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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

今は、米ドル/円の高値を手放しで追える状況ではない!
足元の米ドル高は調整の中の揺り戻しで、米ドルの高値
更新が見られなければ、一段と大きな調整の可能性も!

2022年08月19日(金)17:37公開 (2022年08月19日(金)17:37更新)
陳満咲杜

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米ドル高継続という見方が増えてきているが、米ドルの高値更新が
見られない場合は、むしろ一段と米ドル調整波の大型化につながるかも

 米利上げ見通しが、再びタカ派になってきた模様だ。米ドル高の勢いが再び強まり、米ドル/円も再度、高値更新するだろうと言われている。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 株の切り返しが続いていた中で、繰り返し、株安の可能性を力説した方の多くが、一転して株高予測へシフトしてきたように、米ドル全体の調整が続くとみていた方の多くは、現在、一転して米ドル高継続のほうへシフトしてきたようだ。

 しかし、現時点における筆者の考えは変わらない。米ドル全体の調整が続くという見通しを維持する。足元までの米ドル全面高は、調整波における揺り戻しとみなし、ここから米ドルの高値更新が見られない場合は、むしろ一段と米ドル調整波の大型化につながるかと思う。

 なにしろ、米ドル高が随分、続いてきたから、最初の反落波の進行が紆余曲折になるのもよく見られるパターンだ。別にサプライズではない。

 ファンダメンタルズを検討してもきりがないというか、正解になるかどうかはまったくわからないから、もっぱらテクニカル上の視点をもって検証したい。

 さらに、今回はRSIに特化したいので、ここからはRSIのサインを解読してみる。

ユーロ/米ドルの週足はすでに「強気ダイバージェンス」のサインを
構築し
ている

 まず、ユーロ/米ドルを見たい。ユーロは米ドルの対極なので、ユーロ/米ドルの安値更新、または大幅な下値余地拡大があれば、米ドル全面高も継続し、大幅に上値余地を拓いていくだろう。

 ユーロ/米ドルは再度1.1ドルの節目を割り込み、これから安値更新していくのも容易と思われるかもしれないが、実際はそうなるとは限らない。

 ユーロ/米ドルは7月14日(木)に、いったん0.9952ドルの安値を記録した。しかし、同週において1.0087で大引け、執筆中の現時点のレートがすでに1.0087ドルを下回っている。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足チャート

(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン

 週足のRSIを観察する限り、すでに「強気ダイバージェンス」のサインを構築しており、目先までの反落をもって早期に同サインを否定しない限り、むしろ再度、強化される可能性がある。

 RSIは終値をもって計算されるから、仮に一時安値の更新があっても、前述のサインの否定さえ回避できれば、大幅な下値余地の拡大につながらないとみる。

 換言すれば、今は二番底を形成する途中で、安値更新があってもたちまち「底割れ」にはならない可能性がある。

米ドル/円の日足チャートは、いったん頭打ちとなり、
調整波の段階に入ったことを暗示している

 米ドル/円の場合は、まず、3月安値と5月安値を連結した元サポートラインの割り込みが確認されている。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン

 同ラインの割り込みを重視する立場でいえば、米ドル/円が早期底打ちを果たし、たちまち高値を更新する可能性は高くないと言える。

 なにしろ、メイントレンドがいったん否定されると、修復するまで時間がかかるのが相場の常なので、目下の切り返しを過大評価したくない。

 より重要なのは、RSIの変動範囲が暗示したサインだ。

 8月2日(火)の一時130.40円までの急落が、日足におけるRSIの急落をもたらし、実に2020年11月以来の安値水準を記録した。

 それは短期間における「行きすぎ」を示す一方、米ドル/円がいったん頭打ちとなり、調整波の段階に入ったことを暗示するサインと見なされる。

 よって、目先レートの切り返しとリンクした形でRSIの続伸があっても、重要な水準に制限されるように見えるから、手放しで高値を追える段階ではないことを示唆している。

 RSIの変動範囲はいったん上限が制限されると、レートの方が強くても一時のオーバーになる可能性が大きいから、要注意だと思う。

米ドル/円の早期高値更新の可能性は高くないだろう

 さらに、7月の高値更新や、その後の頭打ちは、日足におけるRSIの「弱気ダイバージェンス」が効いた形で現れ、また8月2日(火)安値までの反落をもたらしたから、同ダイバージェンスが効いた以上、すでに本物であることが証左され、早期、高値再更新の可能性は高くないだろう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン

 また前述のように、現時点でRSIの頭(上のチャートの3)は、6月半ば以降RSIが形成していた「下落ウェッジ」のサポートライン(安値(同1)と(同2)をつないだライン)の延長線上にあり、元サポートゾーンがこれからレジスタンスゾーンになりやすい

 このままRSIの頭が押さえ込まれる場合、米ドル/円も再度頭打ちになるだろう。

 戻り売りの実行は、目先よいタイミングではないかもしれないが、巷に再び浮上した米ドル高楽観論には、距離をおきたい。市況はいかに。

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