(「“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が4億5000万円分のポジションを建てた結果!?」からつづく)
トレイダーズ証券に“スワップ8倍デー”が到来
歴史的な10連休絡みで、主要FX会社に米ドル/円の“スワップ11倍デー”が訪れたのは2019年4月24日(水)のことだった。4月24日(水)から4月25日(木)に米ドル/円のポジションを1日だけ持ち越せば、11日分のスワップポイントがついたことは、前々回、前回の記事で書いてきたとおりだ。
【参考記事】
●平成最後の祭り、“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が含み損50万円突破!?
●“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が4億5000万円分のポジションを建てた結果!?
それが終わった4月25日(木)にも、ちょっとしたイベントがあった。
トレイダーズ証券「みんなのFX」と「LIGHT FX」は4月25日(木)から4月26日(金)に米ドル/円のポジションを1日だけ持ち越せば、8日分のスワップポイントがもらえることになっていたのだ。
これは本記事シリーズでこれまでも取り上げてきた以下の記事で紹介していたこと。
【参考記事】
●10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も
下表はトレイダーズ証券「みんなのFX」と「LIGHT FX」の米ドル/円など4通貨ペアについて、4月下旬のスワップ付与日数をまとめたものだ(上の記事でも紹介していたもの)。
付与日 | 米ドル/円、 トルコリラ/円の 付与日数 |
豪ドル/円、 NZドル/円の 付与日数 |
4月22日(月) | 1 | 2 |
4月23日(火) | 1 | 3 |
4月24日(水) | 3 | 0 |
4月25日(木) | 8 | 8 |
4月26日(金) | 1 | 1 |
※上表は付与日を基準に作成。付与日が4月23日なら、4月23日にポジションを保有し、NYクローズ後まで持ち越した場合の付与日数を記載。各社のスワップポイントカレンダーに記載されている日付とは必ずしも一致していない場合がある
どういう理由かはわからないが、トレイダーズ証券「みんなのFX」と「LIGHT FX」は“スワップ11倍デー”が2つに分離しており、4月24日(水)が“スワップ3倍デー”、4月25日(木)が“スワップ8倍デー”となっていたのである。
即日資金移動ができず、“スワップ8倍デー”トレードは断念
さて、ここであるFX会社の口座から異なるFX会社の口座へ資金移動することについて考えてみたい。
銀行口座からFX口座への入金はクイック入金(※)を利用すれば、即座にできるが、FX口座から銀行口座への出金は通常、そこまで早くはできないことが多い。
(※「クイック入金」はFX会社によっては違う名称になっていることもある)
【参考記事】
●金融庁も注意喚起する非常事態!? 10連休に相場急変した時、クイック入金はできるのか?
●FXの入金方法。おすすめはクイック入金 手数料無料、24時間即時反映で超便利
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:入出金サービスなどで比べる
SBI FXトレードでは4月25日(木)の午前5時30分までに出金依頼を行えば、通常は4月25日(木)のうちに銀行口座へ振り込まれるようではあった。けれど、午前5時30分を越えてポジションを持ち越さなければ、11日分のスワップポイントはもらえないので、筆者が行った「異業者売り買い両建てスワップタダ取りトレード」を完了したあとで出金依頼するなら、銀行口座への振り込みは4月26日(金)になってしまう。
さらになんらかの事象が発生すると、出金依頼から最大4営業日後の出金となるケースもあり得るようなことがSBI FXトレードの公式サイトには書いてあった。
したがって、SBI FXトレードに入れていた資金をトレイダーズ証券「みんなのFX」へ即日移動し、4月25日(木)の“スワップ8倍デー”に回すことはできないのだった。
筆者は調達した資金のかなりの部分を外為オンライン「外為オンラインFX」とSBI FXトレードの口座に入れていたため、資金的な余裕がそれほどはなかった。なので、トレイダーズ証券の“スワップ8倍デー”については、ちょっとした資金を入れて、「記念に一応やってみる」ぐらいのことでいいだろう、と考えていた。
その場合、トレイダーズ証券「みんなのFX」または「LIGHT FX」にちょっとした資金を入れ、そこで米ドル/円の買いポジションを建てる。一方、外為オンライン「外為オンラインFX」はスワップポイント付与がこの日も1日分だけであり、資金はフルに活かせるので、こちらで米ドル/円の売りポジションを建てる──このようなことを考えていた。
トレイダーズ証券「LIGHT FX」は2019年5月10日(金)からイメージキャラクターとして女優の「のん」を起用したばかり
結果的にトレイダーズ証券「みんなのFX」と「LIGHT FX」では、4月25日(木)に米ドル/円のスワップポイントが8日分で480円ついていた。1日当たり60円である。
それまでトレイダーズ証券「みんなのFX」と「LIGHT FX」の米ドル/円は1日当たり80~90円ぐらいのスワップポイントがついていたから、それよりは結構少なめのスワップポイント付与となったのだった。
もしも米ドル/円をトレイダーズ証券で買って、外為オンラインで売る“スワップ8倍デートレード”をやっていたら、結果を見てちょっとガッカリしたかもしれないが、しかし、筆者はこのトレードをやらなかった。
結果論だけで言えば、ちょっとガッカリでもこちらのトレードをやっていた方が取り立てて異変も起こらず、良かったはずだったのだが、筆者はこれとは異なる異業者での売り買い両建てトレードに挑戦してしまったのだった。
ユーロ/米ドルになぜか“スワップ9倍デー”が到来
筆者が当初考えていたのとは異なる売り買い両建てトレードをやってみようと思ったキッカケは前回の記事でもツイートを引用した億トレーダーの「ふさふさ」さんの以下のツイートだったと思う。
【前回の記事】
●“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が4億5000万円分のポジションを建てた結果!?
スワップ11倍デーは、直後にフラクラ級の暴落ありえるかと思って慎重になりすぎたかも…
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月25日
明日朝、スワップ9倍のユロルは心配なさそうなので全力しようそうしよう(*´﹃`*)
「ふさふさ」さんの書いている「スワップ9倍のユロル」とは何だろうか?
調べてみると、SBI FXトレードでユーロ/米ドルを4月25日(木)から4月26日(金)へ持ち越すと9日分のスワップポイントが付与されるようだった。
今回の“スワップ○倍デー”は基本的に日本の10連休とそれに伴う金融機関の休業から生じているはずだ。なので、円絡みの通貨ペアでスワップポイント付与日数に異変が生じているのは何となくわかるのだが、ユーロ/米ドルは言うまでもなく、円の絡まない通貨ペア。それなのにSBI FXトレードはこのとき、“スワップ9倍デー”となっていたのである。
これは本記事で何度も触れてきた以下の記事でも紹介していなかった話だった。以下の記事を書いた藤本記者も円絡み以外の通貨ペアはノーマークだったのである。
【参考記事】
●10連休前の4日間で32日分の大量スワップ! 為替変動リスクなしで年利30%儲ける方法も
SBI FXトレードのスワップカレンダーを調べてみると、ユーロ/米ドル以外にも円が絡まない通貨ペアはこの日、“スワップ9倍デー”になっているようだった。米ドル/加ドルなどはこの日が“スワップ11倍デー”になっていた。
※SBI FXトレードのスワップカレンダーは縦幅が長く、そのまま掲載すると見づらくなってしまう。そのため、4月22日週以外をカットして画像をつなげ、縦幅を短くして見やすくしている。なお、スワップカレンダーの日付表示はFX会社によって異なるが、SBI FXトレードの場合は、4月25日(木)から4月26日(金)へ持ち越した場合に付与されるスワップポイントと付与日数であれば、4月26日(金)の欄に表示されるようになっている。
なぜ、そうなっているのかはわからないのだが…。
そして、すべては調べていないが、そのほかの主要FX会社ではこの日、スワップ9日分といったように、スワップポイントが非常に数多い付与日数になる現象はおおむね起こっていないようだった。
ユーロ/米ドルの異業者両建てができそうだ!
また、以前も紹介したが、ヒロセ通商「LION FX」、外為オンライン「外為オンラインFX」、アイネット証券などは祝日などに関係なく、淡々と一定のルールでスワップポイントが付与されることに変わりはない。
【参考記事】
●平成最後の祭り、“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が含み損50万円突破!?
筆者がこのとき、資金を入れていたもう1つの口座、外為オンライン「外為オンラインFX」のユーロ/米ドルも4月25日(木)から4月26日(金)へ持ち越した場合のスワップポイントは1日分だけが付与されるはずだった。
現在、米ドルはまずまずの金利がつく一方、ユーロ圏では日本と同様、超低金利政策がまだとられており、ユーロ/米ドルを売れば、つまり、ユーロ売り・米ドル買いのポジションを取れば、結構なスワップポイントをもらうことができる。
したがって、筆者がこのとき、資金を入れていたSBI FXトレードでユーロ/米ドルを売り、外為オンライン「外為オンラインFX」でユーロ/米ドルを買って両建てポジションを作り、4月25日(木)から4月26日(金)へ1日だけ持ち越せば、差し引き8日分のスワップポイントが手に入るはずだった。
これならFX口座から異なるFX口座へ資金を移動しなくても、その時点での筆者の資金がフルに活かせる。
ユーロ/米ドルの急変リスクは比較的低そう
為替市場で相場急変というと、新興国通貨や円絡みの通貨ペアで起こるイメージが強い。何らかのリスクオフ的な出来事が起こったとき、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)や米ドル/円が急落するのはおなじみの風景だ。
それに対して、ユーロ/米ドルは世界の為替市場でもっとも取引量の多い通貨ペア。クロス円や米ドル/円に比べると、急変リスクは低いように思える。
(出所:Bloomberg)
ただ、4月26日(金)は10連休前、最後の平日。筆者も出社しないわけにはいかなかった。翌日出社するなら、相場が急変して売り買い両建てポジションの片側だけ吹っ飛ぶようなことが起きないか、徹夜で見守るということもやってはいられない。
そこで、念のため、米ドル/円のトレードをやったときよりも、口座へ入れる証拠金を増やし、建てるポジション量を減らすことにした。
まず、追加の資金調達に成功したため、外為オンライン「外為オンラインFX」に500万円、SBI FXトレードに500万円を追加入金した。これで両口座に2500万円ずつ、合計5000万円を入金したことになる。
そして、米ドル/円のトレードでは買い200万通貨、売り200万通貨の計400万通貨のポジションを建てたが、ユーロ/米ドルのトレードでは売り160万通貨、買い160万通貨の計320万通貨のポジションを建てることにしたのだ。
米ドル/円のときと同じように一度にそれだけのポジションを建てるのは怖かったので4分割してポジションは建てた。「40万通貨買い+40万通貨売り」を4回行って、ユーロ/米ドル計320万通貨のポジションを建てたのである。
徹夜で見守ることはしないと決めた筆者だったが、それでも本記事シリーズの原稿を書きながら、4月26日(金)は午前3時台ぐらいまで起きていた。
SBI FXトレードで建てた計160万通貨のユーロ/米ドル売りポジションは平均レート、1.113064ドルだった。
一方、外為オンライン「外為オンラインFX」で建てた計160万通貨のユーロ/米ドル買いポジションは平均レート、1.1132ドルだった。
そして、安易にまたもスワップタダ取りができるだろうと思っていたのだ。
しかし、そうは問屋が卸さなかった。
NYクローズを跨いだら約8pipsもレートが異なっていた
以下はNYクローズを越えたあとの4月26日(金)午前8時頃のSBI FXトレードと外為オンライン「外為オンラインFX」の取引画面から取ったもの。ユーロ/米ドルの為替レートがよくわかる状態に整形してあるが、元画像は2社の取引画面の並びを調整し、一挙にキャプチャしている。
つまり、これは2社のまったく同じ時刻のユーロ/米ドルレートということになる。
このとき、外為オンライン「外為オンラインFX」のレートは1.1137-1.1138ドルを示していた。一方のSBI FXトレードのレートは1.114574-1.114632ドルを指し示している。両口座のレートは8pips以上も異なっていた。スプレッドの差などでは説明がつかないほど両口座のレートは乖離していたのだ。
SBI FXトレードとGMOクリック証券「FXネオ」のユーロ/米ドルレートも比べてみた。それが以下の図だ。
こちらは8pips弱の乖離が見られた。どうもSBI FXトレードのユーロ/米ドルレートは他社より8pips前後高くなっているようだったのだ。
NYクローズを跨いだあと、筆者のSBI FXトレードの口座にはスワップポイントが9日分、13万8240円ついていた。
けれど8pips乖離したまま、売り買い両建てのポジションを解消してしまったら、それ以上の損失が出て、このトレードはトータルでマイナスになってしまいそうだった。
雲行きが怪しくなり、FX界の一部がざわつき始めた
4月26日(金)の午前6時台、先にツイートを引用した億トレーダーの「ふさふさ」さんは以下のようにSBI FXトレードと他社のユーロ/米ドルレートが乖離していることをつぶやいていた。
本日も無事スワップ9日分もろた
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月25日
ただ、SBI(右)がレートズラしすぎで、しばらく利確できそうにないw
今ショートすると美味しいかも(・∀・) pic.twitter.com/EQEF4UtxtS
以下の前回記事で書いたとおり、前日に米ドル/円相場を見ていたとき、日本時間早朝のスプレッド拡大は時間が経つに連れて徐々に収まってきた。
【前回の記事】
●“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が4億5000万円分のポジションを建てた結果!?
何となく、それと同じような感じで、SBI FXトレードのユーロ/米ドルレートの他社との乖離もこの日のうちに徐々になくなってくるのではないか──筆者も当初はおおむねそう期待していたし、「ふさふさ」さんなどもそう思っていたのではないだろうか。
しかし、なかなか乖離が解消しないのを見て、「ふさふさ」さんは午前10時台にこんなふうにツイートしていた。
おいおい、マジでSBI FXはどうするつもりなんだろう…
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月26日
いつか戻すしかないだろうに(ヽ´ω`)
そして、午前11台にはこんなツイートになった。
抜き放題は訂正した方が良さそうや…
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月26日
こりゃしばらく戻らんな(ヽ´ω`)
FX界の一部がざわつき始めた。
「連日、スワップタダ取りしちゃったよ!」と喜んでいたら、段々雲行きが怪しくなってきたのである。筆者も為替レートが乖離したこの状態のまま、売り買い両建てポジションの解消はできない。
不安を抱えたまま、ポジションを解消できないまま、時は過ぎていった。
不気味によみがってきた元為替ディーラーの指摘
こうなってくると、“スワップ11倍デー”の前に元為替ディーラーの「たかはと」さんが指摘していたことがにわかに気になり出してきた(前々回の記事参照)。
【前々回の記事】
●平成最後の祭り、“スワップ11倍デー”にザイFX!編集長が含み損50万円突破!?
スワップ付与日数が異なる業者間で 配信されるレートが同じかどうかがポイントですね スワップ付与日数が異なる→value dateが違う という建て付けなら 2社間のレートが違うので。そうそう簡単なアービトラージは無いものと思料 https://t.co/amnApNTmde
— たかはと (@takahato) 2019年4月23日
(※「アービトラージ」とは一般に同一の価値を持つと思われる2つのモノに一時的に価格差が生じている場合、割高な方を売って、割安な方を買い、価格が同一になるのを待って決済することで利益を得る取引方法。「裁定取引」とも呼ばれる)
「配信されるレートが同じかどうかがポイント」、「そうそう簡単なアービトラージは無い」…米ドル/円の“スワップ11倍デー”ではこのような不安は現実のものとならなかったが、ユーロ/米ドルの“スワップ9倍デー”ではまさに現実のものとなりつつあるようだったのだ。
「ふさふさ」さんはSBI FXトレードに電話して事情を聞いてみたようだ。すると、以下のような回答があったとのことだった。
一応SBIFXに電話してみた~
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月26日
「インターバンクのレートに他社との差額スワップ8日分を上乗せしたレートで配信している」
「10連休の間に少しずつ乖離が解消されるはず」
とのことで、今から両建てはとても危険…
なんでこんなのが許されるのか、言い訳が難しくてよく分からんかったw
そうこうしているうちに、SBI FXトレードのログイン後の画面でも「ユーロドルをはじめとする対円以外通貨のレート表示について」というお知らせが出た。
そこでは、ユーロ/米ドルなどの為替レートはまとめて付与されたスワップポイントが加味されたものが提示されている、と説明されていた。
それって単にトレードがうまいだけですよね~?
いったいどうしたらいいのだろうか?
ザイFX!でもおなじみの羊飼いさんは4月26日(金)の午前6時台に以下のようにツイートしていた。どうやら、SBI FXトレードで400万通貨のユーロ/米ドル売りポジションを建て、34万円超のスワップポイントをゲットしていたようだ。
400万通貨でスワップ34万円
— 羊飼いFX★ (@hitsuzikai) 2019年4月25日
もっとやりたかったけどスプレッドが悪かった(•́ω•̀) pic.twitter.com/Dk28yZaQ18
【参考コンテンツ】
●羊飼いの「今日の為替はこれで動く!」
【参考記事】
●羊飼いがバカになって荒稼ぎした4カ月(1) 億を稼ぐ人はみんなバカになっている!?
●羊飼いがバカになって荒稼ぎした4カ月(2) ●千万円稼いだスキャルの手法とは?
●羊飼いさんはどうやって儲けてる? 時刻が近い2つの経済指標を利用した作戦とは?
しかし、時間が経っても、為替レートの乖離が縮まらないことにはやはり羊飼いさんも困ったようだった。
そして、4月26日(金)の夕方になってから「600万通貨追加ショート→計1000万通貨ショートにして相殺した」との羊飼いさんのツイートが…。
某社のユーロドル
— 羊飼いFX★ (@hitsuzikai) 2019年4月26日
スワップ8倍でのスプレッド乖離の件
もう面倒だから裁量で600万通貨追加ショート→計1000万通貨ショートにして相殺した( ͡° ͜ʖ ͡°
良い子は真似しない様に
複数日付与が一部の会社に限定される時は操作される可能性がある。勉強になった。次回に生かす https://t.co/4FV1GQrTgE pic.twitter.com/SvBbsRS6ng
どういうことなのだろうか? さらに羊飼いさんのツイートを見てみると…
>>合計30万円ぐらいプラス
— 羊飼いFX★ (@hitsuzikai) 2019年4月26日
①YJFXで35万の為替差益、4万円のマイナススワップ
②SBIFXで35万円のスワップ、ナンピンした結果の為替損益がマイナス33万円
これの合計で30万円ぐらいです
結局、裁量の技に頼って、無理やり両建てをプラスで解消した形になります
要するに羊飼いさんは、どうも面倒くさくなり(?)、裁量トレードのポジションをさらに追加して、一連のトレードを強引にプラスにもっていったようだった。
「それって単にトレードがうまいだけですよね~?」と筆者は羊飼いさんになぜか上から目線で突っ込みたい気分だった!?
その一方、羊飼いさんは「良い子は真似しない様に」とも書いていたので、筆者はちゃんと羊飼いさんのマネはしなかったのである。良い子が…というか、普段、1000通貨単位で取引しているような弱小トレーダーがいきなり100万通貨以上の裁量トレードに手を出すようなことをしたらケガするだけだろうと考えたのだ。
レートが高い会社で売り、同時に低い会社で買えば儲かる?
リピート系のトレード手法の1つ、「グルグルトレイン(通称:グルトレ)」の開発者である川崎ドルえもんさんはこの日、こんなふうにつぶやいていた。
ほんとだ、SBIFXのユーロドルの価格が他社と違う
— 川崎ドルえもん (@kawasakidoruemo) 2019年4月26日
つまりSBIFXでユーロドルをショートして他社で両建てロングすれば剥離が直った時点で利益?
これは筆者も考えた。筆者の場合は新規にポジションを建てなくても、すでにユーロ/米ドルをSBI FXトレードで売って、外為オンライン「外為オンラインFX」で買っているので、両口座の為替レート乖離が埋まるまで待ってポジションを解消すればいいはずである。
けれど、「ふさふさ」さんがSBI FXトレードに電話して聞いた話では「10連休の間に少しずつ乖離が解消されるはず」とのことだった。実際、まとめて付与した分のスワップポイントが為替レートに上乗せされているのなら、まとめて付与したがためにスワップポイント0の日が続く連休中に為替レートの乖離が徐々に縮まっていくことが妥当そうなことが筆者にも段々イメージできてきた。
その場合、筆者がユーロ/米ドルを買っている外為オンライン「外為オンラインFX」のスワップポイントはどうなるか? 外為オンライン「外為オンラインFX」のスワップポイントは連休など関係なく、規則正しく付与されていくので、ユーロ/米ドルを買っている筆者の場合、連休中も徐々にスワップポイントを支払っていかなくてはならない。
そうなると、結局、ユーロ/米ドルの為替レート乖離が縮まるだろう連休終盤か連休明けにはスワップポイントの支払いが貯まっていき、ポジション解消を我慢して待っていたとしても、利益が出ないことに変わりはないのではないか…と思われた。
そして、他の多くのFX会社もユーロ/米ドルについては連休中のスワップポイント付与日数はおおよそ通常どおりと思われるため、他のFX口座を使ったとしても、連休中にユーロ/米ドルの買いポジションを持ち続ければ、スワップポイントを支払っていかなくてはならないのは同じだと思われた。
SBIグループのユーロ/米ドルレートは同じだった
ただ、筆者がちょっと期待を持って確認に走った口座もあった。SBI証券と住信SBIネット銀行のFX口座である。
両社はSBI FXトレードと同じSBIグループであるだけに、スワップポイント付与日数が他社と異なっており、連休中のユーロ/米ドルはおおよそスワップポイント0の模様だった。
ただ、それと同時にユーロ/米ドルの為替レートは当然のように他社と比べて上方に乖離していた。
一気にまとめてスワップポイントが付与されたからこそ、為替レートの乖離は起こっているのだ。為替レートは他社と同じで、スワップポイントの支払いも免れるというわけにはいかないようなのだ。ちょっとでも期待した筆者がバカだった。
「そうそう簡単なアービトラージは無いものと思料」という「たかはと」さんの言葉が改めて重くのしかかってきていた。
スワップ付与日数が異なる業者間で 配信されるレートが同じかどうかがポイントですね スワップ付与日数が異なる→value dateが違う という建て付けなら 2社間のレートが違うので。そうそう簡単なアービトラージは無いものと思料 https://t.co/amnApNTmde
— たかはと (@takahato) 2019年4月23日
「トライアングル・アービトラージ(三角裁定取引)」とは何か?
さて、先ほど引用した川崎ドルえもんさんのツイートに対して、トレーダーの「ぽてと」さんは以下のような興味深いツイートをしていた。
他社のマイナススワップが発生するので乖離が戻るGW明けにはその分と相殺されてしまう。 SBIFX上で完結させるには、 EUR/USD S EUR/JPY L USD/JPY S 比率は 1:1:1.114 これで乖離解消後に平均通常スプレッドを差し引いた分プラスになるでしょう https://t.co/6MAyLoglMK
— ぽてと (@akakurosiro3) 2019年4月26日
SBI FXトレードとどこか他の会社で売り買い両建てのポジションを取るのではなく、SBI FXトレード内でユーロ/米ドル売り、ユーロ/円買い、米ドル/円売りのポジションを適切な比率で取ればいいというのである。
さらに「ぽてと」さんはこんなツイートをしていた。
triangular arbitrage を1社で完結させてしまうとは。 まあSBIもこういうのやめてほしくて書いたんだけど、影響力は無いとは思うがこういうアイデアも広がると悪影響しかないな。
— ぽてと (@akakurosiro3) 2019年4月26日
ここに「triangular arbitrage」という言葉が出てきた。
カタカナで書けば「トライアングル・アービトラージ」、日本語にすれば「三角裁定取引」というこの取引方法はどのようなものだろうか? 正直、筆者もよく知らなかったので、この日、調べてみたのだった。
関連ある3つの通貨ペアは矛盾のないレートになるはず
ある程度、経験のあるFXトレーダーであれば、通常、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の為替レートはドルストレート(米ドル絡みの通貨ペア)同士から計算して出されているという話を聞いたことがあるのではないだろうか。
為替相場では、関連のある通貨ペアがまったくバラバラに動くことはない。
極端な例を挙げてみるが、たとえば、ユーロ/米ドルが1.00ドルのときに、米ドル/円が100円だったら、ユーロ/円が200円になるなどということはあり得ない。
ユーロ/米ドルが1.00ドルであれば、ユーロと米ドルは等価なのだから、1米ドル=100円なのであれば、1ユーロ=100円にならなくてはおかしいのだ。
そして、為替の基本はドルストレート(米ドル絡みの通貨ペア)ということからは、ユーロ/米ドルの為替レートと米ドル/円の為替レートがあれば、そこからユーロ/円の為替レートが算出できるということになる。
そして、インターバンク市場などではそのような計算は行われていないのだろうが、机上の計算として、ユーロ/米ドルの為替レートとユーロ/円の為替レートから米ドル/円の為替レートを出すこともできるし、米ドル/円の為替レートとユーロ/円の為替レートからユーロ/米ドルの為替レートを出すこともできる。
そして、米ドル、円、ユーロを絡ませたこれら3通貨ペアはこのような計算をしても、互いに矛盾のない為替レートになっていなければおかしいのだ。
けれど、為替レートに矛盾があった場合、3通貨ペアについて適切な量で売りや買いのポジションを建て、やがて為替レートの矛盾がなくなったときにポジションを解消すれば、利益が得られる──これが「トライアングル・アービトラージ(三角裁定取引)」ということのようだ。
「矛盾がある為替レートはどっちだ?」問題に衝撃の事実
今回、この「トライアングル・アービトラージ(三角裁定取引)」を筆者がやるとした場合、外為オンライン「外為オンラインFX」のユーロ/米ドル買いポジションを解消すると同時に、SBI FXトレードでユーロ/円の買いポジション、米ドル/円の売りポジションを適切な量だけ建てればよいことになる。
しかし、為替レートが止まってくればいいが、刻一刻とピコピコ動いてる間に2つの口座で異なる3つの通貨ペアについて、それぞれ適切な分量を計算して瞬時にポジションを解消したり、建てたりするというのは、なかなかに難儀な話になりそうだった。
それでも筆者はその可能性を追求しようとしていたのだが、会社でザイFX!の通常業務を終えたあと、4月26日(金)の夜に自宅に帰ってからやっと、基本に返ってある単純な計算をした結果、驚くべき事実に気づいたのだった。
SBI FXトレードの為替レートはおかしくなかったのだ。
おかしいのは他のいろいろなFX会社のレートだったのである。
先ほど書いたような、ユーロ/米ドルと米ドル/円からユーロ/円の為替レートを算出し、ユーロ/米ドルとユーロ/円から米ドル/円の為替レートを算出し、米ドル/円とユーロ/円からユーロ/米ドルの為替レートを算出し…というようなことをやったときに、矛盾が出てくるのは他のいろいろなFX会社の方であり、SBI FXトレードでは矛盾は出てこなかったのである。
以下のキャプチャはもう午前0時を回り、4月27日(土)に入ってしまってからのものだが、GMOクリック証券「FXネオ」の取引画面の一部だ。
米ドル/円の為替レートは111.595円(BID)-111.598円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は111.5965円になる(※)。
(※「BID」はユーザー側が売ることのできるレートであり、FX会社側が買うレートのこと。逆に「ASK」はユーザー側が買うことのできるレートであり、FX会社側が売るレートのこと)
次にユーロ/円は124.594円(BID)-124.599円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は124.5965円になる。
米ドル/円の111.5965円というレートとユーロ/円の124.5965円というレートから、ユーロ/米ドルのレートを算出すると
124.5965÷111.5965=1.11649
ということになる。
GMOクリック証券「FXネオ」の取引画面で実際に示されていたユーロ/米ドルの為替レートは1.11567ドル(BID)-1.11571ドル(ASK)だった。米ドル/円とユーロ/円から算出したユーロ/米ドルのレートと実際に提示されていたユーロ/米ドルのレートには8pips程度の差があったのだ。
試しにもう1社、外為どっとコム「外貨ネクストネオ」も見てみよう。こちらは先ほど掲載したGMOクリック証券「FXネオ」のキャプチャの19分後に取ったキャプチャだ。
このとき、米ドル/円の為替レートは111.583円(BID)-111.586円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は111.5845円になる。
次にユーロ/円は124.565円(BID)-124.569円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は124.567円になる。
米ドル/円の111.5845円というレートとユーロ/円の124.567円というレートから、ユーロ/米ドルのレートを算出すると
124.567÷111.5845=1.11635
ということになる。
外為どっとコム「外貨ネクストネオ」の取引画面で実際に示されていたユーロ/米ドルの為替レートは1.11554ドル(BID)-1.11557ドル(ASK)となっているから、米ドル/円とユーロ/円から算出したユーロ/米ドルのレートと実際に提示されていたユーロ/米ドルのレートにはやはり8pips程度の差があったのである。
SBI FXトレードの為替レートはおかしくなかった
では、問題だと思っていたSBI FXトレードで同じような計算をするとどうだろうか。以下はGMOクリック証券、外為どっとコムでキャプチャを取ったのとおおよそ同じような時間帯にキャプチャしたSBI FXトレードの為替レートだ。
※SBI FXトレードのレートパネルは米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルの並びになっていない。上図はこの並びになるよう画像をカットしてつなげたもの
米ドル/円の為替レートは111.6098円(BID)-111.6125円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は111.61115円になる。
次にユーロ/円は124.5565円(BID)-124.5604円(ASK)を示している。BIDとASKの真ん中の値は124.55845円になる。
米ドル/円の111.61115円というレートとユーロ/円の124.55845円というレートから、ユーロ/米ドルのレートを算出すると
124.55845÷111.61115=1.116004
ということになる。
このとき、SBI FXトレードの取引画面で実際に示されていたユーロ/米ドルの為替レートは1.115942ドル(BID)-1.115990ドル(ASK)だ。微妙に差はあるものの、その差は1pipsもない。
ユーロ/米ドル、米ドル/円、ユーロ/円の為替レートに相互矛盾はないかという観点から見る限り、おかしいのでは?と思われたSBI FXトレードの為替レートの方が正しいようなのだ。
SBIグループと同じ矛盾のないレートだったのはロイターだけ
筆者は当初、上方に乖離しているSBI FXトレードのユーロ/米ドルのレートが連休中に徐々に他社のレートに近づいていくのではないかと思っていたのだが、どうやら近づいていくのはSBI FXトレードのレートではなく、他社のレートになりそうだったのである。
そして、SBI FXトレードのユーロ/米ドル、米ドル/円、ユーロ/円の為替レートに相互矛盾がないのであれば、複雑な操作をしてSBI FXトレード内で「トライアングル・アービトラージ(三角裁定取引)」をやろうとしても、おそらく利益は出ないものと考えられた。
4月26日(金)~4月27日(土)にかけて、各社のユーロ/米ドルレートがずう~っとこのような状態になっていたかどうかはわからない。「ぽてと」さんの他のツイートなどを見ると、その状態は途中で変化した可能性は、もしかしたらあったのかもしれない。
なお、「ふさふさ」さんは4月26日(金)の19時台に以下のようなツイートをゴニョゴニョしていた。筆者がここまで書いてきたような内容をこの時点で「ふさふさ」さんは認識していたのだろうと思われる。
できる業者がかなり限られるので詳細は内緒(ヽ´ω`)
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2019年4月26日
SBIだけユロルのレートがおかしいと思っていたけど、ドル円ユロ円で換算するとおかしいのは他社の方
なので、他社でゴニョゴニョして戻るの待てばいい
(スワップがアレな業者に限る)
フラクラ起きても相殺されるけどスプ異常拡大したら死ぬかも
ちなみに筆者は4月27日(土)の午前0時を回ってから、SBI FXトレード以外に14社ほどの為替レートを次々と見て回ったのだが(取引所FXのくりっく365を含む)、いずれも先ほど紹介したGMOクリック証券&外為どっとコム型のユーロ/米ドル、米ドル/円、ユーロ/円で相互矛盾のある為替レートになっていた。
※主要FX会社でレートパネルが米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルの並びになっていないところは、この並びになるよう画像をカットしてつなげた
※主要FX会社でレートパネルが米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルの並びになっていないところは、この並びになるよう画像をカットしてつなげた
日本経済新聞のウェブサイトも同様にGMOクリック証券&外為どっとコム型のユーロ/米ドル、米ドル/円、ユーロ/円で相互矛盾のある為替レートを掲載していた。
筆者が目撃した中で唯一、SBIグループ型のユーロ/米ドル、米ドル/円、ユーロ/円で相互矛盾のない為替レートになっていたのはロイターだけだった。
なぜ、このようなことになっているのか。インターバンク市場やFX会社の内情にそれほど詳しくない筆者にはわからない。今後、取材などして、もしもこのナゾが解明できたら、当コーナーなどでお伝えしたいと思う。
売り買い両建てポジションを断腸の思いで損切り!!
4月26日(金)のNYクローズ(日本時間4月27日(土)早朝)が近づいてきていた。筆者はユーロ/米ドルの売り買い両建てポジションをどうしたら良いだろうか?
・連休中、ポジションを持ったままにして為替レートの乖離が解消するのを待つ
・トライアングル・アービトラージ(三角裁定取引)を試みる
といった案をここまで検討してきたのだが、どれも利益を上げる望みは薄そうだった。
その一方、筆者には別の希望の光も残っていた。
それは4月24日(水)に公開した以下の記事で紹介していた、連休中に売り買い両建てで10日分のスワップポイントをもらうやり方である。
【参考記事】
●「スワップ11倍デー」だけじゃない! 10連休に為替変動リスクなしでスワップ10日分ゲット!?
そのやり方については次回の記事で詳しく説明するが、これをやるためにはユーロ/米ドルの売り買い両建てポジションを整理して、口座を余力のある状態にしなければならない。
筆者は散々いろいろ検討したあげく、もうダメだと観念し、「たかはと」さんの「そうそう簡単なアービトラージは無いものと思料」という言葉を改めて噛みしめ、「思料」なんていう難しい言葉は怖いな~と思いつつ、けれど、次のトレードへの希望は持ちながら、4月27日(土)の午前2時台に断腸の思いでユーロ/米ドル売り買い両建てポジションの損切りを行ったのだった。
以下は今回のユーロ/米ドル売り買い両建てトレードのSBI FXトレードでの約定取引明細(本物)だ。
※SBI FXトレードのスマホアプリの約定取引明細は表示件数に限りがあるため、画像をつなげて一覧にした
そして、以下は今回のユーロ/米ドル売り買い両建てトレードの外為オンライン「外為オンラインFX」での約定取引明細(本物)。
※外為オンライン「外為オンラインFX」の約定取引明細は横幅が長く、そのまま掲載すると数字が小さくて見づらくなってしまう。そのため、取引証拠金など一部の項目をカットして画像をつなげ、横幅を短くして見やすくしている
以上のスワップポイントの損益と為替差損益を表にまとめると以下のようになる。
FX会社 「口座名」 |
スワップポイント 損益 |
為替差損益 |
SBI FXトレード | +13万8240円 | -65万1874円 |
外為オンライン 「外為オンラインFX」 |
-1万6000円 | +46万4171円 |
合計 | -6万5463円 |
為替差損益とスワップポイントを合わせ、結局、このトレードは6万5463円の損失となってしまった。
かなり確実に儲かるだろうとの皮算用で臨んだ筆者の「売り買い両建てスワップタダ取りトレード」はユーロ/米ドルの“スワップ9倍デー”については無残な失敗に終わったのだった。
(「含み損140万円!? 平成→令和の元号跨ぎ取引でザイFX!編集長をトランプ砲が直撃!」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集長・井口稔 編集協力/ザイFX!編集部・藤本康文)
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