FXとは、少額から始められる外貨投資として人気がある金融商品です。昨今の円安相場を受けてFXに興味を持ったものの、「何から始めればいいのか、わからない」と悩む方も少なくないでしょう。
ここでは、これからFXを始める初心者が必ず押さえておきたいFXの基礎知識やリスク、初心者におすすめのFX口座などについてわかりやすく解説していますので、FXに興味がある方は、ぜひFXの入門コンテンツとして参考にしてください。
【※FX初心者におすすめの口座はココだ!】
⇒ザイFX!読者ランキングで1位~3位にランクインした、人気と実力を兼ね備えたおすすめのFX会社を詳しく紹介!
▼ FXとは?
▼ FX初心者におすすめのFX口座を紹介!
▼ 「円高」「円安」とは?
▼ FXで「利益を上げる方法」
▼ 「FXの取引時間」は何時から何時まで?
▼ FX取引に必要な資金「証拠金」とは?
▼ FXの「スワップポイント(スワップ金利)」とは?
▼ FXの「スプレッド」とは?
▼ 投資家の資産を守る「ロスカット」とは?
▼ FXの「信託保全」とは?
▼ FXと株取引の違いは?
▼ FXに関するよくある質問
・FXの「取引単位」とは?
・FX取引を始めるには、どうすればいい?
・FXはどれぐらいの資金があれば取引できる?
・FXの取引でスマホアプリが人気の理由は?
・FXの取引で利益が出たら税金はどうなる?
▼ 覚えておきたいFXの「リスク」
▼ FXで取引できる代表的な「通貨の特徴」を紹介
▼ FX初心者のための基礎知識入門 目次(←FXをさらに詳しく学びたい方はこちら!)
FXとは?
「FX」とは「外国為替証拠金取引」の略称で、為替レートが上がるか下がるかを予測する取引です。「外国為替保証金取引」や「通貨証拠金取引」と呼ばれることもあります。
「為替レート」とは、ある通貨を別の通貨へ交換するときの比率のことで、米ドル/円なら「1米ドル=100円」「1米ドル=110円」のように、需要と供給のバランスによって常に変動しています。株価の動きを利用して利益を狙う株式投資のように、FXでは為替レートの動きを利用して利益を狙うのが取引の基本になります。為替レートは、取引価格と考えて良いでしょう。
また、交換しあう2つの通貨の組み合わせのことは「通貨ペア」と呼びます。
【※「FXとは?」をさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXとは?:FX初心者のための基礎知識入門
FX初心者におすすめのFX口座を紹介!
FXを始めるには、FX会社に取引口座を開設しなければなりません。さまざまな特徴を持つFX口座が数多く存在するので、FX初心者の方は、どのFX口座を選ぶべきか迷うこともあるでしょう。
初心者がFX口座を選ぶ基準として、おすすめしたい点はいくつかありますが、たとえば「取引単位が小さく少額から取引を始められるかどうか」「米ドル/円などの主要通貨ペアのスプレッドが狭いかどうか」「サポート体制が充実しているかどうか」「スマホアプリなどの取引ツールの使い勝手が良いかどうか」といった点が挙げられます。
ここでは、それらの条件をバランス良く満たしていて、「ザイFX!読者が選んだ『おすすめFX会社』人気ランキング!」で1位~3位に選ばれた、人気のFX口座を紹介します。これからFXを始めようとしている初心者にとって、すでにFXを始めている先輩トレーダーのリアルな声が反映された人気ランキングは、FX口座選びの参考になるのではないでしょうか?
◆ザイFX!読者が選んだFX会社はココ!(総合ランキング) | |||
【総合1位】 GMOクリック証券「FXネオ」 | |||
【GMOクリック証券「FXネオ」のおすすめポイント】 初心者にも使いやすい取引ツール・チャートが多くのFXトレーダーに支持され、取引高、口座数、証拠金残高がトップクラスの業界を代表するFX口座です。特に、スマホアプリの完成度は非常に高く、わかりやすい画面と優れた操作性でストレスのない取引が実現します。米ドル/円をはじめとした主要通貨ペアのスプレッドは業界トップ水準、スワップポイントも高水準なので、FX口座を選ぶときに注目したいスペック面の条件も申し分なし。取引に慣れたあとも長く使い続けることができる、あらゆるレベル、あらゆる投資スタンスのトレーダーにおすすめのFX口座です。GMOクリック証券に口座を保有するトレーダーが参加し、リアルな「トレード速報」や「収益ランキング」が公開されている独自コンテンツ「トレードアイランド」も一見の価値あり! |
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GMOクリック証券「FXネオ」の主なスペック | |||
最低取引単位 | 通貨ペア数 | 米ドル/円スプレッド | 米ドル/円スワップポイント |
1000通貨 | 20ペア | 0.2銭原則固定 | 201.54円 |
【GMOクリック証券「FXネオ」の関連記事】 ■GMOクリック証券「FXネオ」のメリット・デメリットを解説! スプレッド、スワップポイントなどの他社との比較、キャンペーン情報や口座開設までの時間、必要書類も紹介! |
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▼GMOクリック証券「FXネオ」▼![]() |
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【総合2位】 SBI FXトレード | |||
【SBI FXトレードのおすすめポイント】 取り扱いのあるすべての通貨ペアを「1通貨」単位で取引できるのが、SBI FXトレードの最大の特徴です。一般的なFX口座の1/1000の規模から取引でき、1通貨なら取引に必要な資金は数円程度と非常に少なくて済みます。これからFXを始める初心者の方はもちろん、少額取引ができるFX口座を探しているすべての方におすすめしたいFX口座です。取引できる通貨ペアの数も豊富なので、値動きが気になるマイナーな通貨ペアの取引を、少額で試してみるといった活用方法もあります。SBI FXトレードでは取引量によってスプレッドが異なりますが、1回の取引量が100万通貨までならもっとも狭いスプレッドでの取引が可能です。取引量が増えても、魅力的なスプレッド水準で取引を継続することができます。 |
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SBI FXトレードの主なスペック | |||
最低取引単位 | 通貨ペア数 | 米ドル/円 スプレッド | 米ドル/円 スワップポイント |
1通貨 | 34ペア | 0.18銭 | 199.86円 |
【SBI FXトレードの関連記事】 ■SBI FXトレードのおすすめポイントや、「スプレッド」「スワップポイント」「取り扱い通貨ペア数」などをまとめて紹介! |
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▼SBI FXトレード▼![]() |
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【総合3位】 外為どっとコム「外貨ネクストネオ」 | |||
【外為どっとコム「外貨ネクストネオ」のおすすめポイント】 外為どっとコムは、業界上位水準のスプレッドに加え、質の高い豊富なマーケット情報、投資家をサポートするさまざまな独自コンテンツを提供しており、長年、多くのFXトレーダーから根強い支持を集めている老舗のFX会社です。外為注文情報やポジション比率情報など、取引をサポートしてくれる独自コンテンツが充実しているほか、各自のレベルにあわせて受講できる学習コンテンツも用意されているので、FXを始めたばかりの初心者の方も安心して利用することが可能です。さらに外為どっとコムでは、1通貨単位から外貨を自動で購入して積み立ててくれるサービス「らくらくFX積立」も利用することができます。コストや金利面で銀行の外貨預金よりも、はるかに有利な運用を実現することも可能ですので、興味のある方は、あわせてチェックしてください。 |
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外為どっとコム「外貨ネクストネオ」の主なスペック | |||
最低取引単位 | 通貨ペア数 | 米ドル/円 スプレッド | 米ドル/円 スワップポイント |
1000通貨 | 30ペア | 0.2銭原則固定 (9-27時・例外あり) |
196.04円 |
【外為どっとコム「外貨ネクストネオ」の関連記事】 ■外為どっとコム「外貨ネクストネオ」のおすすめポイントや、「スプレッド」「スワップポイント」「取り扱い通貨ペア数」などをまとめて紹介! |
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▼外為どっとコム「外貨ネクストネオ」▼![]() |
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※スプレッドはすべて例外あり。スワップポイントは2023年5月に1万通貨の買いポジションを持ち続けた場合に受け取った1日あたりの平均金額。この表は2023年6月1日時点のデータをもとに作成しているため、最新の情報とは異なっている場合があります。最新の情報は各社の公式サイトなどで確認してください |
総合ランキング4位~10位、「取引コスト(スプレッド)」「スワップポイント」などの主要な項目ごとのランキングは、以下の記事をご覧ください。
【※関連記事はこちら!】
⇒FXトレーダーのリアルな声を反映! ザイFX!読者が選んだ「おすすめFX会社」人気ランキング!
「円高」「円安」とは?
FX(外国為替証拠金取引)を始める前に「円高・円安とはどういう状態なのか」を理解しておく必要があります。
「円高」とは、同じ金額の日本円で交換できる外貨(外国通貨・日本円以外の通貨)の数量が、相対的に多い状態のことをいいます。
手元の1万円をすべて米ドルへ交換するとき、為替レートが1米ドル=100円なら、100ドルを受け取ることができます。ところが、1米ドル=80円だと125ドルも受け取ることができ、100円のときと比べて、より多くの米ドルと交換することができます。

このように、日本円の価値(人気)が米ドルより高くなった状態が「円高」です。
反対に、「円安」とは同じ金額の日本円で交換できる外貨の数量が、相対的に少ない状態のことをいいます。
先ほどと同じように、手元の1万円をすべて米ドルへ交換するとき、1米ドル=100円なら100ドルを受け取ることができますが、1米ドル=125円になると、80ドルしか受け取ることができなくなります。100円のときと比べて、より少ない米ドルとしか交換することができません。

このように、日本円の価値(人気)が米ドルより低くなった状態が「円安」です。
上記では「米ドル/円」を例に解説しましたが、「ユーロ/米ドル」なら「米ドルの価値がユーロより低くなれば米ドル安」「米ドルの価値がユーロより高くなれば米ドル高」など、さまざまな通貨の組み合わせでも同じように考えます。
FXとは「安い通貨を買って上がったら売る」、もしくは「高い通貨を売って下がったら買い戻す」という取引で利益を上げる取引になります。
【※「円高」「円安」をさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒「円高」「円安」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
FXで「利益を上げる方法」
「FX」は、常に変動している為替レートがこの先どうなるかを予測して、予測が当たれば利益、外れた場合は損失になる取引です。
上がると思ったときに買うだけでなく、下がると思った場合は売りから取引を始めることもでき、為替レートの上昇と下落の両方で収益を狙うことができます。これは、株式の現物取引などにはない、FXの特徴の1つです。
1.買いから取引を始めて利益を上げる方法
米ドル/円の為替レートが将来的に上昇しそうだと予測して、1米ドル=100円のときに買ったと想定します。その後、予測どおりに上昇したので120円になったときに売って取引を完結させると、買った値段の100円と売った値段の120円の差額となる20円が利益(為替差益)になります。1000通貨で取引していたら2万円の利益です。
反対に、予測が外れて為替レートが下落してしまい、80円のときに売って取引を完結させると、差額の20円が損失(為替差損)になります。1000通貨で取引していたら2万円の損失です。

このように買いから取引を始めた場合は、買った値段よりも高い値段で売ると利益、買った値段よりも安い値段で売ると損失が発生します。買いから始める取引は、株式など他の一般的な金融商品と同じなので、イメージしやすいでしょう。
2.売りから取引を始めて利益を上げる方法
米ドル/円の為替レートが将来的に下落しそうだと予測して、1米ドル=100円のときに売ったと想定します。その後、予測どおりに下落したので120円になったときに買い戻して取引を完結させると、売った値段の100円と買った値段の80円の差額となる20円が利益(為替差益)になります。1000通貨で取引していたら2万円の利益です。
反対に、予測が外れて為替レートが上昇してしまい、120円のときに買い戻して取引を完結させると、差額の20円が損失(為替差損)になります。1000通貨で取引していたら2万円の損失です。

このように売りから取引を始めた場合は、売った値段よりも安い値段で買い戻すと利益、売った値段よりも高い値段で買い戻すと損失が発生します。
株式の取引にも、「空売り(からうり)」と呼ばれる売りから取引を始めることができるしくみは存在しますが、一般的に空売りを行うには信用取引専用の口座を開設する必要があり、さらに売買手数料とは別に一定の貸株料を支払う必要があります。FXなら余計なコストは一切かからず、1つの口座で買いも売りも自由に行うことができるのが魅力です。
【※「FXで利益を上げる方法」をさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXで利益を上げる方法:FX初心者のための基礎知識入門
また、FXには多彩な「注文方法」があります。24時間、常に動き続ける為替レートをずっとチェックすることは不可能ですが、さまざまな注文方法を上手に使うことができれば、取引チャンスを逃す可能性も減るでしょう。
【※「FXの注文方法」をさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXの注文方法:FX初心者のための基礎知識入門
そのほか、FXでは事前に設定した条件に沿ってシステムが自動で売買をおこなってくれるFX口座もあります。こうした口座を活用すれば、FXの自動売買(システムトレード)も可能です。なるべく手間をかけずにFXで資産を運用したいと考えている方は、FXの自動売買ができるFX口座がおすすめです。
【※関連記事はこちら!】
⇒FXの自動売買(システムトレード)ができる「おすすめFX口座」を比較して、「トラリピ」から「MT4」まで、FXシストレ口座を種類別に詳しく解説!
「FXの取引時間」は何時から何時まで?
FXは土日を除き、平日なら24時間、いつでも取引することができます。日本が祝日でも、取引が可能です。
その理由は、外国為替市場には取引所のような物理的な場所がなく、インターネットや電話回線などを使って、常に世界のどこかで取引が行われているからです。為替レートは、この外国為替市場で行われる取引によって刻一刻と変動しているため、FXも外国為替市場の参加者が不在となる土日以外は24時間、取引ができます。

株式の場合は、基本的にはその株式が上場している証券取引所が定めた取引時間帯しか取引できませんが、FXならライフスタイルなどにあわせて24時間、手軽に取引することができます。
また、外国為替市場の参加者が1日の中でもっとも多く、為替レートが動きやすいのは、日本時間の夜の時間帯といわれています。FXは、日中は仕事や家事でなかなか投資に時間が割けない方にも、取引チャンスが多い金融商品といえます。
【※「FXの取引時間」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXの取引時間:FX初心者のための基礎知識入門
FX取引に必要な資金「証拠金」とは?
「証拠金」とは、FX口座に預け入れた資産のことを指します。FX口座に5万円の資金を入金すれば、そのFX口座内の証拠金残高は5万円となり、取引で発生した損益やスワップポイントの受け渡しによって、口座内の証拠金の残高は都度、増減します。
FXでは、FX会社に預け入れた証拠金を担保にすることで、実際の取引規模の最大25倍の規模の取引を行うことができます。
その取引に必要な資金は「取引証拠金」などと呼ばれ、取引証拠金の金額は実際の外国為替取引に必要な金額の4%(25分の1)以上にすることが法律で定められています(個人口座の場合)。
具体的には、1米ドル=100円のときは、1000通貨の取引は10万円規模の取引を行っていることになりますが、FXでは実際の取引規模の4%(25分の1)となる4000円の取引証拠金があれば取引できる計算になります。
【※「証拠金」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXの「証拠金」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
このような仕組みの取引は「レバレッジ取引」と呼ばれることもあります。「レバレッジ」はテコの原理のことで、小さな力で大きなものを動かすことができるため、FXの取引はこのように表現されます。
【※「レバレッジ」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXの「レバレッジ」とは?:FX初心者のための基礎知識入門

FXの「スワップポイント(スワップ金利)」とは?
FXの「スワップポイント(スワップ金利)」とは、金利の異なる2つの通貨を交換するときに発生する金利の差額を調整したものです。外貨預金の利息と似たようなもので、通貨ペア内で相対的に金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買うと、2つの通貨の金利差を日本円で受け取ることができます。
スワップポイントはポジションを決済せずに持ち続けている限り、原則として営業日が変わるたびに、保有しているポジションの量に応じた金額を受け取ることができます。
仮に、1万通貨あたり1日150円のスワップポイントが受け取れ、この金額がずっと変わらないと仮定した場合、ポジションを持ち続けていれば1年間で5万4750円をスワップポイントによる収益として受け取ることができる計算になります。

現在、日本とそれ以外の主要国の金利の差が拡大しているため、一般的な水準のスワップポイントを提供しているFX会社で米ドル/円やユーロ/円などの日本円が絡んだ通貨ペアの買いポジションを持っていれば、銀行の外貨預金などで受け取れる利息と比較しても、格段に有利な金利収益を受け取ることができます。
【※関連記事はこちら!】
⇒主要なFX口座の米ドル/円のスワップポイントを比較してランキングで紹介!:FX会社おすすめ比較
また、高金利通貨ペアと呼ばれる「メキシコペソ/円」、「南アフリカランド/円」などは、投下資金に対する金利収益の比率が高いことから、スワップポイントを投資収益の一部として重視するFX投資家に人気があります。
【※関連記事はこちら!】
⇒メキシコペソのスワップポイントを徹底比較!スプレッドも一覧で比較し、おすすめのFX会社を紹介!メキシコペソ/円の今後の見通しやチャートも確認しよう
スワップポイントは、相対的に金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買う方向でポジションを持ち続けていると、2つの通貨の金利差を日々、支払わなくてはいけません。また、為替レートの変動によっては、スワップポイント分の収益を上回る為替差損が発生する可能性が十分にあるため、高い金利収益だけに注目して、やみくもにポジションを持ち続けることにはリスクが伴うことも押さえておく必要があります。
【※「スワップポイント」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒FXの「スワップポイント」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
FXの「スプレッド」とは?
FXの「スプレッド」とは、売るときの値段(売値)と買うときの値段(買値)の差のこと。取引手数料(売買手数料)は無料が主流のFXにおいて、1通貨あたりの実質的な取引コストにあたります。

上の図のように、仮にスプレッドが1銭(0.01円)の通貨ペアを取引すれば、1000通貨取引なら10円、1万通貨取引なら100円のコストがかかっていると考えることができます。
最近は、米ドル/円を0.1銭(0.001円)のスプレッドで取引できるFX会社も珍しくなく、もし0.1銭のスプレッドで取引したなら、1000通貨取引のコストは1円、1万通貨取引のコストは10円となります。
これは、外貨預金で円を外貨に換えるときや、外貨を円に戻すときにかかる為替手数料と比べると、FXが圧倒的に低いコストで取引できることがわかると思います。このコストの低さから、外貨預金の代わりにFXを利用している方もいます。
FXのスプレッドは、米ドル/円などのように取引量が多くて流動性の高い通貨ペアでは狭く、それほど流動性が高くないマイナーな通貨が絡んだ通貨ペアでは広くなる傾向にあります。ただし、為替レートが急激に動いたときや、市場全体の流動性が低い時間帯などには、取引量の多い通貨ペアでも通常時よりスプレッドが広がる可能性があります。
【※「スプレッド」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒「スプレッド」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
スプレッドの幅はFX会社が独自に設定しているため、同じ通貨ペアでもFX口座によって異なります。取引のコストをできるだけ安く抑えたい人は、取引する通貨ペアのスプレッドの幅が相対的に狭いFX会社を選ぶのがおすすめです。
【※関連記事はこちら!】
⇒>主要なFX口座の米ドル/円のスプレッドを比較してランキングで紹介!:FX会社おすすめ比較
投資家の資産を守る「ロスカット」とは?
FXの「ロスカット」とは、預けてある資産以上の損失が発生する前に、FX会社が強制的にポジションを決済して損失を確定させるしくみです。
FXはレバレッジをかけて取引することができるため、為替レートが損失の発生する方向へ動きすぎると、預けた資産以上のマイナスが発生する可能性もあります。ロスカットは、こうしたリスクを軽減するためにFX会社に対して導入が義務づけられている制度です。

ロスカットによって、投資家が口座に預けてある資産以上の損失は、原則として出ないようになっています。ただし、為替レートが急激に動いたときなどは、ロスカットされるべき本来の水準とは異なる為替レートで決済され、預けた資産以上の損失が発生してしまう可能性も絶対にないとは言い切れません。
ロスカットをできるだけ回避するためには、ロスカットが発動する水準よりも手前の許容できる損失の範囲内に、あらかじめ損失を限定するためのストップロスの注文(逆指値注文)を出しておくなどの対策が必要です。また、実際の取引規模(取引金額)を常に意識ながら、口座内の証拠金に余裕を持たせておくことも重要です。
【※「ロスカット」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒>FXの「ロスカット」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
FXの「信託保全」とは?
FXの「信託保全」とは、FX会社が投資家(顧客)の資産を自社の財産と完全に切り離して、信託銀行や信託業務の兼営認可を受けた銀行などへ分別保管する制度のこと。FX会社が破綻するなどのリスクに対応したもので、FX会社には信託保全をおこなうことが義務づけられています。
そのため、日本国内で法律にもとづいた登録を受けて営業しているFX会社で取引していれば、もしFX会社が破綻したとしても、投資家が預けたお金は原則として全額保護されます。

(出所:一般社団法人金融先物取引業協会)
信託保全では口座に預け入れている証拠金だけでなく、取引によって発生した為替差損益、未決済ポジションの評価損益、スワップポイントの受け渡しによるスワップ収益なども保護されます。つまり、投資家のFX口座にあるすべての資産が対象です。
また、FX会社から信託を受けた信託銀行などにも、信託を受けた資産を分別保管することが法令で義務づけられているので、もし信託銀行などが破綻した場合でも、FX投資家の資産は全額保護されるしくみが講じられています。銀行の外貨預金にはこのような制度はなく、さらに外貨預金はペイオフ(預金保護制度)の対象外なので、投資家の資産保全の仕組みという面では、FXは外貨預金よりも安全と言えます。
【※FXの「信託保全」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒>FXの「信託保全」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
FXと株取引の違いは?
FXと株式投資は、投資手段の選択肢として比較されることが多いですが、「FXと株取引のもっとも大きな違い」は、取引できる銘柄の数でしょう。
外国為替市場には非常に多くの通貨ペアが存在しますが、FXで取引できるのは、おおむね20~30通貨ペアぐらいが一般的です。基本的に多くのFX口座が、流動性が高く、通常時は為替レートが安定している通貨ペアを取り扱いの対象にしています。
一方、株式の場合は東京証券取引所に上場している企業だけで、およそ3700社もあります(2021年6月時点)。また、近年では海外の証券取引所に上場している企業の個別株を取引できる証券会社もありますから、それらも含めた場合、株式の投資対象は膨大な数に膨れ上がります。

取引できる銘柄の数を単純に比較すると、FXで取引できる通貨ペアの数は圧倒的に少ないと言えます。これはデメリットと考えることもできますが、一方で有望な投資対象を探し出すのに必要な時間が、株式ほどはかからないと考えることもできるでしょう。
また、FXは平日なら24時間いつでも取引できますが、株式は上場している証券取引所が定めた取引時間の中でしか取引することができないのが基本です。さらに、一般的な証券総合口座ではレバレッジをかけた取引は行えません。そのため、銘柄によって異なるので一概には言えないものの、取引に必要な資金はFXよりも多くなることが考えられます。
ただし、銘柄数の多さは選択肢の多さにつながりますし、株式投資には株主優待制度などの、株式投資でしか味わえないメリットや醍醐味もあります。どちらも資産運用の手段として有効に活用できるようになれば、収益機会も増えるでしょう。
FXに関するよくある質問
ここでは、FX初心者や、これからFXをはじめようと思っている方の多くが感じる疑問をまとめました。
疑問1…FXの「取引単位」とは?
FXではFX口座ごとに「取引単位」が定められています。ほとんどのFX口座の取引単位は「1000通貨」で、この場合、「1000通貨」、「2000通貨」、「3000通貨」……と、取引単位の倍数で取引するのが一般的です。
基本となる1通貨は、為替レートの表示の基準となる最低単位で、米ドルなら1米ドル、ユーロなら1ユーロが1通貨にあたります。つまり、FXで1000通貨の取引を行うということは、1000米ドルや1000ユーロ分の取引をしているということになります。
【※FXの「取引単位」についてさらに詳しく知りたい方はこちら!】
⇒>FXの「取引単位」とは?:FX初心者のための基礎知識入門
FXの取引単位は1000通貨が主流ですが、中には1通貨単位や100通貨単位で取引できるFX口座もあります。取引単位が小さければ、その分、取引に必要な証拠金の金額も少なくてすみますし、為替レートの変動による資産へのリスクも相対的に小さくなります。1000通貨でも少額の取引は可能ですが、よりリスクを抑えて取引したい人、最初は非常に少ない資金からFXを始めてみたい人は、そのような1通貨単位や100通貨単位で取引できるFX口座を選ぶのがおすすめです。
【※関連記事はこちら!】
⇒「1000通貨」よりも小さい注文量で取引できる、おすすめのFX口座を紹介!
疑問2…FX取引を始めるには、どうすればいい?
FXを取引するためには、FX会社や証券会社などが提供しているFX口座を開設する必要があります。FX口座は、基本的に日本に住む18歳以上の成人であれば誰でも開設を申し込むことができます(一部のFX会社は20歳以上)。すべての申し込み手続きをオンライン上で完結させた場合、最短1時間で口座開設が完了して、すぐに取引を始めることができるFX口座もあります。
【※関連記事はこちら!】
⇒>FX口座が最短1時間~当日に開設できるFX会社を紹介! 口座開設を申し込んだ1時間後にはFX取引を始められるFX会社や、早く開設するために必要なこと、注意点などを解説!
初心者の方は、日本のFX投資家の取引量がもっとも多い米ドル/円のスプレッドが狭く、少額投資が可能な1000通貨よりも小さい取引単位で取引できるFX口座を選ぶのがおすすめです。
【※関連コンテンツはこちら!】
⇒FX初心者におすすめのFX口座を紹介! ザイFX!読者が選んだFX会社はココ!
口座開設の申し込みには運転免許証やマイナンバーカードなどの、本人であることを証明する「本人確認書類」の提出と、マイナンバー(個人番号)の通知が必要です。あらかじめ準備をしておけば、スムーズに口座開設の手続きをおこなえるでしょう。
FX会社の審査を通過して口座の開設が完了すれば、IDとパスワードを使って会員専用ページや取引画面にログインできるようになり、FX口座に資金を入金すれば取引を始めることができます。

疑問3…FXはどれぐらいの資金があれば取引できる?
通貨ペアの為替レートが140円の場合、1000通貨の取引なら最低5600円があれば取引できる計算になります。SBI FXトレードや松井証券「MATSUI FX」などのような1通貨単位で取引できるFX口座なら、為替レートが140円の場合は実質6円あれば取引できます(いずれも証拠金率4%=レバレッジ25倍の場合)。
【※関連記事はこちら!】
⇒SBI FXトレードの特徴やスプレッド、スワップポイント、取り扱い通貨ペア数などを紹介!
ただし、ロスカットのリスクなども考慮すると、少なくとも取引証拠金(取引に必要な資金)の1.5倍から2倍以上の資金は、FX口座に預けておくことが理想です。必ず、取引する前にどれぐらいの資金が必要になるのかを把握しておいて、資金に余裕をもたせた取引量で取引するよう心がけることが大切です。
なお、FX取引を行っている方がどれぐらいの資金を証拠金として口座に入金しているかについては、「10万円未満」が37.5%、「10~30万円」が19.4%と、30万円以下が全体の半数以上を占めるというFX会社の利用者調査結果もあります。

いずれにしても、株式投資などと比較すると、FXは少ない資金から取引できるのは事実です。
疑問4…FXの取引でスマホアプリが人気の理由は?
FXは、PC(パソコン)、スマートフォン(スマホ)、タブレットなど、インターネットにつながっている端末のほとんどすべてから取引することができます。近年は「スマホアプリ(スマートフォン専用アプリ)」をメインの取引ツールにしている方が、圧倒的に多いようです。
「スマホアプリ」の魅力は、PCを立ち上げる必要がなく、通勤時間中や休憩中、ちょっとした空き時間などに為替レートやニュースをすぐにチェックして、いつでもどこでも取引できる点にあります。

スマホアプリの操作性や機能は年々、進化していて、最低1タップで注文を出すことができたり、注目イベントの予定を待ち受け画面に通知してくれたりと、便利なサービスの搭載されたスマホアプリがたくさんあります。
24時間、場所を選ばず、いつでもどこでも取引できる手軽さや便利さも、FXが多くの方に支持される理由だと思います。もちろん、FX会社のスマホアプリは、どこも無料でダウンロードして使用することができます。
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疑問5…FXの取引で利益が出たら税金はどうなる?
FXでは一定の利益が出ると、翌年2月からの申告期間中に確定申告を行って、税金を納める義務が発生します。税率は利益の大きさにかかわらず、一律20.315%です。複数のFX口座で取引している方は、すべての口座の損益を合算する必要があります。
FXの利益は税法上、「先物取引に係る雑所得等」というカテゴリーに分類され、同じカテゴリーの日経225先物や商品先物などといった一部の金融商品と、利益と損失を相殺することもできます。これを「損益通算」と呼びます。
また、FXには「繰越控除」の制度があります。これは、損失したことを確定申告しておくことで、その損失分の金額を翌年以降の3年間にわたって、利益から差し引くことができる制度です。損失の申告は義務ではありませんが、翌年以降に利益が出た場合は、節税効果が期待できます。
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覚えておきたいFXの「リスク」
FXは、株式や外貨預金、投資信託などと同じ金融商品である以上、取引にはいくつかのリスクがともないます。FXにどのようなリスクがあるのかをしっかりと押さえておくことも、取引するためには大切です。
リスク1…元本や利益が保証されていない
当然のことながら、FXは元本や利益が保証された取引ではありません。これは、ほかの投資でも同じことがいえますが、FXはレバレッジをかけて取引ができる分、投下資金に対する利益や損失の割合がほかの金融商品と比較して高くなる傾向にあることは、十分に理解しておく必要があります。
リスク2…為替レートの変動リスク
外国為替市場の規模は非常に大きいため、FXは高い流動性と透明性が確保された金融商品ですが、世界的な金融ショックなどによって為替レートが急激に変動するリスクはあります。
また、多くの参加者がマーケットを離れている年末年始やクリスマスなどの時期は、スプレッドが通常よりも拡大したり、為替レートの動きが大きくなったりすることがあります。そういった時期は取引を手控えたり、ポジションの量を小さくして取引するなどの対策も検討する必要があります。
リスク3…FX会社の信用リスク
資産を預けているFX会社が破綻するなどのリスクも、絶対にないとは言い切れません。ただし、FXには「信託保全」の制度があります。法律にもとづいた登録を受けて営業しているFX会社のFX口座で取引していれば、FX会社の信用リスクを過剰に心配する必要はないでしょう。
【※関連記事はこちら!】
⇒投資家の資産が全額保護される、FXの「信託保全」とは?
リスク4…システムリスク
FXはインターネット回線を使って取引するため、インターネットの接続状態が不安定な場所など取引しようとした場合、思ったように取引できないリスクがあります。特に、外出先などからスマホアプリを使って取引する場合は、周囲の電波状況をしっかりと確認することをおすすめします。
また、FX会社が外部からのサイバー攻撃などを受け、攻撃を受けたFX会社の取引画面へログインできなくなったり、ログインしづらくなるといった出来事も過去にはありました。そのようなときは、一時的に取引ができない事態に直面する可能性もありますので、いざというときの対策として、FXの口座を1つではなく、いくつか保有しておくこともおすすめします。
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FXで取引できる代表的な「通貨の特徴」を紹介
通貨は基本的に、その通貨を発行している国や地域の景気、政策金利の水準などによって、他の通貨との相対的な価値が変わります。国や地域にそれぞれ特徴があるように、通貨にも通貨ごとの特徴があります。
ここでは、FXで取引できる通貨の中から、主要なものをピックアップして、それぞれの通貨の特徴などをご紹介します。各通貨の取引量などは、BIS(国際決済銀行)が発表した2022年4月の取引データです。
★米ドル
「米ドル」は米国(アメリカ合衆国)の法定通貨で、「USD」の通貨記号で表されます。1日平均7.5兆ドル(1000兆円超)という膨大な取引規模の外国為替市場の中で、米ドルが絡んだ通貨ペアの取引量は実に88.5%と、圧倒的なシェアを誇っています。
米ドルは経済規模が世界一の国の通貨というだけでなく、基軸通貨として国際的な金融取引でもっとも多く使われているため、流動性も折り紙つきです。そのため、米ドルの動きは、他の通貨の動きにも大きな影響を与えます。
米ドルに関する情報は入手しやすく、米ドルと主要通貨が絡んだ通貨ペアは、FXで取引しやすい通貨ペアといえます。特に、初心者には米ドル/円の取引がおすすめです。FX口座を選ぶときは、米ドル/円のスプレッドやスワップポイントの水準に注目するとよいでしょう。
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★ユーロ
「ユーロ」は、主にヨーロッパのEU(欧州連合)に加盟する国の中で使用されている単一通貨で、「EUR」の通貨記号で表されます。EU加盟国の中でユーロを法定通貨にしている国で形成される経済圏は「ユーロ圏」と呼ばれ、現在、ユーロはユーロ圏ではない6カ国を含む、計25カ国で使用されています(ユーロを使用していないEU加盟国も存在します)。
紙幣としてユーロの流通がはじまったのは2002年。まだ歴史の浅い通貨ではありますが。外国為替市場の中でユーロが絡んだ通貨ペアの取引量は30.5%と、米ドルの次に取引量の多い通貨です。米ドルに代わって、決済通貨としての役割を果たすことも多く、第2の基軸通貨ともいわれる存在です
ユーロと米ドルはコインの裏表の関係になることも多く、米ドルが買われたときはユーロが売られ、ユーロが買われたときは米ドルが売られる傾向がよく確認できます。通貨ペア別では、ユーロ/米ドルの取引量は全体の22.7%と、ほぼ4分の1の割合を占めています。
ユーロ/米ドルは日本円が絡まないため、日本人にはなじみの薄い通貨ペアですが、外国為替市場ではもっとも多く取引されているため、流動性も高く、取引しやすい通貨といえます。ユーロ/米ドルのレート表示は米ドル建てのため、はじめのうちは違和感があるかもしれませんが、値動きが比較的わかりやすいので初心者にもおすすめの通貨ペアです。また、ユーロ/円は日本のFX投資家がよく取引する通貨ペアの1つです。
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★日本円
「日本円」は日本の法定通貨で、「JPY」の通貨記号で表されます。外国為替市場での日本円の取引量は16.7%と、米ドル、ユーロに次ぐ第3位の取引量を長年キープしています。
米ドル/円と、「クロス円」と呼ばれる米ドル以外の通貨と円が絡んだ通貨ペアは、日本のFX投資家にとってなじみやすい通貨ペアになると思います。米ドル/円とやクロス円の買いポジションを保有し続けると、多くの通貨ペアでスワップポイントを受け取れるというメリットもあります。
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しかし、世界の貿易取引などで日本円が決済通貨として使用される機会はめったにありません。通貨ペア別で見ると、米ドル/円の取引量は13.5%となり、ユーロ/米ドルの22.7%に次ぐ大きさではありますが、クロス円は外国為替市場ではほとんど取引されていません。そのため、クロス円は主要な通貨ペアと比べると流動性が乏しく、米ドル/円よりも値動きが大きくなる可能性があるともいえます。
日本円は、世界的な金融危機や紛争などが起こったときは、安全資産や避難通貨の側面から、一時的に買われることが多いといわれていたこともあります。過去、そのようなときは円高になりやすい性質を持っていた通貨としても知られています。
★英ポンド
「英ポンド」は英国(イギリス)の法定通貨で、「GBP」の通貨記号で表されます。英ポンドは「スターリング」や「ケーブル」などと呼ばれることもあり、大英帝国時代には基軸通貨として、世界中で幅広く利用されていたこともあります。現在の外国為替市場での英ポンドの取引量は12.9%と、米ドル、ユーロ、日本円に次ぐ4番目の多さです。
世界の金融の中心地、ロンドン市場の外国為替取引量は世界一の規模ですが、英ポンド自体の取引量はそれほど多くありません。米ドルやユーロなどと比較すると、値動きが大きくなりやすい傾向があります。
英ポンドの取引は、普段は欧州の市場に集中します。また、同じ欧州大陸の通貨で、英国とユーロ圏が経済的にも密接に関わり合ってきたことから、ユーロとの関係性が高いことでも知られています。
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★豪ドル
「豪ドル」はオーストラリアの法定通貨で、「AUD」の通貨記号で表されます。「オーストラリアドル」や「オージー」などと呼ばれることもあります。豊富な天然資源を有するオーストラリアの豪ドルは、「資源国通貨(コモディティ通貨)」の代表格といえる存在です。また、地理的な面から、ニュージーランドの通貨「ニュージーランドドル」(NZドル)とあわせて、「オセアニア通貨」と呼ばれることもあります。
外国為替市場での豪ドルの取引量は全体の6.4%と、規模としては6番目の大きさです。オーストラリアの政策金利は3.60%(2022年3月時点)で、豪ドル/円の買いポジションを保有することで受け取ることができるスワップポイントの金額も上昇傾向にあるため、豪ドル/円は日本のスワップポイント狙いの投資家にも人気のある通貨ペアです。
オーストラリア最大の貿易相手国は中国で、中国向けの輸出は全体の3割を占めます。そのため、豪ドルには中国の景気に敏感に反応しやすいといった特徴があります。また、原油や金などの商品(コモディティ)価格に影響を受けやすいという一面もあります。
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★ニュージーランドドル(NZドル)
「ニュージーランドドル」はニュージーランドの法定通貨で、「NZD」の通貨記号で表されます。「NZドル(ニュージードル)」や「キウイ」と呼ばれることもあります。資源国通貨として知られていますが、ニュージーランドの主な輸出品は酪農製品や食肉で、これらが輸出全体の4割近くを占めています。最大の輸出相手国は中国です。
ニュージーランドドルも豪ドルと同じように、中国の景気に影響を受けやすい通貨といえます。また、オーストラリアと経済的な結びつきが強いことから、オーストラリアの経済にも影響を受けやすく、同じオセアニア通貨として豪ドルと似たような動きをすることもあります。ニュージーランドの政策金利は4.75%(2023年2月時点)で、ニュージーランド/円の買いポジションを保有することで受け取ることができるスワップポイントの金額も上昇傾向にあります。
ニュージーランドは人口が多くなく、経済規模も小さいため、外国為替市場でのニュージーランドドルの取引量は、全体の1.7%にすぎません。そのため、ニュージーランドドルは、豪ドルよりも値動きが大きくなりやすい傾向も確認できます。
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★トルコリラ
「トルコリラ」はトルコの法定通貨で、「TRY」の通貨記号で表されます。トルコリラは、日本のFX投資家には非常に有名な新興国通貨です。新興国通貨とは、一般的に高い成長などが期待できる一方で、先進国と比較して経済の規模が小さい新興国の通貨のことです。通貨の流動性が低いため、為替レートの動きが大きくなりやすい傾向にあるといわれています。外国為替市場でのトルコリラの取引量は、全体の0.4%にすぎません。
トルコは中東に属する国ですが、イスラム社会としては唯一のNATO(北大西洋条約機構)加盟国で、米国や欧州との関係を大切にしてきました。しかし、ここ数年は西側諸国との関係が悪化していて、経済的にも政治的にも、トルコリラは買いを保有するリスクが高い通貨として、注目を集めてきた経緯があります。
トルコリラは一時期、非常に高い水準のスワップポイントを受け取れたことから、スワップポイント狙いのFX投資家から非常に人気がありました。しかし、金利の動きもそれなりに激しく、過去に急激な為替レートの変動が何度も起こったことから、取引には十分な注意を払う必要がある通貨といえます。
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★南アフリカランド
「南アフリカランド」は南アフリカの法定通貨で、「ZAR」の通貨記号で表されます。「南アランド」や「ランド」と呼ばれることもあります。外国為替市場での南アフリカランドの取引量は全体の1.0%と、多くありません。
鉱物資源が豊富な南アフリカは、金やダイヤモンドの世界的な産出国として知られており、南アフリカランドは資源国通貨と新興国通貨のどちらにも位置づけられます。
南アフリカランドも高金利通貨として有名で、高い水準のスワップポイントを受け取れることから、日本のFX投資家に人気があります。ただし、トルコほどではありませんが、南アフリカも政治の情勢が不安定な時期が多いことから、急な為替レートの変動を常に警戒しておいたほうが良い通貨といえるでしょう。。
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★メキシコペソ
「メキシコペソ」はメキシコの法定通貨で、「MXN」の通貨記号で表されます。外国為替市場でのメキシコペソの取引量は、全体の1.5%です。
メキシコペソも平常時は金利の高い新興国通貨として知られており、近年、メキシコペソ/円を取引できるFX会社が増えてきたことから、日本のFX投資家からも注目されています。
メキシコの輸出は8割が米国向けとなっているので、メキシコペソは米国の景気に影響を受けやすい通貨といえます。また、アメリカ大陸の中ではカナダと米国に次ぐ原油輸出国のため、原油価格の動きにも、少なからず影響を受けると考えられています。
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★カナダドル
「カナダドル」はカナダの法定通貨で、「CAD」の通貨記号で表されます。「加ドル」、「キャンドル」、「キャンディ」などと呼ばれることもあります。カナダは先進国で最大の原油輸出国であることから、カナダドルは原油価格との関係性が高いことでも知られています。
カナダ最大の貿易相手国は米国で、米国向けの輸出が全体の7割を占めるといわれています。そのため、カナダドルは米国の景気に非常に影響を受けやすい通貨です。外国為替市場でのカナダドルの取引量は全体の6.2%と、決して多いとはいえません。為替レートの動きが大きくなりやすい可能性がある点には、注意が必要です。
カナダも、豪ドルやニュージーランドドル同様、通常時は先進国の中では金利の水準が比較的高いことで知られています。カナダの政策金利は4.50%(2023年2月時点)で、世界的に経済が安定しているときは、カナダドルはスワップポイントを狙うのに向いている通貨ともされています。
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★スイスフラン
「スイスフラン」はスイスの法定通貨で、「CHF」の通貨記号で表されます。外国為替市場でのスイスフランの取引量は全体の5.2%です。スイスは他の国との戦争はもとより、他の国同士の戦争にも一切介入しない永世中立国であることから、昔からスイスフランは、金融危機のときや、世界のどこかで紛争やテロが起こったときに、避難的に買われる安全通貨としても知られています。
スイスの中央銀行であるSNB(スイス国立銀行)は、2014年からマイナス金利政策を取り入れていました。そのため、FXでスイスフランを買う方向にポジションを持ち続けると、スワップポイントを支払う必要がありましたが、2022年9月にマイナス金利政策を撤廃したことで、現在ではスイスフラン/円の買いポジションなどでスワップポイントを受け取れるFX口座もあります。
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2015年に、SNBがスイスフランの上昇を抑えるために行ってきたスイスフラン売りの介入をやめると発表したことでスイスフランが大暴騰した「スイスフラン・ショック」は、外国為替市場を震撼させた出来事として今も語り継がれています。
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