「FXで利益が出たら税金がかかるって聞いたけど、よくわからない…」なんて困っている人がいるかも。
この記事では、FXの税金・確定申告について大事なポイントをさくっと押さえていただけるよう、要点をわかりやすくまとめてお伝えしていきます。

【目次】
・ 確定申告って何? 2018年分の実施期間は?
・ 確定申告が必要な人/不要な人
・ FXで必要経費として認められるのは?
・ FXの利益は雑所得で申告分離課税
・ スワップポイントへの課税に注意
・ 他の金融商品と損益通算
・ 負けた年こそ申告して繰越控除
・ 確定申告書の作成&提出方法
・ e-Tax(電子申告)やスマホ申告
■確定申告って何? 2018年分の実施期間は?
確定申告はふるさと納税や医療費控除などで経験したことがある人もいるかもしれませんが、FXでも利益が出た場合、原則として自分で確定申告を行って税金を納める必要があります。
のちほど詳しく紹介しますが、FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、所得に対して一律20.315%の税金がかかるのです。
確定申告とは、毎年1月1日~12月31日までに得た所得を計算し、申告・納税する一連の手続きのこと。
2018年(平成30年分)の所得についての確定申告期間は、2018年2月18日(月)~3月15日(金)までで、対象となる人は期間内に所定の方法で手続きを行わなければなりません。

ただし、FXで利益を上げた人が全員必ず確定申告を行い、税金を納めなければならないか?というと、そういうことでもありません。FXで利益が上がっていても確定申告を行う必要がないケースもあります。
■確定申告が必要な人/不要な人
どんな場合に確定申告が必要で、どんな場合に不要なのか? 具体例を見ながら確認していきましょう。
以下に、会社員、自営業・自由業、主婦・主夫、学生、年金生活者
を例に、それぞれ確定申告が必要となる条件を記載しました。ご自身の状況と近いものを参考にしてみてください。
対象者例 | 条件 |
自営業・自由業 (フリーランスやフリーターなど) |
FXなどで得た所得が38万円を超える場合 |
主婦・主夫、学生 (主婦・主夫、学生、家事手伝いといった扶養家族の場合など) |
|
会社員 (給与収入額が2000万円以下の給与所得者など) |
給与所得や退職所得以外の所得(FXを含む)で20万円超の所得がある場合 |
年金生活者 (公的年金等の収入金額が400万円以下の場合) |
公的年金等に係る雑所得以外の所得(FXを含む)で20万円超の所得がある場合 |
※「会社員」でも、給与を2カ所以上から受け取っていたり、給与収入額が2000万円を超える場合、各種所得控除の申請をする場合などは、そもそも確定申告が必要
※「年金生活者」には、「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」で、かつ「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下」なら確定申告が不要となる確定申告不要制度が設けられている
自営業や自由業の人は、FXをしていてもしていなくても確定申告をすると思いますが、あまり確定申告になじみがない会社員や主婦・主夫、学生、年金生活者の場合も、FXをしていれば確定申告と無関係ではいられません。
たとえば、会社員の場合は、毎月のお給料から税金が源泉徴収され、さらに、年末に1年間の所得や控除を再計算する年末調整が行われることで税金の過不足が調整されます。
一連の手続きは会社が代行してくれますので、お給料やボーナスといった給与所得について自分で確定申告を行う機会はあまりないのが一般的です。
しかし、給与所得や退職所得以外の所得(FXの利益も含む)が20万円超ある場合は年末調整が行われていたとしても、別途、自分で確定申告を行う必要があります。
ほかにも、給与が2000万円を超える高給取りの人や給与を2カ所以上から受け取っている人などは、会社員であっても確定申告が必要。住宅ローン控除や医療費控除などの還付を受けようとする場合も、同じく確定申告が必要です。
申告を忘れたり、めんどうだからと放置したり、黙っておけばバレないだろうと故意に申告しなかったり…理由はどうあれ、対象となる一定の所得があるのに確定申告をしなかったとなれば、無申告加算税や重加算税などがペナルティとして加算され、のちのち普通に納税するよりもずっと重たい税金がのしかかってくる可能性もあります。
【参考記事】
●脱税総額9億円! 超ビッグFX対談!!池辺雪子×磯貝清明
●FXで8億円稼いだ主婦…池辺雪子さんのトレード手法(1)~合計利益は4億円ではなく、8億円!!~
●税理士・三瀬氏に聞く2012年確定申告(2)海外FX口座は税率20%でなく最大50%!?
もっとも住宅ローン控除のように還付を求めるような申告の場合は、それをしなかったとしても誰にも怒られません。ただ、戻ってくるはずのお金が戻ってこないということになるので、単純に自分が損をします。
いずれにしても必要な場合はきちんと確定申告を行って、支払うものは支払い、返してもらえるものは返してもらうようにしましょう。
■FXで必要経費として認められるのは?
FXで一定以上の利益が出たら、誰でも確定申告して税金を支払わなければならないということはおわかりいただけたと思いますが、100万円なら100万円、500万円なら500万円という利益に対してまるっと税金がかかるのか?というと、そんなことはありません。
確定申告の際は、得た利益から必要経費を差し引いた金額を所得として申告し、その所得に対して税金がかります。
<確定申告する際の「所得」の考え方>
FXの年間利益-必要経費=所得金額
※実際には各種控除が適用される場合もあるが、ここでは省略
必要経費とは、ざっくりお伝えすると、その所得を得るために必要となった費用のこと。
FXで考えると、たとえばトレード手法を学ぶために支払うセミナー受講料や関連書籍の代金、情報収集のために購読する有料メルマガの料金などが必要経費に当たると考えられます。
<FXで必要経費として認められそうなもの>
・ セミナー受講料
・ 関連書籍の代金
・ 有料メルマガの購読料
・ 外枠の取引手数料
ちなみに、有料メルマガも経費として申告できるなら、ザイFX!会員限定メルマガの購読料も必要経費に入れられるはずです(※)。
(※必要経費については、税務署によって見解が異なる可能性がある)
以前、脱サラトレーダーのひろぴーさんは、ザイFX!の有料メルマガ・西原宏一氏の「FXトレード戦略指令!」の購読料について、経費として申告し、認められたと語っていました。
【参考記事】
●あの投資家たちのFX確定申告の実態(1) ひろぴーさんが必要経費に入れたものは?
【参考コンテンツ:ザイFX!投資戦略メルマガ】
●西原宏一氏の「FXトレード戦略指令!」
●バカラ村氏の「バカラ村のFXトレード日報」
●今井雅人氏の「FXプレミアム配信with今井雅人」
ほかにも、取引手数料無料がほとんどのFX業界ではあまり見られませんが、取引にあたって外枠の取引手数料がかかった場合は、これも必要経費に当たると考えられます。
ただし、売値と買値の差で実質的なコストとなるスプレッドは、あらかじめ売買損益に反映されていることから、確定申告において、別途、必要経費として申告することはできませんのでご注意を。
【参考コンテンツ】
●FX会社徹底比較!:取引コストで比べる
いったいどこまでが経費として認められるのか?というのは難しいところです。自分で判断するのが微妙なケースがあれば、近くの税務署や税理士さんなどの専門家に相談してみるといいでしょう。
■FXの利益は雑所得で申告分離課税
さて、所得税算出の元となる「所得」は、給与所得や譲渡所得、配当所得など性質別に10種類に分類されますが、FXの利益はその中の雑所得という所得に該当します。
ただし、雑所得は雑所得でも、FXの利益は特例として「先物取引に係る雑所得等」に分類され、他の雑所得とは異なる課税方式が適用されるのです。
「先物取引に係る雑所得等」に適用される課税方式は、申告分離課税と呼ばれるもの。申告分離課税とは、他の所得と分離して納税額を計算し、それを確定申告によって納める方式のことを言います。
税率は、所得に対して一律20.315%(※)。FXの利益が50万円でも500万円でも5000万円でも所得金額に関係なく、等しく20.315%です。
(※本来は所得税15%・住民税5%で一律20%だが、2013年~2037年は、所得税に対して、さらに2.1%の復興特別所得税が課されるため、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる)
単純に計算すると、FXの利益が100万円で必要経費が10万円だったとすると、税金はいくらになるでしょうか? 試しに算出してみました。
<FXの利益に対する税金の計算例>
FXの利益が100万円で必要経費が10万円
100万円-10万円=90万円
90万円×20.315%=18万2835円
納税額:18万2800円
※実際には各種控除が適用される場合もあるが、ここでは省略
※納税額は100円未満切り捨てとする
ちなみに、「先物取引に係る雑所得等」などの特例が適用されない一般的な雑所得に適用される課税方式は総合課税と呼ばれるもの。
この方式では、総合課税の対象となる所得を合算し、所得金額に応じて税率が高くなる累進課税と呼ばれる方法で課税されて納税額が決まります。税率は、所得税と住民税を併せて15%~55%(※)。所得金額が大きくなるほど税率も高くなり、納税額も増えるしくみです。
(※復興特別所得税を加味せずに記載)
ついでにお伝えすると、一時期、大流行したビットコインなどの仮想通貨取引で上がった利益には総合課税が適用されます。所得金額によっては最高で55%の税率ですから、乱暴な言い方をすると、がんばって利益を出しても半分以上、税金に消える可能性があるということです。
仮想通貨は、2017年頃に前代未聞の爆騰を見せ、仮想通貨取引発の「億り人」を幾人も世に生み出しましたが、莫大な利益を上げた「億り人」のみなさんの多くは、ものスゴい金額の税金を納めたのではないかと…。
【参考記事】
●ビットコイン価格は1000万円へ上昇と予想! ダブル億り人ひろぴーさんがとるリスクとは?
●約2億円の利益!? ヨーロピアン氏がBTCを200万円付近で決済できたのはなぜか?
●ハイパーニート・ポイン氏はどのように仮想通貨に出会い、億り人になったのか?
FXの利益に対する税率20.315%を高いと見るか、そうでもないと感じるかは人それぞれだと思いますが、他の所得と切り離して申告でき、しかも、税率が所得金額を問わず一律となっている点は、総合課税が適用される仮想通貨取引などと比べると、かなり有利なしくみであることは確かでしょう。
■スワップポイントへの課税に注意
続いて、確定申告の際に、何をもってFXの利益と考えるのか? という点について、少し説明しておきます。
結論からお伝えすると、FXの利益は、決済して確定した為替差益とスワップポイント(スワップ金利)が該当するとされています。
未決済ポジションは、まだ損益が確定していませんので課税対象とはなりません。つまり、ポジションを保有していて含み益が出ている状態では課税されないのです。
一方、スワップポイントについては、ちょっと注意が必要。
スワップポイントは、日をまたいでポジションを保有することで、日々、受取り、または支払いで発生するものですが、FX会社の中には、ポジションを保有したまま、受取りで発生したスワップポイントが自動的に現金化される会社があります。
例を挙げると、セントラル短資FX[ダイレクトFX]やYJFX![外貨ex]、GMOクリック証券[FXネオ]などがそうです。
このタイプのFX会社では、ポジションが未決済である限り為替差益は課税対象になりませんが、スワップポイントについては、ポジションが未決済であるか否かを問わず課税対象となります。
【参考記事】
●あの投資家たちのFX確定申告の実態(2) 含み損なのにスワップ分を納税する悲劇!?
また、自動的に現金化されるワケではありませんが、ユーザー側で指示を出せばポジションを保有したままスワップポイントだけを現金化し、引き出せるFX会社もあります。
こうしたサービスは、スワップ振替やスワップ受取といった機能名で提供されていることが多いようです。
こちらが指示しない限りスワップポイントは含み益の扱いとなり、含み益である限り課税対象とはなりませんが、スワップ振替やスワップ受取の指示を行えば、課税対象となりますので注意が必要です。
この機能は、ヒロセ通商[LION FX]やDMM.com証券[DMM FX]、トレイダーズ証券[みんなのFX]、外為どっとコム[外貨ネクストネオ]などで提供されており、使ったことがある人もいるかもしれません。
このように、たとえポジションが未決済であっても、スワップポイントについては課税対象になる場合があるという点は、ぜひ、知っておいてください。自分が取引しているFX会社のスワップポイントの扱いが不明瞭な場合は、問い合わせをするなどして、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
続いて、複数の金融商品で取引している人に、ぜひ、押さえて…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)