■菅首相が目指していた「1日100万回接種」に到達
前回のコラムでは、ワクチン接種とオリンピックそして「円」の関係について書きました。日本のワクチン接種に関しては、さまざまな混乱があり、当初、接種スピードは伸びませんでしたが、本日(6月9日)、ついに1日100万回接種という菅首相の目標に達したと報道がありました。
ワクチン接種、発表ベースで「1日100万回」達成
出所:産経新聞
写真は菅首相。当初から目標としていた、新型コロナワクチンの1日100万回接種を達成した (C)Getty Images News
ワクチン接種のスピードが高まっているのは、個々の自治体で小さな努力を積み重ねられた結果なのだと思います。団体戦は日本の得意とするところです。職域接種も始まります。できるだけ早いスピードで接種が伸びれば良いなと思っています。
【参考記事】
●日本でも新型コロナワクチン接種が本格化。「円」が買われるかは、オリンピック開催次第(6月2日、志摩力男)
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■金融政策を正常化させる競争がスタート
為替マーケットは膠着状態です。ワクチン接種で先行する米英が伸び、その後、欧州が追いつきという構図でした。
今度は、より金融政策を早く正常化させる競争となっています。よって、今週(6月7日~)のECB(欧州中央銀行)理事会や、来週(6月14日~)のFOMC(米連邦公開市場委員会)等々の、金融政策会合が注目を集めることになります。
しかしながらそうなると、経済指標の発表を待ったり、金融政策会合の発表を待ったり、「待ち」の時間が長くなり、少しつまらなくなります。
もっとも注目されるのは、米国がいつ引き締め方向に政策変更するか、ということでしょう。すなわち、テーパリング(※)がいつ「開始」されるのか?また、いつ「開始」するかの議論をいつ「開始」するのか?といった点です。今後マーケットは、こうしたタイミングを測ることに執心することになります。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
【参考記事】
●米国がテーパリングするなら、いつ頃?バイデン増税が始まれば、利上げは先か…(4月28日、志摩力男)
FRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレも重要ですが、雇用も重視する2つの「マンデート」を課されています。その分、他の中央銀行よりも引き締めに転じるのが少し遅くなるでしょう。
注目される米国のテーパリングの行方だが、FRBには2つのマンデートを課されているので、その分、他の中央銀行よりも遅くなると志摩さんは見ている (C)Bloomberg/Getty Images News
他の中央銀行は、インフレ率をコントロールすることだけを課されています。そうなると、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])がFRBよりも早く動いたように、米国より早く動く中銀が出てきます。今月(6月)24日(木)の英MPC(金融政策委員会)は注目されると思います。
【参考記事】
●テーパリング開始決定で、カナダドル急騰!米FRBも、早ければ夏ごろに示唆する可能性(4月22日、志摩力男)
そして、世界全体が金融正常化局面に入ると、日本の金融政策が正常化する可能性は極めて低いので、経済回復局面に入るとその部分が顕在化し、「円」は物価水準から見ると割安(購買力平価で見ると安いという意味です)であるにも関わらず、弱く推移することになると思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■ワクチン開発に成功した5カ国に、日本は対抗できるか
まだ世界は完全に新型コロナウイルスを克服したわけではありませんが、結局、世界を救ったのは「ワクチン」でした。
ファイザー社(米)とバイオンテック社(独)の共同開発、モデルナ社(米)、アストラゼネカ(英)といった会社が早期開発に成功しました。
前者の2つは「mRNAワクチン」というこれまでになかった新しい技術で開発されましたが、ウイルスそのものを手にする前から設計図を書き上げ、早期の治験に移り、しかも治験が終わる前に生産開始しました。同じことが日本でできるでしょうか?
英国のジョンソン首相が「冗談」としながらも、英国のワクチン開発成功は「強欲」と「資本主義」が理由と言ったそうですが、真実だと思います。これまでワクチン開発に成功したのは、米国、英国、ドイツ、ロシア、中国です。はからずも、これからも世界をリードする5つの国々です。
ジョンソン英首相は、冗談としながらも、英国のワクチン開発成功は「強欲」と「資本主義」が理由と言ったというが、志摩さんはこれは真実だと指摘している (C)Justin Sullivan/Getty Images
こうした国に日本は対抗できるのか。日本には「強欲」と「資本主義」が足りないのでしょう。
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■新型コロナが終わった時、真実の姿が浮かび上がる
新型コロナウイルスが終わったとき、真実の姿が浮かび上がると思います。
実質金利差、購買力平価、こうした点から見ると円高になるはずですが、そうなりそうにもありません。金融正常化に移れない「円」は、今後も弱く推移するでしょう。
その対象は、金融正常化にどうしても遅れてしまう米国ではなく、英ポンドやもしかするとユーロではないかなと思います。英ポンド/円、ユーロ/円を強気で見ていきます。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
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