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前回は酒田五法の三兵をご紹介しました。今回は、三川と三空です。
三川
「三川(さんせん)」も、三兵と同じ三本足の組み合わせです。3本のローソク足で「川」の字を描いていることから名付けられています(あまりそう見えない場合も多いのですが…)。転換線(※)とも呼ばれていて、相場が転換する可能性を強く暗示しているサインとして、酒田五法の中でも非常に重要視されています。
(※「一目均衡表」というテクニカル指標の中にも転換線と呼ばれるものがありますが、それとはまったく関係ありません)
相場が安値圏と思われる付近で出現すると、底打ちを示唆すると言われるのが「三川明けの明星」、相場が高値圏と思われる付近で出現すると、天井を示唆すると言われるのが「三川宵の明星」です。

三川明けの明星は、下落相場の中で1本目に大陰線が現れ、2本目で下放れて極線が出現。そして3本目が上放れてはじまり、1本目の大陰線の値幅をほぼ打ち消す格好で大陽線を形成するパターンです。1本目の下げで売り方のパワーを消化しきれず、2本目が勢い余って下落したものの、そこで売り方と買い方のパワーが拮抗しはじめ、最終的に売り方のパワーが息切れして3本目で大きく切り返しています。
厳密な定義では、翌日、つまり4本目のローソク足がさらに上放れてはじまり、相場が上昇していくことを確認したときに、はじめて三川明けの明星のパターンが形成されたと判断するのですが、3本の並びだけでも十分に有効だと考えられています。相場の足取りの中で、下方に取り残されたような感じに見える2本目の極線を日の出前の東の空に輝いて見える明るい星になぞらえたことから、明けの明星という呼び名がついています。
三川宵の明星は、三川明けの明星とまったく逆のパターンになります。相場の足取りの中で、上方に取り残されたような感じに見える2本目の極線を日没後の西の空に輝いて見える明るい星になぞらえたことから、宵の明星という呼び名がついています。
どちらも、2本目は極線であれば小陽線でも小陰線でも構いませんが、明けの明星なら下ヒゲが長く実体が非常に短い下十字に近い足型、宵の明星なら上ヒゲが長く実体が非常に短い上十字に近い足型が、より確度の高いパターンと言われています。
明けの明星と宵の明星には、「捨て子線」という別名があります。捨て子線は本来、十字線や寄せ線を指す言葉ですが、この名称が引用されているということが、相場の転換を暗示している強力な足型だというのを物語っていると言えます。
三空
「三空(さんくう)」は、一定期間をかけて形成する複数足のパターンです。
「空(くう)」は、チャート上に出現する「窓」のことで、ローソク足と次のローソク足の間にできる値幅の空白地帯になります。基本的に、上放れの空(上窓)は上昇の強さ、下放れの空(下窓)は下落の強さを示しています。

FXではそれほど多くありませんが、他の金融商品のチャートに空が出現することは、まったく珍しいことではありません。むしろ、FXのように前日の終値と当日の始値がほとんどいっしょということの方が少ないですから、空の出現は頻繁にあります。
相場格言の中に、「空の押しは窓埋めまで」というのがあります。1回目の空で発生した値幅の空白地帯は比較的、埋まることが多く、そこは押し目買いや戻り売りのポイントとして有効だと考えられています。3日経過しても空が埋まらなければ、しばらくは相場のトレンドが一方向に強まる可能性があるとも言われています。
空は相場を動かす大きな材料が出たときや、前日の引けまでに買い方や売り方のパワーが消化しきれなかったとき、方向感の乏しいもみ合いの状況を脱した初期の段階で溜まっていたパワーが一気に放出されるなどの要因で、出現することが多い足型です。
でも、空が同じ方向へ短期間に何度も続くことは、あまり多くありません。酒田五法では空を出現回数によって一空、二空…と呼び、3回連続で出現した「三空」を重要なサインと捉えます。

通常は図のように、1本~数本のローソク足で1つの塊を形成しながら出現する「複数三空」のパターンが一般的です。塊によってはそれなりの調整をこなしているとみなされることもあるので、一見すると強い相場の流れが続きそうな印象も受けます(逆も同じです)。
しかし酒田五法では、短い期間に空が3つもできることは非常に珍しく、三空の出現は買い方か売り方のどちらかのパワーが一方的に強まっていると考えます。いざ相場の流れが変わるような材料が出ると、上昇相場が一転して急落へ、下落相場が一転して急騰に見舞われるリスクが、きわめて高いとみなすのです。酒田五法では三空の出現は手仕舞い、すなわち、ポジションを決済するポイントだと指摘しています。
三空は手仕舞いを推奨しているだけで、急反落狙いの売りや急反発狙いの買いを推奨しているわけではありません。相場に勢いがあるのは事実なので、その後も思った以上に流れが加速していく可能性は十分に考えられます。あくまでも、相場が反転する可能性を暗示しているパターンと解釈します。
三空踏み上げ・三空叩き込み
三空の中でも、さらに特徴的で有名なのが「三空踏み上げ」と「三空叩き込み」です。

上の図のように、どちらも4日間という最短日数で三空を形成します。非常に強烈なパターンですね。
「踏み」は、売り方が損失覚悟でポジションを買い戻して決済することを指す相場用語です。踏み上げは踏みが入って、相場が上昇することを意味しています。買い方が損切り覚悟でポジションを売り決済することは、「投げ」と呼びます。
三空踏み上げは、まさに売り方の踏みが踏みを呼び込んで、相場が空を開けながら勢いよく上昇したとみなされる状況です。これまでの上昇で苦しめられた売り方の多くが市場から撤退した証でもあります。そうなると、今度はこれまで上昇相場を享受してきた買い方が、利益確定の売り場面を模索する局面へ移行していくことが考えられます。
上昇相場が最終局面を迎えていると思われる付近で三空踏み上げが出現すると、次は買い方の手仕舞いによる売りが強まって、相場が天井をつける可能性がきわめて高い、典型的なパターンとして知られています。
三空叩き込みは、買い方の投げが投げを呼び込んで、相場が空を開けながら勢いよく下落したとみなされる状況です。下落相場が最終局面を迎えていると思われる付近で出現すると、相場が底をつける可能性がきわめて高い、典型的なパターンと言われています。
FXへの応用方法
FXでは平日ならほぼ24時間、連続して取引できるため、チャート上に窓が開くことはそれほど多くありませんから、三空の出現はほとんどなく、パターンを覚えても意味がないのでは…と思う方がいるかもしれません。
でも、見方を少し変えれば、FXにも十分、応用できます。
窓は開かなくても、相場に勢いがあれば、ローソク足は大陽線や大陰線を形成することが多くなります。それが何本か続けば、相場の勢いが一方向に偏りすぎているとも判断できます。

上昇相場が最終局面を迎えていると思われる付近で大陽線が連続すれば天井、下落相場が最終局面を迎えていると思われる付近で大陰線が連続すれば底をつける可能性があると、構えることができそうです。
(最終更新日:2021年4月6日)
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