「円高」とは、日本円の価値が高くなった状態。米ドル/円の価格が下落したら「円高」
「円高」とは、過去のある一定の地点と比較したときに、「日本円の価値が相対的に高くなっている状態」のこと。同じ金額の日本円で交換できる外貨の数量が、相対的に多くなった状態と言い換えることもできます。
仮に、手元の1万円をすべて米ドルへ交換する場合、為替レートが「1米ドル=100円なら100ドル」と交換できますが、「1米ドル=80円なら125ドル」と交換することができるようになります。1米ドル=100円のときよりも、1米ドル=80円のときの方が、同じ1万円でより多くの米ドルと交換することができます。
これは、日本円の価値が米ドルよりも高くなった状態で、この場合は「1米ドル=100円」が「1米ドル=80円」になったので、「20円の円高」が進んだと言えます。米ドル/円のレートが下落したときは、日本円が米ドルに対して円高になったということになります。
「円安」とは、日本円の価値が低くなった状態。米ドル/円の価格が上昇したら「円安」
「円安」とは、過去のある一定の地点と比較したときに、「日本円の価値が相対的に低くなっている状態」のこと。同じ金額の日本円で交換できる外貨の数量が、相対的に少なくなった状態と言い換えることもできます。
先ほどと同じように、手元の1万円をすべて米ドルへ交換する場合、為替レートが「1米ドル=100円なら100ドル」ですが、「1米ドル=125円なら80ドル」になります。1米ドル=100円のときよりも、1米ドル=125円のときの方が、同じ1万円でも少ない米ドルとしか交換できなくなってしまいます。
これは、日本円の価値が米ドルよりも低くなった状態で、この場合は「1米ドル=100円」が「1米ドル=125円」になったので、「25円の円安」が進んだと言えます。米ドル/円のレートが上昇したときは、日本円が米ドルに対して円安になったということになります。
米ドル/円の上昇は「米ドル高・円安」、下落は「米ドル安・円高」
「為替レート」は、2つの通貨の交換比率なので、片方の通貨の価値が上昇すれば、もう片方の通貨の価値は相対的に下落します。
つまり、米ドル/円の下落は日本円にとっては「円高」、米ドルにとっては「米ドル安」となり、米ドル/円の上昇は日本円にとっては「円安」、米ドルにとっては「米ドル高」です。
通貨の間の強弱は、組み合わせて表現されることがあります。米ドル/円の場合は上のように、上昇したら「米ドル高・円安」、下落したら「米ドル安・円高」と言います。
通貨ペアでは、先(左側)に表記する通貨を基準にして考えるのが一般的
「通貨ペア」では、先(左側)に表記された通貨の方が基準になります。米ドル/円なら「米ドル」、ユーロ/米ドルなら「ユーロ」、英ポンド/米ドルなら「英ポンド」が基準です。
そして、為替レートの上昇は基準となる通貨の価値の上昇、為替レートの下落は基準となる通貨の価値の下落と同じ意味になります。
米ドル/円は「米ドル」が先(左側)、日本円があと(右側)に表記されるので、「米ドル」が基準になります。米ドル/円の上昇は基準となる米ドルの価値が上昇したので「米ドル高・円安」、米ドル/円の下落は基準となる米ドルの価値が低くなったので「米ドル安・円高」と判断することができます。
同じように、「ユーロ/米ドル」は「ユーロ」が基準になります。したがって、ユーロ/米ドルの上昇は基準となるユーロの価値が高くなったので「ユーロ高・米ドル安」、ユーロ/米ドルの下落は基準となるユーロの価値が低くなったので「ユーロ安・米ドル高」です。
「変動相場制」「固定相場制」「管理変動相場制」とは
「変動相場制」とは、為替レートの動きを市場に任せる通貨制度のこと。自分の国(地域)の通貨と外貨との相対的な価値の変動を市場の需要と供給のバランスに委ね、人気が高い方の通貨が買われ、人気が低い方の通貨が売られることで為替レートが動きます。
日本円・米ドル・ユーロ・英ポンド・豪ドル……など、FXで取引できる通貨ペアに組み込まれている通貨には、基本的に「変動相場制」が採用されています。
ただし、一方的な方向へ為替レートが極端に変動するような場合、財務省などの通貨当局が単独、もしくは他の国の通貨当局と協力して外国為替市場で通貨間の売買を行う「為替介入」を実施することはありえるので、完全なる「変動相場制」を採用している国は、ないといっても良いかもしれません。
「固定相場制」とは、自国通貨のレートを外貨などに固定する通貨制度のこと。米ドルなどの特定の外貨のレートの固定する「単一通貨固定制」、複数の通貨によって合成されたレートに固定する「通貨バスケット制」などがあります。
「管理変動相場制」とは、基本的には為替レートの変動を市場の需要と供給のバランスに任せているものの、為替レートの変動幅が一定の範囲内に収まるよう、その国の政府や中央銀行が操作する通貨制度のこと。「管理変動相場制」を採用している通貨としては、中国の「中国人民元」が有名です。
今では、多くの国と地域が「変動相場制」を導入していますが、日本を含む先進各国も、かつては固定相場制を導入していました。日本では1949年4月から「1米ドル=360円」、1971年8月から1973年4月までは「1米ドル=306円」と、24年もの間、米ドルに対して円の価値が固定されていた時代がありました。
(最終更新日:2022年2月22日)
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