■複数の側面から示唆される98円台半ばという上値目標
次に、2011年10月安値75.53円(日銀介入前の最安値)を起点とした上昇波動は計3つの推移波(上昇波動と同じ方向をもつ波動)をもって米ドル高・円安が進んできている。その3つの推進波をA、C、Eとそれぞれ表示すると、以下のような関係を持つことに。
(出所:米国FXCM)
C波(813pips)はA波(395pips)の約2倍に相当している。そして、E波はC波の2.382倍なら96.50円、C波の2.618倍なら98.40円といった上値ターゲットを示唆している。
注意していただきたいのは、96.50円という計算値は3月高値に近く、また、98.40円という計算値は、前述の「2.26事件」から得られた上値ターゲットに近いだけでなく、A波から引かれる抵抗ラインとも合致していることだ。このターゲットが目先、最も有力視される。
では、98円台のターゲットが達成された後、100円の大台に挑戦していくこともあるのではないかと思われるが、正直、その可能性は否定できないものの、やはりどこか腑に落ちない。
■時間切れで100円の大台達成はおあずけか
1つ大きな問題を挙げてみれば、それはほかならぬ、時間切れという問題だ。
要するに、米ドル/円の上昇トレンドがかなり続いてきたから、そろそろ時間切れで、一服しやすい時期にある、ということだ。
それがどれぐらい差し迫ったことかというと、実は本日4月5日(金)か、来週(4月8日~)前半あたりしか時間は残されておらず、こういった時間的な制限からして、やはり98円台の達成をもって一服してくるのが筋ではないかとみる。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
このあたりの説明はややこしいから、また次回に譲るが、100円の大台は98円台のターゲットと大した距離がないものの、やはり心理的な大台の意味は大きいと思う。
ゆえに、100円の大台は一気に達成されるより、後にずれ込むことになるのではないかと思う節があるのだ。このあたりの話も次回説明したいと思う。
■クロス円はいったん高値を更新してくるだろう
ところで、豪ドル/円が先に高値更新を果たしている状況で、そのほかのクロス円はどうなるかというと、筆者はやはり他の主要なクロス円通貨ペアも追随して高値をいったん更新するのではないかと思う。
根拠は前々回コラムの記事と同じく、ドルインデックスの頭打ちの可能性にある。
【参考記事】
●キプロス問題早期収束を予想するワケは? そしてその後、上昇しやすい通貨ペアは?(2013年3月22日、陳満咲杜)
ドルインデックスの頭打ちを最も証左できるのは、ユーロ/米ドルの底打ちであろう。
■やはり目先は「国策に売りなし」!
昨日(4月4日)のドラギECB(欧州中央銀行)総裁の話がもっとも重要なシグナルを示しているとみる。
総裁が暗い景気見通ししか述べていないにもかかわらず、ユーロの底打ちが鮮明になってきたのは他ならぬ、ECB総裁のこの一言だった。
ドラギ総裁曰く、「キプロス問題はあったが、マーケットはEU(欧州連合)の政治的判断および決心を軽視すべきではない」と。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
では、なぜこの一言が効いてきたかというと、黒田総裁の「量、質とも大幅緩和」と実は同じことを言っているようなものだからだ。
要するにいかなる問題でも、中央銀行が責任をもって処理するから、お任せあれという意味合いだ。
どこまでお任せしていいかはわからないが、少なくとも目先は、やはり「国策に売りなし」の一言に尽きる!
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