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フィボナッチ分析とは
「フィボナッチ分析」とは、黄金分割(黄金分割比率)を応用したチャートの分析手法です。黄金分割に基づく「フィボナッチ比率」を使って、相場の押し目や戻りのメド、押し目や戻りを形成したあとの価格の到達メドを推測する方法が知られています。
黄金分割は、ピラミッド、パルテノン神殿、パリの凱旋門、ミロのビーナスなどの歴史的な建造物や美術品、近年ではクレジットカード、名刺、企業のロゴマークなどにも用いられている、人類が見た目にもっとも美しく心地よいと感じる比率で、自然界のすべてを支配していると言われています。
つまり、「フィボナッチ分析」は相場も自然現象の一部と考えて相場を分析する手法です。
フィボナッチ比率とフィボナッチ数列
フィボナッチ分析に使う「フィボナッチ比率」は、「フィボナッチ数列」と呼ばれる数列(数の列)から導き出されます。
フィボナッチ数列は「0.1.1.2.3.5.8.13.21.34.55.89.144.233.377…」と続く、黄金分割を表現する数列です。フィボナッチ数列に含まれる数値(フィボナッチ数)はゼロと最初の1を除き、前の2つの数字を足した値と等しく、かつフィボナッチ数の値が大きくなるにつれ、前の数字に対する増加率は限りなく1.618に、次の数字に対する減少率は限りなく0.618に近づくという特徴があります。
この、フィボナッチ数列の特徴である1.618と0.618をもとに導き出した比率(数値)が「フィボナッチ比率」で、フィボナッチ比率を相場に当てはめるのが、フィボナッチ分析のオーソドックスな手法です。
分析に使われるフィボナッチ比率には、23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、76.4%などがあり、その中でも38.2%、50.0%、61.8%が多用されると言われています。
余談ですが、フィボナッチとは「ボナッチの息子」という意味で、フィボナッチ数列を考案したイタリアの数学者レオナルド・ダ・ピサの父親の愛称がボナッチだったことから、このように呼ばれるようになったと伝わっています。
フィボナッチを使った一般的な分析手法
フィボナッチを使った分析手法としては、おもに以下のようなものが知られています。
フィボナッチ・リトレースメント
相場は一方的に上昇だけや下落だけを続けることはなく、一定の押し(反落)や戻り(反発)を繰り返しながらトレンドを形成します。その押しや戻りがどのぐらいの値幅になるのかを推測する手法が「フィボナッチ・リトレースメント」です。単純に「リトレースメント」と呼ばれることもあります。
「フィボナッチ・リトレースメント」では、チャート上の重要な高値と安値までふぃの値幅をフィボナッチ比率で分割して、押しや戻りのメドを推測します。
チャートで過去の値動きを確認すると、フィボナッチ比率が当てはまる水準で、押しや戻りが完了していることがよくあります。上昇トレンドのときは高値からの38.2%押し、50.0%押し、61.8%押しの水準が押し目買いのメド、下降トレンドのときは安値からの38.2%戻し、50.0%戻し、61.8%戻しの水準が戻り売りのメドとして特に活用されます。
フィボナッチ・エクスパンション
上昇トレンド中に押し目を形成したあと、そこからどの水準あたりまで上昇するか、または下降トレンド中に戻りを形成したあと、そこからどの水準あたりまで下落するかを推測する手法が「フィボナッチ・エクスパンション」です。単純に「エクスパンション」と呼ばれることもあります。
起点となる高値や安値をつけたあとの押しや戻りの値幅から、価格の到達メドを推測する方法で、相場のトレンドが弱いときは38.2%、強いときは100%を目安にすることが多いと言われています。
そのほかのフィボナッチを応用した分析手法
そのほかにも扇形のようなラインで構成される、フィボナッチ・リトレースメントの応用型の「フィボナッチ・ファン」や、ピボットにフィボナッチ数列を用いた「フィボナッチ・ピボット」なども知られています。
また、時間軸にスポットを当てた「タイムプロジェクション」や、「タイムエクスパンション」と呼ばれる分析手法も存在しますが、フィボナッチ分析は価格に対する分析のほうに高い信頼性があり、時間軸に用いる手法の信頼度はあまり高くないとも言われています。
フィボナッチ分析の有効性
市場参加者の思惑が交錯しながら価格が形成されていく相場も自然現象の一部であり、黄金分割が応用できるという考え方には賛否両論があります。
しかし、多くのトレーダーがフィボナッチ比率で分割された価格の水準が押し目や戻りのメドになる可能性があると意識しながらトレードしていることで、結果的に押し目や戻りのポイントになることがあるという事実は否定できません。
実際、フィボナッチ比率で多用される38.2%、50.0%、61.8%は、日本古来の罫線分析(チャート分析)で知られている3分の1押し(3分の1戻し)、半値押し(半値戻し)、3分の2押し(3分の2戻し)の水準とも近く、一定の有効性があると考えることはできますので、基本的な手法は覚えておいて損はないでしょう。
なお、フィボナッチ分析はもともと、米国の会計士だったラルフ・ネルソン・エリオットが、相場から秩序だった動きを見出そうとして取り入れた分析手法です。エリオットが説いた「エリオット波動理論」は相場のパターン分析に適した理論として、非常に多くのトレーダーに支持されています。エリオット波動理論では、今の相場の波動が何波目かによって、参照すべきフィボナッチ比率が変わってくると考えられています。
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