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第1章 FXをはじめるには

含み損の拡大を自動的に回避!? 投資家の
資産を守る最後の砦「ロスカット」とは?

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■資金がゼロにならないロスカット制度とは?

強制決済(ロスカット)

 FXには株や先物の取引のように、1日で動く値段の上限や下限が決まっていたり(値幅制限)、一定以上の値動きが生じた場合にいったん取引を停止する措置(サーキットブレーカー制度)などはありません。米ドル/円が1日で10円とか20円とか動いてしまうことも、絶対にないとは言い切れないのです。

 しかも、レバレッジをかけて取引するしくみのため、為替レートが思った方向と反対に動きすぎてしまうと、預けた資産以上の損失が発生する可能性もあります。

【参考記事】
100万円分の取引がたった4万円で可能!? 少ない資金で取引できるFXの秘密とは…?
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 そのため、FXには投資家の資産を守る観点から、含み損(保有しているポジションの未確定損失)がある一定の水準に達すると、FX会社によってポジションを強制的に決済させられるしくみが導入されています。これが「ロスカット」と呼ばれる制度です。

 ロスカットはその名のごとく、「ロス(損)」を「カット(切る・止める)」するものです。一般的には含み損のポジションを決済して、損失を確定する取引全般のことを指しますが、ここでは法令で定められた制度のことを解説します。

 ロスカットは2009年に改正された「金融商品取引業等に関する内閣府令(金商業等府令)」によって、FX会社へ義務づけられた制度です。FX会社にはルールの作成や執行管理体制を整備して、投資家との間で交わされた取り決めにもとづいて、ロスカットを執行することを遵守するよう求められています。

 ですから、法律にもとづいた登録を行って営業している日本国内のFX会社で取引すれば、原則的には口座に預けてある資産以上の損失が出ないようになっているのです(「原則的には」と書いた理由はあとで説明します)

■ロスカットのカギは証拠金維持率!

証拠金維持率に注意!

ロスカットは、FX会社が独自に設定するロスカットレベルに達するか下回ると、投資家の意図にかかわらず自動的に発動して、ポジションを強制的に決済するしくみです。ロスカットレベルに適用されるのはおもに「証拠金維持率」です。「有効比率」や「証拠金使用率」と呼んでいるFX会社もあります。

 証拠金維持率は、必要証拠金に対する預かり証拠金の割合のことで、下のような計算で求められます。

証拠金維持率(%) = 預かり証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

 いちいち自分で計算しなくても、ポジションを保有しているときは取引画面上に表示されますので、そこで確認することが可能です。

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 口座に5万円を入金して、米ドル/円が1米ドル=100円のときに必要証拠金4万円で1万通貨のポジションを持つと、証拠金維持率は125%になります。

証拠金維持率の計算方法

 この証拠金維持率が、為替レートの変動によってFX会社が設定したロスカットレベルに到達もしくは下回ると、ロスカットが発動します。

 以下の画像は、証拠金維持率が100%に達するとロスカットを執行するトレイダーズ証券[みんなのFX]が、公式サイトでロスカットが発動する条件をわかりやすく紹介しているものです。

トレイダーズ証券のロスカット解説画像

(出所:トレイダーズ証券

 ほとんどのFX会社が、ロスカットの発動条件を満たすと、保有しているポジションすべてを強制的に決済します。ただ、中には一定の基準にもとづいて、証拠金維持率がロスカットレベルを上回る水準になるまで、ポジションの一部を部分的に決済するFX会社もあります。

 ロスカット制度の導入そのものは、法律で義務化されていますが、ロスカットレベルの決定は、FX会社に委ねられています。主要なFX会社ではだいたい、50%~100%あたりが主流です。ロスカットレベルの水準を一律で設定しているFX会社の方が多いですが、複数のロスカットレベルを設定して、投資家がその中から選択できるFX会社もあります。

■いくらになったらロスカットが発動する?

 どのような状況になればロスカットが発動するのか、具体的に見ていきましょう。

 証拠金維持率が100%になったらロスカットが発動するFX会社で、米ドル/円を1米ドル=100円のときに、預かり証拠金5万円、必要証拠金4万円で1万通貨、買ったとします。米ドル/円のレートが下がってしまった場合、いくらになったらロスカットが発動するでしょう?

 以下のように、ポジションに1円分の含み損が生じたら、証拠金維持率は100%に達します。

ロスカットまでの値幅の計算方法

 つまり、100円で買った米ドル/円のポジションは、為替レートが99円になったら、強制的に決済されます。預かり証拠金額が必要証拠金額と同額の4万円になったときということです。

 以下はロスカットレベルを10段階に分けて、ロスカットが発動する水準やポジションが強制決済されたあとの預かり証拠金額などを、一覧にしたものです。

ロスカットレベルごとの資産推移一覧

※1…この水準を割り込んだ段階でロスカットが発動するため、実際にはこの水準で強制決済が行われる
わけではない。リアルタイムで必要証拠金額を算出するFX会社の場合、必要証拠金額が変動するため水準は異なる
※2…参考値。ポジションの決済レートによって異なる
※3…参考値。ポジションの決済レートによって異なる。スワップポイントによる損益や、スプレッドなどの取引コストは考慮せず

 上の表は、必要証拠金額が4万円で変わらないことを前提に、機械的に計算してあります。

 そのときの為替レートをもとに、リアルタイムで必要証拠金額を算出するFX会社なら、米ドル/円のレートが99円のときの必要証拠金額は3万9600円に下がります。その場合、証拠金維持率が100%を下回る水準は98.96円ぐらいになります。

【参考記事】
100万円分の取引がたった4万円で可能!? 少ない資金で取引できるFXの秘密とは…?
最大25倍!? FXのレバレッジってなに? 管理できればリスクはもっと抑えられる!?

■ロスカットされれば、残る資金はみんな同じ

預かり証拠金に余裕があればあるほど、ロスカットが発動する水準は遠くなります

 でも、これはポジションの含み損が膨らんでいるのに何も手を打たなかった場合、どこまで耐えられるのかという話にすぎません。最終的にロスカットでポジションが強制決済されれば、口座に残る金額は同じです。

ロスカットレベルごとの損失幅や損失額の一覧

※1…この水準を割り込んだ段階でロスカットが発動するため、実際にはこの水準で強制決済が行われる
わけではない。リアルタイムで必要証拠金額を算出するFX会社の場合、必要証拠金額が変動するため水準は異なる
※2…参考値。ポジションの決済レートによって異なる
※3…参考値。ポジションの決済レートによって異なる。スワップポイントによる損益や、スプレッドなどの取引コストは考慮せず

ロスカットが発動する前の段階で、損失を限定的にとどめる決済の注文を出しておくなど、自分でしっかりとリスクをコントロールすることが何よりも大切です。

【参考記事】
FXの注文の種類と注文の方法【前編】 成行注文・指値注文・逆指値注文とは?
FXの注文の種類と注文の方法【後編】 OCO注文・IFD注文・IFO注文とは?

■100%安全…というわけではない!?

 ロスカットはFX会社がロスカットの発動条件を満たしたと判定したときに、その時点のマーケットの実勢レート(実際に取引できるレート)でポジションを決済するしくみです。

為替レートが急激に変動しているときは、想定されるレートから大きく離れたレートでポジションが決済される可能性もあります。

【参考記事】
FXは土日を除いて24時間取引できる! 眠らない為替の取引所はどこにある…?

 また、投資家のポジション状況はFX会社によって一定の間隔でチェックされていますが、チェックの間隔はFX会社によって異なります。ロスカットの発動条件を満たしても、タイミングによっては瞬時にポジションが決済されないことも考えられます。

ロスカットが発動する証拠金維持率の設定が高ければ、その分、ポジションの建値(建てたレート)とロスカットが発動するレートの差は狭くなり、ロスカットで確定する損失額は相対的に小さく、資産へのダメージも少なくなります。逆に、ロスカットが発動する証拠金維持率の設定が低いほど、建値とロスカットが発動するレートの差は広がりますが、ロスカットで確定する損失額は相対的に多く、資産へのダメージは大きくなります。これは、先ほどの表のとおりです。

再掲載
ロスカットレベルごとの資産推移一覧(再掲載)

※1…この水準を割り込んだ段階でロスカットが発動するため、実際にはこの水準で強制決済が行われる
わけではない。リアルタイムで必要証拠金額を算出するFX会社の場合、必要証拠金額が変動するため水準は異なる
※2…参考値。ポジションの決済レートによって異なる
※3…参考値。ポジションの決済レートによって異なる。スワップポイントによる損益や、スプレッドなどの取引コストは考慮せず

■FXでは、満額投資は絶対NG!

 米ドル/円が1米ドル=100円のとき、レバレッジが25倍なら、4万円の必要証拠金で1万通貨の取引ができることは、以下の【参考記事】の中でご紹介しました。

【参考記事】
100万円分の取引がたった4万円で可能!? 少ない資金で取引できるFXの秘密とは…?
最大25倍!? FXのレバレッジってなに? 管理できればリスクはもっと抑えられる!?

 でも、これには大きな落とし穴があります。

 たとえば、口座に4万円を入金して、米ドル/円を1米ドル=100円で1万通貨買ったとします。この場合、預かり証拠金額の4万円すべてを必要証拠金に使用するので、ポジションを持った瞬間に証拠金維持率は100%になります。ロスカットレベルが100%のFX会社で取引したら、ほぼ間違いなく、ポジションを持った途端にロスカットが発動して、ポジションが決済されます。

 自分が取引するFX会社のロスカットレベルをちゃんと調べたうえで、預ける資金に余裕を持たせてトレードするよう、心がけてくださいね。

 預かり証拠金額、必要証拠金額、証拠金維持率などの資産に関する情報は、どのFX会社でも取引画面上で確認できます。FX会社の中には預かり証拠金の額やポジション量などをもとに、ロスカットが発動する水準を計算してくれるシミュレーション機能を提供しているところもあります。そのような機能を提供しているFX会社で取引している方は、ぜひ活用してみてください。

GMOクリック証券の「ロスカットシミュレーション」
GMOクリック証券の「ロスカットシミュレーション」

(出所:GMOクリック証券

■マージンコールや追証制度を活用して万全の態勢を!

マージンコールと追加証拠金制度

 ロスカットは投資家の損失拡大を一定の水準で阻止して、資産を可能な限り保全するために導入された制度です。しかし、為替レートが急激に変動するようなことがあれば、預けた資産以上の損失が発生する可能性もゼロとは言い切れません。幸い、ゼロやマイナスにはならなくても、資産のほとんどを失ってしまうことも、ないとは言い切れません。

 ロスカット制度は投資家にとっての「最後の砦」ですが、資産が絶対にマイナスにならないように守ってくれるものではありません。相場が思った方向と反対に動いたときに、含み損を抱えたままロスカットレベルまでポジションを放置するのではなく、あらかじめ逆指値注文などを出して、損失を拡大させないようにすることが絶対条件です。

【参考記事】
FXの注文の種類と注文の方法【前編】 成行注文・指値注文・逆指値注文とは?
FXの注文の種類と注文の方法【後編】 OCO注文・IFD注文・IFO注文とは?

 FX会社によっては、ロスカットより前の段階で、ロスカットが近づいたことをメールで知らせてくれる「マージンコール」のしくみを導入しているところもあります。「アラーム通知」と呼ぶところもあります。取引しているFX会社がこうしたサービスを提供していたら、ぜひ活用するようにしてください。

【参考コンテンツ】
FX会社徹底比較!:ロスカット・メール機能で比べる

 また、FX会社の中には一定の時点でポジションの含み損が規定の水準を超えたら、指定された時間までに追加の入金やポジションの一部決済をしなければいけない「追加証拠金(追証)ルール」を導入しているところもあります。

 追証ルールを導入しているFX会社では、指定された時間までに追加の資金を入金して預かり証拠金を増やすか、ポジションの一部を決済して証拠金維持率を高める措置を行わなければ、ポジションが強制決済されます。

 ただし、入金やポジションの一部決済を行う前に、証拠金維持率がロスカットレベルに達してしまえば、その時点でポジションが強制決済されます。

(最終更新日:2019年8月2日)

FX初心者のための基礎知識入門目次

第1章 FXをはじめるには
第2章 FXの基礎知識を身に付ける
第3章 FXをはじめよう
第4章 チャートの見方
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