※月間アクティブユーザー5000万人超えの高機能チャートツール、「TradingView」が使えるおすすめのFX口座を紹介!
【※関連記事はこちら!】
⇒「TradingView(トレーディングビュー)」の有料機能を無料で使う裏ワザがあった! 大人気のチャート分析ツールを賢く使おう
ダウ理論とは
「ダウ理論」は、米国のジャーナリストで証券アナリストだったチャールズ・ダウが、景気循環や相場の値動きを評価するための手法として提唱した理論です。実際は、彼の死後に友人らが中心となって1つの理論としてまとめ上げ、発展していったものがダウ理論の完成形として広まったとされています。
ダウという名前を聞いて、世界的に注目される米国の代表的な株価指数「NYダウ(ダウ平均株価)」のことが、頭に浮かんだ方も多いと思いますが、NYダウは、このチャールズ・ダウが考案したものです。彼は、世界的に有名な経済誌「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」を創刊した、ダウ・ジョーンズ社の創業者の一人でもあります。
NYダウはもともと、彼が理論を考察するうえで株価を研究する必要性が生じたことから発案した、いわば副次的なものと言われています。このNYダウの発想が、テクニカル分析発展の原点となり、NYダウが世界中の市場参加者から金融市場のベンチマーク的な存在として注目されているのですから、彼の功績がいかに大きかったかがわかります。
余談ですが、現在のNYダウは「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス」という会社が算出していて、ダウ工業株30種平均、ダウ輸送株20種平均、ダウ公共株15種平均の3種類と、これらすべてをあわせたダウ総合65種平均という株価指数が存在します。その中で、一般的に注目を集めるのはダウ工業株30種平均で、マーケット関連で単純に「NYダウ」と言えば、このダウ工業株30種平均のことを指していると思って大丈夫です。
ダウ理論は株価だけでなく、FXも含めた多くの金融商品の値動きにも通用する、多くのトレーダーに支持されている考え方です。7つの基本法則で構成されていますが、ここではFXで活用できる6つの法則をご紹介します。
その1…価格にはあらゆるものが織り込まれている
これはまさに、テクニカル分析が前提とする考え方です。
価格には、その時点での市場参加者すべての売買する動機や根拠が含まれていて、過去に取引で成立した価格には、あらゆる分析の結果が織り込まれているというものです。ファンダメンタルズから想定される値動きと実際の値動きが、必ずしも一致していないということも、このことで説明できます。
つまり、相場の先行きを予測するには、チャートだけを見れば良いという考え方です。
その2…トレンドには3つの種類がある
ダウ理論が値動きを予測するうえでもっとも重要だと位置づけているのが、値動きはトレンドに支配されているという考え方です。
ダウは値動きの変動を、
2.通常、3週間から3カ月継続する、長期トレンドに逆行する「二次トレンド(Secondary movement)」
3.通常、3週間未満の、二次トレンドの短期的な修正にあたる「小トレンド(Minor movement)」
の3種類に分類しています。
3種類のトレンドはお互いに独立した存在ではなく、長期トレンドが強気・弱気相場を表し、二次トレンドが長期トレンド中の調整局面、小トレンドは二次トレンド中の短期的な修正局面と捉えます。
長いスパンで形成された大局的なトレンドの中に、いくつもの調整や修正のトレンドが混じっているということです。一般的に、二次トレンドによる長期トレンド中の調整幅は、通常は33%から50%、まれに66%に及ぶことがあると考えられています。これはフィボナッチ分析で主に使われる、戻りや押し目のメドとなる38.2%、50.0%、61.8%と、似たような水準になっています。
その3…長期トレンドはさらに3つに分類される
3つのトレンドの1つである長期トレンドは、さらに3つの段階に分類されると考えられています。

(出所:サクソバンク証券)
上昇トレンドを例にすると、トレンド発生前もしくは発生直後に、一部の抜け目ない先行型の投資家による買いが中心となって形成されるのが第1段階です。この時点での価格の上昇は、それほど大きくありません。
次が、多くの投資家が上昇トレンドを確認してこぞって買いで参入し、価格が急激に上昇する第2段階です。
そして、多くの人に値動きが注目され、今まで参加していなかった一般投資家も買うことで、取引高が膨張して熱狂的な相場に発展する一方、第1段階で参入した抜け目ない投資家が利益を確定して撤退しはじめ、長期トレンドがクライマックスを迎える第3段階です。
下降トレンドも上の説明とまったく同じような経路によって、3つの段階に分けられます。
その4…ライン=横ばい・ボックス相場
大きな価格変動が終息したあとに、数週間単位にわたって限られた値幅の範囲内でしか動かない相場を、ダウ理論では「ライン」と呼びます。いわゆる、横ばい相場・ボックス相場のことです。
先ほどご紹介した、長期トレンドの第1段階や第3段階で起こりやすいとも言われていますが、実際には長期トレンド中の調整局面として、いろいろな場所で確認できるパターンです。
ラインは形成する期間が長いほど、ボックスを上下どちらかにブレイクしたときに、ブレイクした方向へ長期にわたって新しいトレンドが形成されやすいと言われています。

(出所:サクソバンク証券)
まさに、レンジ相場やボックス相場の考え方の原点です。また、ラインを形成する値幅が狭いほど、その傾向は強まると考えられています。
その5…複数の指標を相互に確認しあうこと
現在のNYダウの構成銘柄には、米国のさまざまな業種の代表的な銘柄が採用されていますが、ダウ理論は工業株と鉄道株の2種類の平均株価によって提唱された理論です。業種が異なる2種類の平均株価は、本来なら値動きに相関性がないのが普通ですが、景気が好調なら、どちらの平均株価も上昇するはずだから、そのときは相場が本当に強気であるというのがダウ理論の考えです。
もしも、片方の平均株価がもう一方の平均株価と逆の動きをしはじめたり、2つの相関性が崩れてバラバラの動きになったときは、いくら景気が好調に見えても、上昇相場は終わりに近づいていると判断します。お互いの動きを、しっかり確認しあうことが大切ということです。
これは一見すると、FXで活用することは難しいように感じますが、たとえばパラメーターを似た期間に設定した種類の違うテクニカル指標を併用して、片方は上昇トレンドの継続を示唆しているのに、もう片方が上昇トレンドの終わりや転換の可能性を示唆したときは、買いポジションの決済を検討するといった使い方として応用できるかもしれませんね。
その6…トレンドは明確な終了サインが発生するまで継続する
一度発生したトレンドには、そのトレンドを継続しようとする力が働きます。これは、市場参加者の多くがトレンドに従ったトレード、すなわち順張りによって利益を得ようと行動するからで、トレンドに逆らう逆張りのトレードで利益を得るのは難しいという考え方にも通じます。
ダウがトレンドの判定でもっとも重視するのは、直近の高値と安値です。上昇トレンドは高値と安値の両方が切り上がっている、下降トレンドは高値と安値の両方が切り下がっている状態と定義しています。
そして、上昇トレンド中に前回の高値を超えられず、前回の安値を下回るといった明確なトレンド終了のシグナルが点灯するまで、トレンドは転換せずに継続すると提唱しています。
このように見ていくと、ダウ理論の考え方が、現在のテクニカル分析の源流になっていることがよくわかります。ダウ理論には、出来高でトレンドを確認する法則もあり、これをあわせた全7つで構成されています。出来高の法則については、FX以外のトレードにも興味がある方は、ぜひ専門書などで確認してみてください。
(最終更新日:2021年4月5日)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)