ジャクソンホール待ち、世間に流れる推測のすべては、憶測にすぎない
ジャクソンホール待ちで、市況は、まだら模様。そして、いつものように巷では見方が分かれ、憶測と噂に満ちている。
株にしても、米ドルにしても、「これから暴落に違いない」とか、「いや、暴騰するだろう」といった断定的な見方がもてはやされ、いかにも「市場が間違い、俺のほうが賢明で正しい」と言わんばかりの論者が注目される。が、これこそ正常であり、また大きな市況を期待できる状況であるから、平常心で対応していきたい。
ところで、FRB(米連邦公開市場委員会)議長さんが、今晩(8月26日)何を話すかということや、基調に関しての推測のすべては、憶測と片付けた方がよいと思う。
たとえ地区連銀総裁であっても、コメントする内容が議長さんの話とまったく違ったりするなど、前例を上げたらきりがない。ましてや、いち民間人の推測なんかを気にする必要は、まったくない。
パウエルFRB議長の話の内容より、その後の市場の反応が大事
とはいえ、今回のFRB議長さんの講演は重要であろう。その重要さは、話自体のいわゆるタカ派、あるいはハト派ではなく、話が済んだ後、市況がどう反応するかにある。
やや過激ではあるが、実は市況次第で、FRB議長さんの話をタカ派、あるいはハト派のどちらにも解釈できるから、マーケットの反応の方がはるかに大事だ。
まだら模様が続いているから、ジャクソンホール会議後、より鮮明なサインを点灯してくれる、という期待感から言う重要さである。
もっとも、一番、現実的な話としては、パウエル議長は従来の主張を繰り返し、タカ派すぎ、あるいはハト派すぎと誤解されないよう、慎重に言葉を選び、無難な内容とする可能性が大きい。
したがって、マーケットは、マーケット自体の内部構造に基づいて、ブレイクすべき方向にブレイクしていくので、議長さんの話自体より、単にタイミング待ちというか、ブレイク待ちを狙っている可能性の方が大きい。
ジャクソンホール会議でのパウエル議長の話の内容自体より、その後の市場の反応の方がはるかに大事だ(C)Bloomberg/Getty Images News
市況次第で、話に関する解釈もいくらでも変えられるから、事後的な解釈も、実にどうでもよい。
つまるところ、相場のことは相場に聞くしかない。ゆえに、チャートを点検しておきたい。
米ドル/円はいったん割り込んだサポートラインの延長線に、もう1回トライしようとしているが…
米ドル/円の日足におけるポイントは、やはりメインサポートラインをいったん割り込み、足元でその延長線にもう1回トライしようという点である。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
しかし、RSIなどオシレーター系指標が示す弱気ダイバージェンスのサインを完全に否定できない限り、上値限定のように読み取れる。
また、直近の値動きは、プライスアクションの視点では「インサイド」(日本のチャート理論では「はらむ」に相当)のサインが点灯し、これからブレイクの方向が重視されるだろう。
米ドル全体の上昇一服があれば、豪ドルの続伸が一番有力視される
主要外貨のうち、豪ドルの優位性が注目される。ユーロや英ポンドなどで米ドルに対する2022年年初来安値更新が確認されたなか、豪ドル/米ドルは0.68ドル台半ばに留まり、重要なサポートゾーンを再確認していたと思われる。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
同サポートゾーンは、5月や6月安値に近いから、まだ性急な見方かもしれないが、下げ止まりがあれば、7月安値を「ヘッド」と見なした「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」の可能性さえあり得る。
直近の日足を観察すればわかるように、8月23日(火)に安値へトライしてから大きく切り返し、前日の日足を「かぶせた」形で「強気リバーサル」のサインを点灯させ、翌日24日(水)のチャートと「インサイド」のサインを点灯した。
昨日(8月25日)の続伸は、同サインの上放れを果たしているから、仮に米ドル全体の上昇一服があれば、豪ドルの続伸が、一番、有力視されるとみる。
ユーロ/円は、再度8月安値133.40円をトライする可能性も
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の代表格のユーロ/円は、明らかに複合型「三尊天井」を形成しようとしているだろう。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
ジャクソンホール通過後、137円台後半~138円台前半のレジスタンスゾーンを早期上放れしない限り、再度8月安値133.40円をトライする可能性が高まるだろう。
ジャクソンホール待ちはブレイク待ちなので、ブレイク前にあれこれ言っても、あまり意味がないかもしれない。今回は、これにて失礼する。市況はいかに。
(14:15執筆)
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