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FXには、さまざまな「注文方法」があります。単独、または複数の注文を組み合わせることで、相場のトレンドに乗る、指定した価格や値幅で利益を確定させる、許容できる範囲に損失を抑える……などといった基本的なことから、戦略的な取引をおこなうこともでき、リスクの管理にも役立ちます。24時間動き続ける為替相場にも、柔軟に対応することができるようになるでしょう。
FXの注文方法で基本となるのは、「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」の3つです。それ以外にもFXにはたくさんの注文方法がありますが、ほとんどがこの3つの注文方法の組み合わせや応用型なので、少なくとも成行注文・指値注文・逆指値注文だけは、FX取引を始めるまでに特徴や使い方を覚えておく必要があります。
この記事では、「成行注文」、「指値注文」、「逆指値注文」に加え、これらの複合的な注文方法としてどのFX口座でも使える「OCO注文」、「IFD注文」、「IFO注文」を加えた、6つの注文方法の特徴や活用方法を紹介します。
■ 成行注文(なりゆきちゅうもん)
■ 指値注文(さしねちゅうもん)
■ 逆指値注文(ぎゃくさしねちゅうもん)
■ OCO注文(おーしーおーちゅうもん)
■ IFD注文(あいえふでぃーちゅうもん)
■ IFO注文(あいえふおーちゅうもん)
■ 成行注文以外の注文方法は、有効期限に注意!
成行注文(なりゆきちゅうもん)
「成行注文」は、今すぐ買いたい、または今すぐ売りたいときに使う注文方法で、注文を出すと即座に取引が成立します。「マーケット注文」、「ストリーミング注文」などの名称で提供しているFX口座もあります。
ニュースや重要なイベント、経済指標の結果などで相場に明確なトレンドが発生し、そのトレンドが継続しそうと判断した場合に成行注文で新規注文を出せば、相場の流れにすぐに乗ることができます。また、すでにポジションを持っている状態で、相場が予測と反対の方向に進みそうだと判断したときに決済の成行注文を出せば、含み益の縮小や損失の拡大を最小限に抑えることも可能になります。
成行注文は、そのときの実勢レート(実際に売買できるレート)で約定(注文成立)します。注文画面に表示されているレートはあくまで発注時点の実勢レートなので、結果的にどのレートで売買が成立するのかは、注文が成立してからでないとわかりません。特に為替相場が大きく動いているときは、発注時に注文画面に表示されていたレートと実際の約定レートに、想定以上の差が生じることもありえるという点は押さえておく必要があります。
発注時の実勢レートと約定レートの差、または差が生じる現象のことを「スリッページ」といい、事前に許容できるスリッページの幅を設定しておくことで、設定した幅を超えるスリッページが発生するときは注文自体がキャンセルされるしくみを提供しているFX口座もあります。また、スリッページの幅を設定できる注文方法と、スリッページがどれだけ発生しても約定する単純な成行注文が分かれているFX口座もあります。スリッページが気になる人は、スリッページの幅を任意で設定できる注文方法を使うのもよいでしょう。
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ただし、スリッページの幅を狭く設定しすぎると、注文が成立せず相場のトレンドに乗り遅れたり、決済の際に損失が拡大したりする可能性が高まります。成行注文は、ある程度のスリッページが発生する可能性がある注文方法であるということを、認識しておく必要があります。
指値注文(さしねちゅうもん)
「指値注文」は、約定させたいレートを指定する注文方法です。FXでは「●円以下で買う」、「▲円以上で売る」というように、今のレートよりも低い水準に「買いの指値注文」、今のレートよりも高い水準に「売りの指値注文」を出すことができ、実勢レートが指定したレートへ到達すると、自動的に注文が約定します。約定価格を限定(limit)することから、「リミット注文」と呼ぶこともあります。
指値注文の一番のメリットは、相場を見ていなくても希望のレートで取引できるという点にあります。また、指定したレートより不利なレートで約定することはありません。一部ですが、指定レートへ到達した際に、実勢レートのほうが指定レートよりも有利なら、実勢レートで約定するFX口座もあります。
ただし、レートが指定レートまで届かなければ注文が成立しないため、エントリーや決済のタイミングを逃す可能性もあります。そのため、相場がどのあたりまで上昇または下落しそうか、チャートから先行きのメドをある程度は予測できるスキルも必要です。
★指値注文のトレードへの活用方法
ポジションに一定の含み益が発生する水準に決済の指値注文を出しておけば、指定したレートに到達したタイミングで自動的に取引が成立して利益を確定してくれるので、相場を見ていない間の決済注文として活用できます。
また、相場はマーケットを大きく揺るがすような特殊な事情がない限り、短期間のうちに一方的に上昇だけや下落だけを続けることは、ほとんどありません。上昇相場なら一時的な押し(反落)、下落相場なら一時的な戻り(反発)というように、どちらもトレンドが崩れない程度の調整を交えながら形成されます。
相場にトレンドが発生しているときは、成行注文ですぐに相場の流れに乗るのもひとつの手ですが、一時的な押しや反発を見込んで、新規の指値注文で今の実勢レートより少しでも安い水準で買う、少しでも高い水準で売るという戦略も有効です。調整のメドになると思われる水準に出した指値注文が約定すれば、今の実勢レートよりも有利なレートでポジションを建てることができます。
逆指値注文(ぎゃくさしねちゅうもん)
「逆指値注文」は、「●円以上で買う」、「▲円以下で売る」というように、今のレートよりも不利なレートを指定する注文方法です。今のレートよりも高い水準に「買いの逆指値注文」、今のレートよりも低い水準に「売りの逆指値注文」を出すことができ、実勢レートが指定したレートへ到達すると、自動的に注文が約定します。「ストップロス注文」や「ストップ注文」と呼ばれることもあります。
逆指値注文には、許容できる損失の範囲内に逆指値注文を出しておけば、万が一、相場が予測と反対の方向に動いても損失の拡大を回避できるというメリットがあります。
FXはレバレッジをかけた取引ができるので、投下資金に対する利益や損失の割合が、株の現物取引などと比べて高くなる傾向にあります。そのため、FXではリスクの管理が非常に重要です。損失を確定させる取引には心理的なダメージもありますが、何もしなかったときに含み損が拡大していく可能性があることも考えれば、損失を許容範囲内にとどめて撤退することが、次のトレードでの挽回にもつながっていきます。相場を見ることができない間の為替レートの急変にも対応できるよう、ポジションを持ったらすぐに決済の逆指値注文を出すことを、強くおすすめします。
また、逆指値注文は損失の拡大を回避する以外にも、一定の利益を確保する、相場の流れにいち早く乗る、といった使い方もできます。
なお、逆指値注文は、実勢レートが指定したレートに到達すると成行注文として執行されるため、必ずしも指定したレートで約定するとは限りません。相場が大きく動いている場合、指定したレートよりも不利なレートで約定する可能性がより高まる点は、押さえておく必要があります。
★逆指値注文のトレードへの活用方法
逆指値注文は前述のとおり、保有ポジションの損失拡大を回避させる手段として非常に有効です。
相場は常に、予測どおりに動くとは限りません。あらかじめ許容できる損失の金額や値幅を決めておき、その範囲内に買いポジションを保有しているときは売り決済の逆指値注文、売りポジションを保有しているときは買い決済の逆指値注文を出しておくことで、相場が予測と反対の方向に動きを強めても、損失を許容できるに留めることができる可能性が高まります。逆指値注文を「ストップロス注文」と呼ぶこともあるのは、損失(ロス)を止める(ストップ)注文だからです。
また、保有ポジションにある程度の含み益が生じている場合は、買いポジションなら建値(ポジションを建てたレート)よりも高い水準に売り決済の逆指値注文、売りポジションなら建値よりも低い水準に買い決済の逆指値注文を出しておくことで、相場が予測とは反対の方向へ急変しても、一定の利益を確保して取引を終えることができます。
そのほか、逆指値注文を新規注文で使い、相場のトレンドへ素早く乗る方法もあります。これは、強い支持(サポート)や抵抗(レジスタンス)、ボックス(レンジ)の上限・下限をブレイクすると、ブレイクした方向へ動きが強まることがある、という相場の特性を利用した手法です。相場の流れが変わりそうなポイントに逆指値注文を出しておけば、相場を見ていない間に発生した新たな流れを逃すことなく、早い段階からポジションを建てることが可能になります。
OCO注文(おーしーおーちゅうもん)
「OCO注文」は、2つの注文を同時に出し、どちらか一方の注文が成立したら、もう片方の未成立の注文は自動的にキャンセルされる注文方法です。OCOは、「One cancels the other order」の略称です。
OCO注文を新規注文として使う場合は「指値注文同士、または逆指値注文同士」の組み合わせ、決済注文として使う場合は「指値注文と逆指値注文」の組み合わせになります。
★OCO注文のトレードへの活用方法
OCO注文のもっともオーソドックスな活用方法は、保有しているポジションに対する利益確定の指値注文と、損失確定の逆指値注文の組み合わせです。
買いポジションの保有なら、「●円へ上昇したら利益を確定するの売り決済の指値注文と、▲円まで下落したら損失を確定する売り決済の逆指値注文」の組み合わせ、売りポジションの保有なら、「▲円まで下落したら利益を確定するの買い決済の指値注文と、●円まで上昇したら損失を確定する買い決済の逆指値注文」の組み合わせとなります。
利益確定と損失限定の注文を同時に出せるので、相場が予測どおりの方向へ動いた場合と、予測と反対の方向へ動いてしまった場合の、両方に対応できます。どちらかの注文が成立すれば、成立しなかった注文は自動で無効になるので、注文の取り消し忘れを防ぐこともできます。FXでは、ポジションを建てたらすぐに損失拡大を回避する逆指値注文を出しておくことが重要ですが、利益を確定させたい水準も事前に決まっている場合は、逆指値注文を単独で出すのではなく、OCO注文を活用するのがよいでしょう。
また、為替レートが一定の値幅の中で上下するボックス相場を続けているときは、レンジ下限付近のレートを指定した新規買いと、レンジの上限付近のレートを指定した新規売りを組み合わせたOCO注文を出しておくことで、相場が次にどちらの方向へ動くかに関係なく、ボックス相場が続く限りは有利なレートでエントリーが可能になります。
もっとも、ボックス相場は期待できる値幅がそれほど大きくなく、相場がボックスの上下どちらかをブレイクした場合は、ボックス相場の継続を見込んでレンジの上限付近や下限付近で建てたポジションが、含み損を抱える可能性も高まります。そのため、OCO注文を新規注文として活用するときは、相場がボックスをブレイクしたらブレイクした方向の流れにいち早く乗ることができる、新規買いの逆指値注文と新規売りの逆指値注文の組み合わせのほうがおすすめです。
IFD注文(あいえふでぃーちゅうもん)
「IFD注文」は、新規注文と、新規注文が成立すると有効となる決済注文を、同時に出す注文方法です。IFDは「If done order」の略称で、「done」は取引が成立したことを意味する為替用語。「もし取引が成立したら~する」という意味で、「イフダン注文」と呼ぶこともあります。
新規注文が買いの場合は、利益を確定する売りの指値注文か損失を確定する売りの逆指値注文のどちらか、新規注文が売りの場合は、利益を確定する買い指値注文か損失を確定する買いの逆指値注文のどちらかを出すことができます。新規注文は指値注文と逆指値注文のどちらにも対応していて、新規注文を成行注文で出すことができるFX口座もあります。
★IFD注文のトレードへの活用方法
IFD注文には、新規注文から決済注文までを自動で行ってくれるというメリットがあります。新規注文で今より有利なレートに指値注文を出すだけでなく、今より不利なレートながら、ブレイクすれば相場の流れが強まりそうな水準に逆指値注文を出すことで、利益を狙うこともできます(新規注文を指値注文か逆指値注文で出した場合)。
ただし、予期せぬ相場の急変などで含み損が拡大するリスクを回避するという観点からは、決済注文には許容範囲内の損失におさまる水準にレートを指定した、逆指値注文を設定するのがよいでしょう。どうしても利益確定の決済注文も出したいということであれば、次に紹介するIFO注文の活用がおすすめです。
IFO注文(あいえふおーちゅうもん)
「IFO注文」は、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。新規注文が成立したらOCO注文として、利益を確定する決済の指値注文と、損失を確定する決済の逆指値注文の両方が有効となり、どちらか一方の決済注文が成立したら、もう片方の未成立の決済注文は自動的にキャンセルされます。
IFD注文の場合は、新規で成立したポジションに対する利益確定、もしくは損失確定のどちらか一方の決済注文しか出すことができませんが、IFO注文なら利益確定と損失確定の両方の決済注文を出すことができます。利益を確定したい水準も事前に決まっている場合は、IFO注文の利用がおすすめです。
エントリーから利益確定、もしくは損失確定の決済取引までが自動的に執行されるので、相場の先行きをある程度は予測できたうえで活用すれば、非常に有効な注文方法になるでしょう。
成行注文以外の注文方法は、有効期限や未成立の注文の数に注意!
FXではそのほかにも、さまざまな注文方法を使って取引できます。使える注文方法の数はFX口座によって異なりますが、いずれの注文方法も成行注文・指値注文・逆指値注文の3つが基本となります。
なお、成行注文を除く執行レートを指定する注文方法では、発注時に有効期限を設定する必要があります。「当日中」「今週中」「今月中」、ユーザーが取り消すまで有効な「無期限」あたりが一般的ですが、一部には任意の日付や時間を指定できるFX口座もあります。
また、FXでは成行注文以外のレートを指定する方法で新規の注文を発注すると、その注文が成立した場合に必要となる資金が「注文中証拠金」としてロックされます。未成立の新規注文の数が多くなると、その分、「注文中証拠金」の金額も増え、いざというとき使用できる資金が少なくなることも考えられます。出している注文の数や種類、有効期限などは、取引ツール内の注文情報画面などで、定期的に確認することをおすすめします。
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