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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

米ドル高になぜならない? 市場はパウエル
議長に勝手に期待して、勝手にがっかりした。
次の注目は米雇用統計に!

2021年09月03日(金)11:36公開 (2021年09月03日(金)11:36更新)
今井雅人

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米ドル高になる可能性が高いと見ていたのに、なぜ、そうなっていないのか?

 今年(2021年)も早いもので、もう9月に入りました。

 日本での新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まらず、予断を許さない状態になっています。

 新たに発見されたミュー株の影響も心配です。

 私の周りでも、若い年代層で、コロナに感染してお亡くなりになったり、生死の境目をさまよった方が何人かいます。くれぐれも感染には十分注意をしてくだい。

 先週(8月23日~)まで、米国の金融政策に変化が出てきて、これから基本的には米ドル高の展開になる可能性が高いという話をしてきました。

【参考記事】
米ドル/円は109円前後をしっかり買って、110円台を売り抜くトレードを続けることが有効(8月26日、今井雅人)
米ドル買い戦略の継続に、益々自信を深めたワケは? 米ドル/円は緩やかに112円、ユーロ/米ドルは1.16ドルがターゲットに(8月19日、今井雅人)

この1週間を見ると、なかなかそういう動きになっていません。どういうことが起きているのかを考えてみることにします。

パウエルFRB議長は当たり前のことを言ったのに、市場が勝手に盛り上がって、がっかりしてしまった

米ドル高の流れを止めることになったのは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言でした。

【参考記事】
テーパリング開始ほぼ決定で、11月スタートか。でも、利上げまでは「じゃぶじゃぶ」状態が続く。FOMC議事要旨による「過去の書き換え」とは?(9月2日、志摩力男)
パウエルFRB議長の講演はハト派的。リスク資産買いの中、トルコリラ上昇。市場はFRBのテーパリング見送りにかけている?(9月1日、エミン・ユルマズ)
米雇用統計が良い内容なら、9月FOMCでテーパリング開始示唆もあるか。季節性から、10月から年末の米ドル/円は上昇しやすい(8月31日、バカラ村)
日経平均は月末に売られるアノマリーあり。8月末はアフガンからの米軍撤退期限も重なり要注意。超長期では大規模な米ドル安も!(8月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?

 このジャクソンホール会議が行われる前に、多くのFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーが年内テーパリングの可能性に言及していたので、パウエルFRB議長が何かそれについて具体的な話をするのではないかという期待感が高まっていたのに、実際の講演は、それまでのメンバーたちの発言とほぼ同じ内容だったからです。

 市場関係者は、年内のテーパリング開始という表現では飽き足らず、たとえば、「来月(9月会合)には決めたい」というような、もっと踏み込んだ発言をしてくれないかな、と勝手に期待していたために、発言の内容にがっかりしてしまいました。

パウエルFRB議長は当たり前のことを言ったに過ぎないのに、市場が勝手に盛り上がって、そしてがっかりしてしまうということになりました。

パウエルFRB議長写真

パウエルFRB議長はジャクソンホール会議の講演で、年内テーパリングの可能性に言及した。しかし、市場関係者は、もっと踏み込んだ発言を勝手に期待していたために、発言の内容にがっかりしてしまった (C)Bloomberg/Getty Images News

 実は、何か注目材料ができたとき、市場が勝手に盛り上がり過ぎてしまうことはよくあることで、今回も同じだったなという印象です。

最近の相場は、何か短絡的になってきていて、1つの材料の影響が長続きせず、しっかりとしたトレンドができづらい傾向になってきました。

 そのあたりを今後は少し考慮に入れるべきではないかと、やや反省をしております。

注目は米雇用統計! 再び米ドルが上昇するには、特に非農業部門雇用者数が予想を上回ることが必要

 さて、この1週間の注目は何と言っても、9月3日(金)に発表される米国の雇用統計8月分です。

 FOMCでは、この雇用環境の改善具合を金融政策を決める重要なポイントと位置づけているので、注目度はより高まっています。

【参考記事】
米ドル/円の108円台はしっかり買いたい。FRBが注視する米雇用統計がよければ、米長期金利上昇から米ドル高の展開へ(8月5日、今井雅人)

 現在の市場予想は、失業率が5.2%、非農業部門雇用者数は前月比75.0万人の増加となっています。

再び米ドルが上昇してくるためには、特に非農業部門の雇用者数が予想を上回ることが必要ですので、注目をしておきたいと思います。

 トレード方針は、米雇用統計の結果によるのですが、基本的には米ドル買い先行を崩さないでいこうと考えています。

米ドル/円は、109円台は買いゾーンと考えていますし、ユーロ/米ドルは安値から200ポイントほど上昇してきましたので、そろそろ売りどころかなと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView


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