人を超えました。死者の数も3月中旬から増え始め、昨年(2020年)12月の最大数を越えました。
(出所:WorldometerのデータよりザイFX!編集部にて作成)
新型コロナウイルス感染が再び拡大に転じたのには、2つの理由があると思います。
1つ目は、中国製ワクチンの効果が低いことです。
そして、2つ目の理由は、接種済みの人が安心して街に出かけているので、それが逆に拡大の要因になってしまっているという点です。
■政策会合は、据え置き予想。トルコ中銀、様子見か
今週(4月12日~)のトルコリラですが、対米ドル・対円で大きな動きはなく、対米ドルでは8.20リラ前後、対円では13.50円前後での上下を繰り返しています。
今週(4月12日~)の注目イベントは、4月15日(木)に行われるトルコ中銀の政策会合です。市場のコンセンサスは据え置きで、さすがにインフレ率が上昇しているこのタイミングで、利下げはされないとの見方が多数を占めています。
一方で、新総裁は利上げ反対派として知られているので、就任してすぐ利上げに踏み切るとも考えにくいです。
【参考記事】
●トルコリラが15%超の暴落! なぜ、トルコ中銀総裁は突然更迭された?(3月23日、エミン・ユルマズ)
現時点では、ドルインデックスと米長期金利が落ち着いているので、トルコ中銀は、しばらく様子見姿勢を続けると考えます。
【参考記事】
●米長期金利2%超えならトルコリラ一段安か。CPIとPPIの乖離幅拡大は、何を意味する?(4月7日、エミン・ユルマズ)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■ラマダン入りで、トルコリラのボラティリティも低下か
トルコは、今週(4月12日~)からイスラム教の断食月であるラマダンに突入します。
ラマダンは普段から経済活動のペースが遅い期間なので、トルコ政府はラマダンを使ってロックダウン(都市封鎖)を徹底させる計画のようです。
ウクライナやイラン情勢で大きな動きがない限り、ラマダン期間中はトルコリラのボラティリティも低下すると予想しています。
(出所:TradingView)
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