■ラガルド総裁、12月の追加緩和示唆でユーロ安
市場の注目は米大統領選のため、他の材料ではトレンドができないと思いますが、軽く他の材料に触れてみると、まず、10月29日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会があり、ラガルドECB総裁が12月の追加緩和を示唆しました。
それを受けて、ユーロ安へ推移しました。
(出所:TradingView)
また、欧州では、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、英国も11月5日(木)から12月2日(水)までロックダウン(=都市封鎖)をすることが決定しました。
12月はクリスマス商戦となるため、それまでに落ち着かせなければ、景気悪化への影響も大きくなります。
■イベント多いが、最大の注目材料は米大統領選
今週(11月2日~)のイベントとしては、3日(火)にRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])理事会があります。
政策金利が0.10%へ引き下げられることが見込まれていますが、すでに市場で予想されていることや、米大統領選前ということで、豪ドルの下げも限定的だと思います。
(出所:TradingView)
そして、5日(木)(日本時間6日午前4時)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表、6日(金)午後10時30分には米雇用時計があります。
【参考記事】
●FX初心者のための基礎知識入門:FOMC
●FX初心者のための基礎知識入門:米雇用統計
ただ、これらでトレンドが出るようには思えず、11月3日(火)の米大統領選が、最大の注目材料です。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
■4日、午前9時ごろからのスタンバイが良さそう
4年前(2016年)の米大統領選では、日本時間で翌日の午前10時ごろから、トランプ氏が優勢という報道が出てきたこともあり、動きが激しくなってきました。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2) トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
●激戦州のオハイオなどでトランプ氏勝利! ドル/円は101円台、日経平均は900円超安
●米大統領選挙は予想外のトランプ氏勝利! リスクオフで米ドル/円急落も意外な動き…
そのときのことを考えると、今回も、日本時間4日(水)の午前9時ごろからは、スタンバイをしていた方が良いのではないかと思います。
ただ、今回の米大統領選は、郵便投票が多いため、すぐに大勢が判明しない可能性も充分にあります。
日経(日本経済新聞)によると、世論調査では、激戦州(スイング・ステート)の45%の人が郵便投票をすると報じられています。
新型コロナウイルス感染拡大の動きもあり、判明が遅れると、金融市場も乱高下が続きやすいことになります。
【参考記事】
●米大統領選、郵便投票の影響で大混乱に!? 討論会はバイデン氏がうまく立ち回ったか(9月30日、志摩力男)
■フロリダ州の動向が特に重要に!
激戦州は、ジョージア州やアイオワ州、ノースカロライナ州など、多くありますが、特に重要視しなければいけないところは、フロリダ州になります。
トランプ大統領が、ここで負けるようなことになれば、勝利するのはかなり厳しくなります。
反対に、バイデン氏がフロリダ州を取れば、勝利に近づくことになります。
(出所:RealClearPolitics)
市場のコンセンサスとしては、バイデン氏が勝利し、上下両院で民主党が過半数となれば、米ドル安、という予想が多数です。
そのため、フロリダ州でバイデン氏の勝利となれば、米ドル安へ推移する可能性があります。
【参考記事】
●米大統領選でバイデン氏勝利・上下両院も民主党優勢なら、ユーロ/ドルは1.24ドルへ!?(10月27日、バカラ村)
■法廷闘争に発展すれば、米ドル/円・クロス円の売りか
大勢が判明するのが遅れる州もありますが、フロリダ州は比較的、早くに判明すると思いますので、まずは、フロリダ州に注目すべきかと思います。
ただ、トランプ大統領が、米大統領選で負けたとしても、負けをすぐに認めず、法廷闘争となれば、不透明な状態となります。
そのときは、円高になると考えていますので、米ドル/円、もしくはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での売りが良いのではないかと考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
選挙結果が事実上、確定するのは、敗者が敗北宣言をしたときになります。それが出れば、確定だと言えます。
ただ、勝利宣言はすぐに出てきますが、敗北宣言は敗者が認める必要があるため、遅れて出てくることになります。
■短期的には、米ドル高で反応する可能性も
トレードという面では、敗北宣言を待ってからであれば、すでに相場は動いており、今回は、法廷闘争の可能性も考えると、為替市場でのトレードは難しい状態が続くと思います。
株式市場に関しては、追加経済対策が米大統領選後に承認されることや、季節性からも上昇しやすく、法廷闘争の可能性があったとしても、大きく崩れることはないと思います。したがって、勝者がバイデン氏であっても、トランプ大統領であっても、株式市場は年末に向けて買いで良いのではないかと思います。
(出所:TradingView)
為替市場の方は難しく、4年前の米大統領選後に米ドル/円が上昇したこともあって、短期的には米ドル高で反応する可能性も考えておいた方が良いと思います。
(出所:TradingView)
■米ドル/円、まだ104~106円だが最後は下抜けか
ただ、財政赤字の拡大や、政策金利が長期的に上がらないことなどもあり、長期的には米ドル安になるという考えはそのままです。
【参考記事】
●米大統領選が終われば、リスク選好に期待できる! 今の米ドル高は短期的な動きに(9月29日、バカラ村)
●米ドル/円は戻り売り。11月から年末にかけて、リスク選好の米ドル安に期待!(9月15日、バカラ村)
●米ドルは戻り売りで!バフェット氏の金鉱株購入は、長期的な米ドル安を見越した動き!?(8月18日、バカラ村)
基本的には、予想を軸にするよりも、年末に向けて動き出した方へついていくトレードが一番いいと考えていますが、今のチャートからは、米ドル/円は104円が3度、サポートされたこともあり、まだ、104~106円のレンジで考える方が良いと思います。
【参考記事】
●米大統領選、あまり予想に執着しないで! そのときの動きについていくトレードを(10月20日、バカラ村)
(出所:TradingView)
ただ、上値が切り下がっていることから、最後は下抜けていくのではないかと考えています。
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